家を出る前に、改めてカレンダーを見る。
そう、今日は4月1日、エイプリルフール……
入学式準備で忙しい生徒会メンバーも
今日は純真な俺を騙そうと待っていることだろう。
だが……そう簡単には、騙されないぞ!

竜宮で、さっそく姫に声をかけられる。

「対馬くーん、この書類片づけておいてくれたら
 デートしてあげてもいいわよー?」

……嘘だ。嘘に決まってる。
あの姫が、そんな簡単にデートしてくれるはずがない。

「ははは、そんなご褒美がなくても仕事はするよ。これだね?」

「あら……そう?じゃ、お願いね」

「……センパイ、よかったら手伝いましょうか?」

これも嘘だ。うっかり『じゃあお願い』なんて答えたら
『嘘に決まってるじゃないですか』とか言われるんだ。

「大丈夫、俺一人でできるよ。椰子は自分の仕事もあるだろ?」

「対馬さん、熱心ですわねー。
 ……何かご褒美でもあげたいくらいですわー」

祈先生が寄ってきて、なぜか胸元を強調して耳元でささやく。
……いやいやいや騙されるな対馬レオ!

「……当然のことをしてるだけですから」


「レオー、終わったら何か食いに行こうぜー?
 ボク、バイト代入ってちょっとリッチだから何か奢ってやんよ」

ありえねえ。絶対ありえねえ。嘘でもありえねえ。

「いいよ、せっかくのバイト代だろ?大事にしろって」

なかなか誘惑が多いが、騙されないぞ。
そうだ、今は目の前の書類に集中しよう!
ガシガシと書類整理を片づけていく。

「ふう……はい、書類整理終わったよ、姫。
 どこにしまえば……あれ?」

「あ、エリーなら会議があるから出てったよ。
 その書類はね……えっと、こっちかな?」

佐藤さんについて奥の部屋へ。
中で二人きりになると佐藤さんがつぶやく。

「今日の対馬くんって、なんか大人っぽくて
 ……す、すごく素敵だね……」

うわあ。こういう嘘はツライなぁ。
それにしても、佐藤さん顔を赤くまでして芸が細かい。

「いや、そんなこともないでしょ?
 はい、じゃ書類もしまったから帰るね」

「あ……うん」

……ふう。何とか騙されずに一日を乗り切ったぜ。


「ただいまー」

「ああ、お帰りレオ……
 どうだ、明日は久しぶりに息抜きでどこか出かけないか?」

……やれやれ、乙女さんまでもか。

「遠慮します。だいたい、明日は乙女さん大学の入学式でしょ?」

「?いや、入学式は明後日だぞ?」

「またまたぁ。騙されませんよ?カレンダー見てごらんよ。
 乙女さんの入学式は4月2日、明日じゃない」

「ん?あ……すまん。今朝、うっかり二枚一度にめくってしまってな。
 だから、今日は3月31日だぞ」

「……へっ?」

「お前……今まで今日を何日だと思っていたんだ?」

じゃ……今日はエイプリルフールじゃない?あの発言は……みんな本当!?

「……だっ……騙されたぁ!!!」

「し、失礼なことを言うな!私は騙してなどいない!」

ズドーン!!

「ギャー!?」

「まったく……せっかく、思い切って誘ったのに……馬鹿」


(作者・Seena ◆Rion/soCys氏[2006/03/31])

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