デートの途中、猫と機嫌よく戯れていたエリカが唐突に言い出した。
「……決めたわ」
「何を?」
「ちょっとドイツ人ぶっちめてくる」
「は?」
「あのザウアクラウト共は鳥インフルエンザが猫にも感染するからって、平気で飼い猫捨てやがるのよ!」
「はあ」
「はあ、じゃない! そんなの人類として、哺乳類としてセキツイ動物として許さない!」
「あの、エリカ?」
「ニャンコの恨み、思い知らせてやるわ! というワケで、本日のデートはここまで!」
言うが早いかエリカはしゅたっと右手を挙げると店を飛び出していった。
「どこ行くんだろう……」
「にゃあ?」
残された俺と猫は唖然と見送るしかなかった。
次にエリカを見たのはブラウン管の中だった。
「エ、エリカ……!?」
「うおーすげー! 姫超速えー!」カニおおはしゃぎ。
『にゃーん!!』
画面には、バーレーンでネコミミつけて奇声を発しながら、MTBで赤い跳ね馬をぶっちぎる姫の姿が……。
「はは……シュー○ッハ泣いてるよ」
姫も人間じゃねえ……。恐るべし猫ぱうあー。
翌日笑顔で凱旋した姫は平然と言い放った。
「次はバイエルンでカ○ン泣かしてくるわ」
まだやるんですかー!?
「エリカ、あのニュース、フランスなんだけど……」
「……ぬかった!」
(作者・れみゅう氏[2006/03/12])