「なー、レオの好みの味ってどんなんだ?」
「そうだな、甘辛いのがいいかな。なんか家庭の味って感じで。どうしたんだ?ま、まさか何か作る気じゃ…」
「ばっ、ばっかじゃねーの?レオにくれてやるもんなんか何にもねーよ!この自意識過剰野郎がっ」
ボクは走ってレオのもとから去った
バレちゃダメだ。うんめーもん作ってレオを驚かしてやるんだから♪
帰宅し、何にしようかおかしの本とにらめっこした
甘辛い家庭の味か…ふんふん。よし、これしかないだろ!見てろよ、レオ。ボクのあたたかーい愛を受け取りやがれ!
──2月14日、誰もがドキドキワクワクする日──
「レーオっ」
「うおっ、何故か急に寒気が…」
「?ならちょうどよかった。そんなオメーのハートを温めてやるぜ……ほらよ」くぁーっ、テレるぜ。だから早く受け取っちくり…
「っておい!なんだその嫌そうな顔は?オメーはボクの可憐な乙女心を踏み躙る気ですかオイ」
「お前からのプレゼントはロクな物がなくてな。それに何故か拒否反応を起こしてるんだ、多分本能が働いてる模様」
「男のくせにガタガタうるせーな!潔く食べやがれ!」
ボクは包装紙をビリビリに破き、中身の手作りトリュフを摘んだ
「トリュフ?」
「おう……頑張って作ったんだ。食べちくり(////)」
「(トリュフってチョコを丸めただけのもんだし、いけるか)見た目も普通だしな。有り難くいただくよ」
レオが初めてボクの料理を自ら食べてくれた……なぁ、ウメーだろ?
「ぶはっ!なんじゃこりゃー!!」
「美味すぎて感動か?そこまでオーバーにリアクションとられるとテレるぜ」
「カニさん…今までお前の料理を食わされたときと同じリアクションなんだが……」
レオがエチケットタイムに突入しそうになったんで引き止めた
「待てよ、レオ!オメー甘辛いのが好きだっつったじゃねーか!」
レオを喜ばせたくて、一生懸命作ったんだよ……
「コレは甘辛いじゃなくて、甘いと辛いだバカヤロー!!」
「甘い+辛い=甘辛い、だろ?」
「このカニ味噌が!大体どうやったらこんな器用なもんが作れんだよ!?」
「よせやい、テレるじゃねーか」
ここでボクが編み出した甘辛いトリュフの作り方を教えてやるぜ!
材料…オアシスの激辛カレー、チョコ、生クリーム
@カレーをスプーン1杯ずつバットの上に乗せ、冷凍
A@が凍ったら、チョコと生クリームをチンして混ぜる
B@に楊枝をブスっと刺してAにくぐらせ、チョコが固まるまでほったらかす
「とまぁ、こんな感じ。カレーは家庭的な物だし、オメーの望むものてんこもりだぜ」
「よーく聞け、この甲殻類が。甘辛いっつーのは砂糖と醤油を合わせたりした、甘じょっぱい味付けのことを言うんだよ!」
「う…なら最初からそう言えばいいだろ!バカが難しい言葉をいい気になって使ってんじゃねーよ!」
「お前、あんとき何も作らないって言ったろっ」
こうしていつも通り。今年も告白は出来なかった。けど、ま、いっか
「今年も相変わらず、か」
スバルは後ろから、優しい眼差しで二人を見つめていた
(作者・さくら氏[2006/02/05])