「前方の台、戦車ぁ!砲手、徹甲!撃て!」「発射ぁ!」
ドカン!
ここは富士山麓の東富士演習場、畑岡射撃場、夏場には富士総合火力演習の会場となるこの場所は主に大砲関係に関する射撃のメッカで、
マニアな方には行ったことある人もいらっしゃるだろう、ある意味有名な場所である。

ドライバー陸士「井賀3曹、次の射群ですよ」
イガグリ「初めての戦車射撃だから緊張スルッス」
車長の1曹「俺も初めてん時はそんなだったがな、きちんと諸元取ってるんなら風に嫌われなきゃ平気だ」
イガグリ「んなもんすかね」
1曹「そんなもんだ、よし、行くぞ」
射場指揮官「21準備はいいか」
1曹「準備良し」
指揮官「射撃線まで前へ」
1曹「了!前進用意」
陸士「準備良し」
1曹「前へ!」
ブロロロロロ〜
戦車は小気味の良いエンジン音を響かせ射撃線まで前進する。


丁度その頃

ヘイゾー「うむ、山菜採りにはちと早かっかの、しかし、青木ヶ原で迷ってこのだだ広い草原は初めてだのう」
遅すぎた竜こと竜鳴館館長、橘平蔵は久しぶりに美味い山菜蕎麦を食べたくなり青木ヶ原樹海に足を運んだが、
ここは館長も人の子か迷いに迷って富士山の反対側の演習場に迷いこんでしまっていた、
「参ったのう、!!、街か、ここは景色いいのう、とりあえずは街の方向に真っ直ぐいくかの」
富士山方向から真っ直ぐ御殿場市内向けて歩みを進める館長、この『真っ直ぐ歩く』ことが、後に竜鳴館を全国区に有名に知らしめる事件に繋がるとは誰も知るよしもなかった。

畑岡射撃場
1曹「位置に着いた」
指揮官「此より第三周回射撃を行う、目標、前の台、戦車(鉄板の的)、21射撃用意」
1曹「準備良し」
指揮官「撃ち方始め」
1曹「撃ち方用意!前方の台、戦車ぁ!砲手徹甲!撃て!」
イガグリ「発射ぁ〜!ぁ、あすこに人がいます!」


撃った弾は弾着位置にひょっこり現れた人に吸い込まれる様に飛んでいく、誰もがその人が粉微塵に吹き飛んだと思われた
しかし、その人はそのタングステンカーボバイトの弾を前へのハイキックだけで上方に蹴り弾いてしまったのである。
1曹「な、なに〜、撃ち方まて〜!、00(射場指揮官)!状況おくれ!」
指揮官「了、21発射後に、人が出現、命中するも跳弾し、弾着、富士山五合目」
1曹「人に当たって、跳弾?ウソだろ〜?」
イガグリ「うわっ、わすずっと標準してたからみてますたども、ワスの弾、蹴りあげられて、富士山のほうにすっとんでいぎますた
(ワス、弾に蹴り入れた人の知り合いってその場ではいえねッス)」
その直後、富士山五合目から、かなり大規模の雪崩が発生し近隣の施設に被害を及ぼしてしまった。
射撃が中止になったのは言うまでもない、射場に人が無断で入っていた上に、命中させてしまうという重要事故にも関わらず、
撃たれた本人は
ヘイゾー「大砲に撃たれたのは半世紀ぶりかのう、
あれはあれでなかなかスリルがあって面白かったぞ、ぐわっはっはっはっ!
ワシを撃った奴はのう、ワシの教え子でなぁ、このワシに手痛い一発を喰らわす迄に成長しておるとは鼻が高いものよのう」と、ご満悦の様子であった。


死者が出なかっただけ奇跡的で、この後、防衛庁は安全管理がどうやらとかで上に下にの騒動になった。
ただ、黙って(というより不可抗力)入ってしまった館長も、
色々と弁解やら説明(になってないこともあるが)に尽力を尽したそうだ。

三ヶ月後
井賀久利3等陸曹にひとつ辞令が降りた、神奈川地方連絡部に転属を命ずる。
それは、左遷と共に少し知名度が上がってしまった隊員を広報担当に据え、新規隊員を獲得する目標であった。
後に「松笠、伝説の地連ジャー、イガグリ」と、呼ばれるものの誕生秘話である。


(作者・時給255円氏[2006/03/18])

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