「え〜〜、というわけで、第一回つよきすアニメ化会議を始めたいと思いまっす!
司会はこの俺、ギャルゲー続けて十数年!ギャルゲーマスターシャークこと鮫氷新一と」
「どーも、伊達スバルです」
「この会議は、つよきすがアニメ化した場合、どんなアニメになるか
また、どんなアニメにすべきか、について話し合う会議です。
声優さんの変更や、ゲーム版のようなパロディができるのか、など
話題は多々あるだろうけど、とりあえず今回は『誰がメインヒロインになるか』について話し合いたいと思います」
「それでは、各ヒロインの方々、自己アピールなどあればどーぞ」
「ハイハイハイ!」
「はい、じゃあ真っ先に手を上げたカニ、言ってみ」
「当然といえば当然なんだけどー、メインヒロインはボクじゃないとダメっしょー、やっぱり!
あんねー、ボクのシナリオってつよきすで一番評価高いじゃん?
やっぱりさ、ユーザーが望むシナリオを展開するべきだと思うんだよねー」
「一番評価高いって…そんな統計とってねーぞ」
「そうだけどさー、評価高いのは間違いないっしょ?
他の人達はなんつーの?特に大した展開もなく終わるけど、
ボクの場合、レオとスバルがボクをめぐって殴りあったり、
ラストでスバルがTV越しに感動しちゃうセリフを言ったりで号泣モノですよ?
やっぱりアニメにするんだったら、そういう感動シーンは外せないよね!だからボク!」
「異議あり」
「はい椰子。どーぞ」
「感動感動言ってるけど、それってカニが良いんじゃなくて、
伊達センパイの潔さがあるから感動的な話になってるんじゃないですか。
現にカニは、後半ではバカみたいにセンパイといちゃついてるだけだし。
カニシナリオでアニメを作ったら、視聴者の人は「つよきすって男同士の友情ストーリーなのか」って勘違いすると思います。
だからカニシナリオでは駄目です。却下すべきです」
「んだとぉ!ココナッツテメェェ〜〜!!」
「僭越ながら、あたしがメインヒロインでシナリオを作るべきだと思います。
公式の人気投票でも、あたしは2回1位になってますし、
ノベルでもあたしが主役になってるものが3冊(うち1冊はオムニバスだけど表紙を飾ってる)出てます。
こういうのは、視聴者の要望に応えて人気のある人をメインに据えるべきだと思うんです。
それに、あたしがセンパイと結ばれない場合、後半のセンパイを好きになってからのシーンが全部カットされることになります。
これだとあたしが『ただの態度の悪い後輩』になってしまうので、ファンの人はきっと嫌がると思います」
「いーじゃんかよ別に。ココナッツは『ただの態度の悪い後輩』以外の何者でもないんだから」
「黙れカニ。お前は全編通して『バカなチビ』だろうが」
「てんめぇぇ!」
「人が喋ってるのにギャーギャーうるさい。いい加減黙れ、潰すぞ」
「ぶっ飛ばす!テメー絶対ぶっ飛ばす!」
「はいはい、二人ともひとまず落ち着け。他に意見のある人は?」
「それじゃあ、私からもいいか」
「どうぞ乙女さん」
「やはり、レオと結ばれるのは私しかいないと思う。
自分で言うのもなんだが、私はそれなりに人気がある方だと思うし、加えて、私は序盤からレオの家で暮らすことになるからだ。
視聴者も、うら若き乙女が主人公の家で暮らしはじめたのに、何事も無く終わるというのでは肩透かしだろう?
それに私のシナリオでなければ、レオが村田と対戦し、打ち負かすという燃えるシーンがなくなってしまう。
話の内容から見ても、私の場合は安定しているから、他の者の出番が極端に少なくなるという心配もない。
というわけで、メインは私で行かせて貰いたい」
「却下」
「な…姫、ぶしつけだな」
「乙女センパイはキャラとしては面白いけど、シナリオは平凡でしょう?
なごみんみたいに途中でキャラが変わることもなく、最初から最後まで『良きお姉ちゃん』って感じですし。
脇にいても充分目立つんだから、別にメインを張る必要ないと思いまーす」
「しかしだな」
「それに、乙女センパイを前面に出しすぎると、「バ●キリースカートはいつ出てくるんですかー」とか
「せっかくのエンディングなのに、B●ACHの●魄刀もどきを出すなんて萎えー」とか言われるわよ、きっと。
せっかくのアニメ化なのにケチつけられたくないでしょう?」
「う…」
「やっぱりメインのシナリオはこの私にすべきよ。
よっぴーとの友情!対馬クンが私に近づこうと努力する姿!そして薔薇も咲き誇る完璧なビジュアル!
これだけの要素が揃っていて私が脇役なんてありえないもの。
それに、私のシナリオだとバッドエンドもありうるから、視聴者も「もしかしたらバッドに行くかも」ってドキドキよ?
ちょっぴりバッド行きの前振りをしておいて、どんでん返しのグッドエンド!これは絶対受けるわね。
よってメインヒロインは当然私。それ以外は考えられないわ」
「ふーん…そうなんだ…」
「え、よっぴー?」
「エリーってば、バッドエンドに行くのがいいんだ…?人形ズタズタに引き裂いて欲しいんだ…?」
「ちょ、ちょっと、よっぴー、そんなこと言ってないでしょ」
「あぁ、そうだよね…やっぱり物語はハッピーエンドじゃないといけないよねぇ。
エリーのハッピーエンドは、エリーが対馬君を振って、私が対馬君に告白したのに
結局対馬君はエリーのもとに行っちゃって…。
私は当て馬の身分なんだから、普通より少し多めに出番がもらえただけでも充分なんだよね…
私が対馬君と結ばれるなんておこがましいよねぇ」
「う…」
「どうせ私なんか、この体質のせいでPS2版でも出番削られちゃうから、アニメの見せ場なんて夢のまた夢だよ。
仮に見せ場があっても「よっぴーって意外とキツイこと言うんだ」みたいな、
ちょっと黒い部分が出てくるだけの扱いなんだよね…。もういいよ、それでいいんだ…
私は空のお鍋でもかき混ぜてるよ…ウフフフ…」
「…佐藤さん」
「なんですか…祈先生?」
「あなたはまだいい方ですわ。私なんてPC版本編ですらあの短いシナリオなんですのよ?
アニメになった場合、たとえサブシナリオでも私のエピソードに時間が割かれると思いまして?
おそらく良くて『お色気要員』、最悪『背景』ですわ。
それを思えばあなたは恵まれていますわ。コアなファンも多くいるでしょうし」
「…『コアな』って言わないで下さい。」
「なーんか皆自己主張激しくて譲らねーな。ギャルゲー歴十数年のフカヒレさんよ、何かいい案はねーか?」
俺としてはいっそのこと、レオと俺の青春友情ストーリーでもいいと思うんだけど、どうよ?」
「「「「「却下」」」」」
「冗談だって」
「あら?私は、伊達クンと対馬クンの禁断ラブストーリーなら許可するけど?」
「伊達君、エリーに餌を与えないで」
「あちゃ。ごめん、よっぴー。
で、フカヒレ。どう思う?」
「えー、ゴホン、非常に言いにくいことだけど、それぞれが批判した内容はかなり的確と思うんだよね。
カニシナリオの場合、カニよりスバルが目立っちゃうと感じる人がいるのは確かだし、
乙女さんの場合は話の起伏が他に比べて平坦だから、
乙女さんのルートでいくより他でやった方が良いという考えも妥当だと思う。
よっぴーのシナリオは性質上、アニメでは難しいだろうし、
祈先生のシナリオは短すぎる。ていうか普通にメインはありえない。
ついでに言うと、姫のシナリオも、レオが股間踏んづけられたり、69で逃げ出したりするけど
あれってアニメだと絶対無理だよね。それに個人的には、姫は自分がうろたえるよりも
椰子ルートで椰子をからかったようなシーンの方が似合うと思う。
かといって、人気の高い椰子をメインに据えても、なごみさんとか再婚相手の人の出番が増えて
他の執行部員の描写が減るだろうしねぇ。大体、椰子のデレ期ってさ、別にレオと結ばれなくても
レオが椰子を説得した時点で椰子が惚れて、レオはそのままニュートラルってシナリオに改変すれば問題ないだろうし。
まぁ正直、どれか一つに絞るのは無理なんじゃないかな。各キャラのファンの要望も考慮に入れるとなるとさ」
「じゃ、どうすんだよ」
「某ぱに●にみたいに、パロディギャグアニメに特化するとか、どうよ?
つよきすの売りの一つはパロディネタなんだし、ラブコメ要素は少なめにして、笑いを取る!みたいな」
「うーん、でもそれって普段ギャグを言わない椰子やよっぴーみたいなメンバーのキャラが薄くならないか?」
「まあ、そこはある程度加減して、ラブコメ要素もそれなりにすればいいじゃん?
あ、あと、もう数個良い案があるんだけど」
「何だよ」
「俺が主役の、凌辱ルートってのは――」
「「「「「「却下」」」」」」
「じゃ、じゃあ、俺が主役の、純愛ルート――」
「「「「「「却下」」」」」」
「じゃあ、俺が主役の…」
「「「「「「却下」」」」」」
「…」
「「「「「「…」」」」」」
「…」
「「「「「「…」」」」」」
「う、うわぁーん!いいんだいいんだ!俺にはギャルゲーがある!ギャルゲーはいつも俺を慰めてくれる!
もう帰る!帰ってギャルゲーでこの傷を癒すもん!ギャルゲーではいつも俺が主人公なんだ!
お前ら聞いて驚くなよ!今週新発売の『つよきす』はなぁ……あれ?」
うやむやのままEND
(作者・名無しさん[2006/03/29])