…奇妙なハイテンションだ。
ここ一週間ほどろくすっぽ寝ずに試験勉強を続け、今日、ようやくT大学経済学部の二次試験が終わった。
いい加減、頭がぼうっとしているが、この際、体がぶっ壊れるまで暴れたいような気もする。
危うく靴を履いたまま玄関をあがりかけ、乱暴に脱ぎ捨ててリビングへ入ると、奥のキッチンでなごみがこちらに背を向けて鼻歌を歌いながら料理にいそしんでいた。
あなたは 私の身体を抱いて♪
「冷たいね」って 言ったのよ♪
「神田川」のメロディにニヤニヤしてしまう。
なごみの夢は俺の夢。
こいつの料理人になる夢を、レストランの経営者として支えてやるのだ。
このかわいい後ろ姿がある限り、どんな苦労も苦労ではない。
そっとなごみの後ろに迫り、腰に手をまわして体を密着させながら、青いリボンで緩やかに結んだポニーテールのうなじにそっと息を吹きかけた。
一瞬、なごみが硬直し、鼻歌が止まる。
振り返る唇を、容赦なく奪う。
「んッ……ん……あふ……ぷは、センパイ…」
「ただいま、なごみ。ケーキ作ってるのか」
「お帰りなさい、疲れをとるには甘いものがいいかなと思って。もうすぐ出来ますから、センパイはシャワーでも……ちょ、ちょっとセンパイっ……今は……」
唇からうなじへと舌を這わせて、そのまま耳たぶに軽く噛み付く。
「今日のおやつはお前でいいや」
「…あんッ………」
「俺、速攻でシャワー浴びてくるから、なごみは裸エプロンで待っててな」
「はい?」
「裸エプロンだ。これは命令だぞ、椰子なごみ二等兵」
「えー!? センパァイ…」
困り顔をその場に残して、風呂場へ向かう。
冷たいシャワーを頭からザアザアかぶっても、体の火照りはさめそうにない。
何か、腹の奥底にちろちろと熱いものがたぎっていて、どうしても暴力的な衝動を止めることができない。
シャツとトランクスだけを身につけてリビングへ戻ると、ケーキをテーブルに並べたなごみがすでにソファに腰掛けて、赤い顔でじっと固まっていた。
お気に入りのピンクのエプロンがぴったりと体に巻きつけられていて、出るところの出た艶めかしいボディラインがまぶしい。
「いただきます」
手を合わせてフォークを取り、白いクリームをすくって舐める。
なごみがほっとしたように笑顔を見せて、自分も「いただきます」と、ケーキを食べはじめる。
「にゃごみ」
「はい?」
「甘くておいしいよ」
「ありがとうございますっ」
嬉しそうな笑顔をまっすぐに返してくる。
「ちゃんと裸になってるか?」
「えっ…それは…その…」
「んー? まさか、なごみんは俺の期待を裏切る悪い子だったのかあ?」
「いえっ、裏切るだなんて、そんな…ただ、恥かしくて…」
「ちょっと立って。その場でくるっと一回転してみ?」
「あ、はい…」
おとなしく立ち上がって、モジモジしながら一回転。
「……」
カニはこういうのを堂々とやってのけるが、なごみの仕草はぎこちない。
「なんだ、パンティ履いてるじゃないか…。うん、これは厳密には裸エプロンとは言えないな」
「だって、恥かしくて…」
「なごみ君、言い訳はいらない」
「はい…」
ガックシとうなだれるなごみ。
いや、そんなに落ち込まなくてもと思うのだが、こうなるともう少し虐めてやりたくなってくる。
「俺の期待に背いた罪は重いぞ? どんなお仕置きがいいかな。三択だ。好きなのを選びなさい。
(A)夜の松笠公園で本番 (B)このまま裸エプロンプレイ (C)学校の屋上でフェラチオ (D)満員電車でお触り」
「センパイ…(C)と(D)は絶対ダメです…」
「じゃあ(A)がいいのかな?」
「あっ、でも(A)もけっこう危険だと思うんですけど…」
「じゃあ、なごみのリクエストに応えて今日は(A)に決定」
「……はぁ……」
「あー、なに、今、呆れたなー? もう、いいよ、知らない、バイバイ!」
席を立って扉に向かおうとする、なごみが後ろからぎゅっと腕にすがりついてくる。
「セ…センパイっ、…その…(AorB?)で…お願いします…」
(A)へ|(B)へ
(A)
綺麗な満月が出ている。
なごみは、昼間をあまり手をつないで歩きたがらない。
人の目が気になるらしい。
その反動か、おおっぴらに腕を組んでベッタリと甘えながらの夜の散歩が好きだった。
片手でなごみの髪を優しく解かしながら聞いてみる。
「なあ、なごみ。こんなに寒いのにお前、本当に公園でヤリたいの? Hだなあ」
「あたしじゃなくてセンパイじゃないですかっ」
小さな声だが、必死の抗議。
「あーそうか。なごみんは俺に逆らうのか」
「う……」
「冗談だよ、なごみ。俺は本当にお前が嫌がることなら絶対にしない。引き返すなら今のうち」
もう、公園の入り口まで来ていた。
なごみは少しの躊躇の後、返事をするかわりに唇を寄せてきた。
口付けをかえしながら、「よし、行くか」とささやくと、コクンとうなずいた。
くそ寒い真冬だというのに、公園のベンチはアベックで占領され、立ち木の陰からあえぎ声も聞こえてくる。
「こりゃ思ったよりすごいな……」
なごみがぎゅっとしがみついてくる。
噴水のそばのベンチがうまいぐあいに空いていた。
先に腰をかけ、なごみを膝の上に座らせる。
厚いコートの下は実は下着だけで、さっそく唇を奪いながら、同時にパンティに手をかけて尻の割れ目に食い込ませ、丁寧に股間をなでまわす。
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(B)
ソファに座り直して、なごみを抱き寄せる。
「よし、なごみ、お前のケーキは俺が食べさせてやろう。膝の上にお座り」
「……センパイ……」
「いいの。今日は疲れてるんだから」
「だって……そんなとこに座ったらセンパイのお給仕ができません」
「お給仕はいいから。っていうか、お前、すでに裸でいるのにここで抵抗してどうするんだ」
「う……」
諦めた声を出して、なごみが言われたとおり、俺に大きなお尻を向けて座り込む。
長い黒髪に顔をうずめて、エプロンの下に手をつっこみ、指の間に乳首をはさんで胸をもみしだく。
「…ああ…あ…ッ…」
「あー。落ち着く…。なごみの胸を触ってる時間が人生で2番目に幸せな時間だなー」
「………い…ち」
「1番はもちろん、お前のパイパ○ンに何をぶちこんでる時だな」
「センパイ、伏字になってないですぅ…」
「いいの。さ、ケーキ、ケーキ」
フォークで生クリームを救って手探りで、なごみの口元へ運ぶ…と見せかけてクリームを胸の谷間に落としこんでみる。
「あ…」
「たいへんだ。エプロンが汚れる前に早く舐め取らないとな」
「……センパイのスケベ……」
「いーや、こんなスケベな体をしてるなごみのほうが悪い」
エプロンの横の隙間から頭をつっこんで強引に生クリーム付きのなごみのサクランボに吸い付く。
「あっ……」
同時にパンティに手をかけて尻の割れ目に食い込ませ、丁寧に股間をなでまわす。
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なごみが身もだえして首筋にかじりついてくる。
「なごみ、1万と2000年前から愛してる」
「あたしもですっ、センパイ」
荒い息の間から、なごみが激しくもささやきかえす。
「ウソつけ。お前はずっと俺のことは線の外だったくせに」
「う……だって……」
「いいんだよ、俺はお前を見かけたときから、生涯の伴侶はお前と決めてたが、お前はそんな風に自分が見られるのをキモイと感じてたんだよな」
「センパイ…いじわる…」
言葉で責めながら、股間の日本刀を抜き、パンティの隙間からすでにぐちょぐちょに濡れたなごみの中へと突っ込んでいく。
「ああああっ…ん!!」
なごみが自分から腰を振る。
タイミングを合わせて激しくなごみを突き上げていく。
「センパイっ、センパイっ」
上ずった声がだんだん大きくなる。
なごみの豊かな双乳に顔面をはたかれる。
「いいっ、あああっ!」
ひときわ大きな声とともになごみが絶頂を迎えると、同時に己を解き放つ。
「センパイっ!!!」
「なごみぃっ!!」
もはや、そこが戸外だろうが室内だろうが、二人にとっては同じことだった。
放心してぐったりと胸にもたれかかるなごみ。
風邪をひかないようにタオルで体についた色々な液体をぬぐいとり、ついでにマッサージをしてやりながら、されるがままのなごみにささやきかける。
「俺が大学受かってたらご褒美に(C)か(D)でやろうな」
なごみがクスクスと笑ってつぶやく。
「……センパイのことはもちろん大好きなんですけど、センパイがあんまりスケベだとあたしまでスケベになっちゃいそうで怖いです…」
「怖がらなくても、スケベになっちゃっていいじゃん」
「スケベに……なっちゃっっていいんですか? 真昼間から人前でキスをしたり、満員電車の中でこっそりじゃれあってみたり?」
「悪くないだろ? それとも、キモイ?」
なごみは躊躇して、やはり最後にはキスに逃げた。
「……センパイとなら、なんでもいいですよ、もう……」
(作者・名無しさん[2006/03/16])