今日は特になんでもない日。
「エリカ、一緒に帰ろう」
「ごめんレオ、今日はクラブに顔を出す予定なの」
そういえばエリカはテニス部だったな。
「そっか、なら待ってるよ」
「ありがと。そうだ、レオ見ていく?」
「何を?」
ブルマ?
「今日は試合形式なのよ。私が勝つ姿でも見にこないかって言ってんの」
「自信満々だね」
「ここのレベルぐらいじゃ負ける気しないわ」
「そういやちゃんと見た事無かったかも」
「はあ……愛されてないなぁ」
「そ、そんな事無いよ。わたくし対馬レオは世界で一番霧夜エリカを愛しています!!」
「はいはい、分かった分かった。じゃ、行くわよ」
「な、流された。それなら目一杯応援してこの熱い思いを証明してみせる!」
「そ、がんばってね」
なんか……逆じゃないか?


グラウンドに到着。
エリカはクラブのみんなに挨拶に行った。
「こんにちわ」
「あ、姫。こんにちわ。それはそうと今日第一試合キャプテンとだよ」
「ま、問題なし」
「それでも、この前負けたときとはまるで別人みたいよ」
「ふーん。少しぐらい楽しめそうね」
聞こえてくるぞ、凄まじいほど自信に満ちた声が。
って言うかキャプテンに勝った事あるんだ。
一番強い人がキャプテンやるもんだと思ってたけど。


これから第一試合が始まる。
始まるんだけど、開始前からネットの上で火花が散っていた。

「霧夜さん。この前は負けましたけど、今回は勝たせてもらいますよ」
「その自信はどこから出てくるんですか? 当然今回も勝たせてもらいますから」

……女って怖え。
しかしあれですね。
やっぱりブルマに目が行きますね。
スバルあたりが、
「ナイスブルマ!!」
とかって言いそうですね。
「おい、反応なしかよ!」
「! スバル!! いつのまに!?」
「お前が姫に見とれてる間だ。アツアツなのはいいがたまには俺も見てくれよ?」
「伊達君マジでやめてくれません? それよりお前部活は」
「今日は部活は休みだよ対馬クン。で? 今どっちが勝ってんだ?」
「……すまん、ブルマ見てたから分からん」
「おいおい、ヒドイ彼氏だな」
「いや、でも始まったばっかだし」
「まあ、今のとこは姫不利ってとこだろ」
「なんでそうなるんだ? 別に普通に打ち合ってるようにしか見えないけど」
「よく見てみろ。姫が打ったボールは全部相手の範囲内だ」
「いや、俺はエリカを信じる。最後に必ず勝つってさ」
「はいはい、まあゆっくり観戦しますか」


信じられない。
私が打つボール打つボール全部キャプテンのとこに飛んでいく。
しかもキャプテンは開始位置から一歩も動いてないなんて。
明らかにこの前の試合とは別人。
「どうしたんですか霧夜さん。試合前の自信はどこに行ってしまったんですか?」
「別にどこにも行ってませんよ。
 ただこの前があっさり過ぎたので少し楽しませてもらってますけど」
「その割にはもう4ゲームも落としてますよ」
「もう少しぐらいなら大丈夫ですよ」
「その強がりもいつまで聞けますかね」
確かにこのままじゃヤバイ。
霧夜エリカが負けるなんて許される事じゃない。
それに……今日はレオも見てる。
絶対に負けられない。
いくつか考えが浮かぶがどれも今の状況を打破できるものじゃない。
唯一つを除いては。
……あんまりしたくないんだけど、しょうがないなあ。


「しょうがないですね」
そう言いながらエリカがリボンを解いた。
とたんに空気が変わった。
あれはヤバイ。俺の全身がそう告げる。
「一体何が起こったんだ?」
「ただエリカはリボンを解いただけだが、これでエリカの勝ちだ」
「なんで言い切れんだよ」
「なぜ言い切れるか? リボンを解いたエリカの魅力度は106万!!!
 常人に勝てる相手じゃない」
「魅力度って……そういう勝負じゃねえだろ。しかしありゃマジでヤベエぞ」
エリカってリボン解くと雰囲気変わるというか。
しかし今まで、ここまで空気が変わる事は無かったぞ。
一体なぜ?


見える!
ボールがではなく、ボールの縫い目を。
「キャプテン、その技の正体見切った!!」
「な、何!!」
「ズバリ、ボールに回転をかけ私が打ったあともキャプテンの元に飛んでいくようにしていた」
「くっ! し、しかしそれが分かったところでどうなると言うんですか」
「それだけ分かれば十分。今の私の運動能力は普段の二倍。負ける要素は無し!!」
「ふ、ふん。あなたはあと2ゲーム落としたら負けなんですよ」
「今がたとえマッチポイントでもキャプテンの勝機はゼロです」


試合が終わった。
結果は6ー4でエリカの勝ち。
今は二人で帰路についている。
「お疲れ様」
「ありがと」
「大丈夫? 足元少しふらついてるよ」
「そうなのよね。運動能力は上がるんだけどその分疲労がね」
「無理にしなくてもよかったんじゃない」
「嫌よ!! 絶対に負けたくないもの!!!」
「ホント、負けず嫌いだね」
「いいでしょ別に。で、どうだった?」
「何が?」
「私の勝った姿は」
「最高だったよ」
「当然ね。ところでレオ」
エリカの顔が急に赤くなった。
「一つだけ聞くけど正直に答えて」
モジモジとするエリカ。
ドキドキするが、ちょっと待て。
この光景には覚えがある。
頼む。言わないでくれ。
「あ、あのさ……」
もし言われたら俺は。
「スバル君とは、本当にただの友達よね?」
気がおかしくなってしまう。


「答えて! 本当にただの友達よね!!」
やめてくれ。そんな真剣な目で俺を見ないでくれ。
「ああ、そうさ。ただの友達だよ」
「よかったあ」
「どういう意味?」
「だって、私の試合中ずっとスバル君と話してたでしょ」
「うん、そうだけど。てっきり俺はまたエリカの同性愛好きかと」
「BLは確かに好きだけど……」
「まだ好きなんだ」
「でも、レオを取られるのは嫌なの!
だから、聞いてみたかったのよ」
「大丈夫だよ、心配しすぎ。スバルとは親友だけど、そんな展開にはならないよ」
エリカ。聞き方が悪すぎるよ。


(作者・名無しさん[2006/02/14])

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