私の名前は「北海 道牛子」。私立竜鳴館の1年生。
よく「ほっかいどう うしこ」と読まれるけれど
本当は「きたみ とうこ」って読む。
友達は「とこちゃん」って呼んでくれる。
背はクラスで2番目に高くて……バストはたぶん、一番大きい。
この胸が目下のところ悩みの種。
口の悪い男子生徒から「うし、うし」と呼ばれたりすると
なんだかちょっと悲しくなる。
「気にすることないよ、とこちゃん」
「アタシらからすれば贅沢な悩みだって」
友達はそう言って慰めてくれるけど
胸が大きいことそのものは私もイヤじゃない。
私がイヤなのは、男の子が私の胸しか見てくれないこと。
私の魅力は、胸だけなんだろうか……?
料理は得意だし、勉強だってスポーツだってまあまあできる。
性格だって、明るいほうだと思う。
今日だって、友達が持ってきた牛さんのお面をかぶって
「モ〜、モ〜」なんて言って遊んでる。
「ねえ、とこちゃん、なんか生徒会の人が来てるよ?」
「生徒会の人?なんだろ?」
「ほら、あの人……あれ?いなくなっちゃった……
って、アンタいつまでそのお面かぶってるのよ!
まったく、せっかくの美人がバカみたいよ、それじゃ」
怒られちゃった。
ふう……こんな私にも、いつか素敵な彼氏ができるのかなぁ……
(作者・名無しさん[2006/02/09])