自分対馬レオは、霧夜エリカと付き合っていた。
彼女は霧夜カンパニーのご令嬢で、文武両道、容姿端麗な人である。性格は、自分の思ったことは絶対な唯我独尊である。そんな事もあって彼女は2年生で生徒会長を務めている。
俺はそんな霧夜エリカに憧れていた。そんな彼女と接する中で、俺は彼女を愛していることに気づいた。
俺は、テンションに身を任せて告白した。そして答えはOKだった。彼女とは、己を勉学、体力等の面を向上させることを約束した。それが自分との身分を埋める方法だった。
俺はその事を最重要にして自らを向上させていた。そんな俺と霧夜エリカは交際をしていた。
しかし、夏季休暇の終わり彼女に俺は振られた。
「俺姫に嫌われるような事した?」
「怒っているわけじゃないわ。むしろ楽しかった、ありがとう対馬クン。」
彼女は、身分が違う、目的に支障が出る等と言われた。姫が去った後、気がつくと俺は泣いていた。
その後2学期が始まった。俺は生きる目的を失っていた。姫が生きがいだったからだ。
ある日、佐藤さんが放課後、屋上に居る俺を励ましてくれた。その時告白された。しかし受ける気にはならなかった。俺のことが好きって言うのは本当だったかもしれい。しかし、またテンションに流されて後悔するのは嫌だった。
夜、家で4人で話をした。
「振られたな、レオ・・・」
「・・・」
「仕方ねーってレオ。お前は、あの姫相手に2ヶ月も交際してたんだぜ。お前はよくやったよ。」
スバルとフカヒレが励ます。
「まーレオ、こんな事は目に見えてたけどな。可哀想だからボクが慰めてやんよ。」
「おい、カニ!」
スバルが注意する。
「いや、いいんだスバル。こんなこと初めからわかっていたんだ。」
「レオ・・・」
「またテンションに任せた結果このザマさ。」
「・・・」
沈黙が2分ぐらい続いただろうか。スバルが聞いてきた。
「でも、お前はこれでいいのか?まだ未練があるんだろ?」
「もう終わったことだ。いいんだ。」
「レオ!!」
「今日はもう終わりだ。帰ってくれないか?」


「・・・」
押し黙る4人。カニが言った。
「つまんねーし帰ろうぜー、こんな所にいてもレオがこんなじゃどうしようもねーって。」
そう言って窓から出て行った。
「じゃーなレオ。また明日。」
フカヒレは俺を気遣って出て行った。
「・・・」
「済まない、スバル。」
「もうこれ以上俺は口を出さない。自分で答を出すんだ、レオ。」
「・・・」
そう言ってスバルが出ていった。
「何してるんだ俺は・・・」
仰向けでベッドの上で考える。しばらくたった後ノックが聞こえた。
「私だ、入るぞ」
乙女さんが入ってきた。
「・・・」
「お前泣いているのか。」
言われてから気づいた。
「乙女さん、何やってるんだろうな俺・・・」
「レオ・・・」
乙女さんが暗い顔をする。
「お前は納得していないんだろう、明日姫と話せ。私からも言ってやる。」
「もういいんだ・・・」
「レオ、いい加減にしろ。」
乙女さんが怒気を含めた声で言う。


「もうほっといてくれよ・・・」
パンッッッッ!!
渇いた音が鳴る。その後右頬に激しい痛みが走った。
「レオ!!私はお前が選んだ道だから応援した!!だが何だこれは!!甘ったれるな!!」
乙女さんが激昂する。
「私は姫のために頑張っているお前が好きだった。今のお前はレオじゃない!!」
そう言って部屋を出て行ってしまった。
「はぁ・・・」
叩かれた頬が腫れている。
外へ出た。家の中に居ると気まずいと思ったからだ。
「とことん俺はヘタレだな・・・」
充てもないのに街をうろつく。駅のベンチには椰子が居た。
「椰子・・・」
「センパイ?何やっているんですかこんな時間に。」
「・・・」
ある程度の距離をとって座る。
「その右頬はどうしたんですか?」
嘲るように言う。
「乙女さんに叩かれた。」
「クククッ、センパイもバカですね。」
「あぁ、そうだな。」
「・・・」
「センパイ、お姫様に振られたそうじゃないですか。」
沈黙を解いたのは椰子だった。
「まさか、そのせいで乙女先輩から叩かれたんですか?」
「・・・あぁ」


「プッ、センパイは本当にバカですね。」
嘲る椰子。
「キモい顔がいつになくキモさが増してます。」
「あぁ、そうだな。」
再び静寂。
「センパイ、アタシを以前ここで助けましたよね。」
「あぁ。」
「その時のセンパイの顔はそんなにキモくなかったです。でも今はいつも以上にキモいです。この違い分かりますか?」
椰子が俺に訊いた。
「やる気のなさです。」
椰子は俺に言い放った。
「交際についてはとやかく言う気はないですが、こんなキモい人とは居たくないですね。」
「・・・」
「アタシはそろそろ帰ります。母も心配しているんで。」
「センパイ、何故今センパイはここに居るんですか?」
そう言って椰子は去っていった。
「やる気、か・・・」
俺はまだ考えていた。いや、悩んでいた。またテンションに身を任せたらどうなるのか。
「・・・」
「決めた。」
今まで何をやっていたんだ俺は。俺は姫に人生を捧げたんじゃなかったのか?こんなことで諦められる女性なのか?
「バカだな、俺は。」
「ありがとう、みんな。」


今日の午後、対馬クンからメールが来ていた。
「土曜の午後4時に松笠公園であなたを待っています。   レオ」
「対馬クン・・・」
何でまたこんなものを・・・
ここ1週間の態度が変わったのはこれね。
「でも私は対馬クンを振ったの。」
「削除、っと。」
「・・・」

土曜日。
俺は松笠公園に来ていた。時計を見る。3時半。姫は来るだろうか。
「それにしても暑いな・・・」
9月とはいえ、まだまだ暑い。
4時。
「まだ来ないか。」
5時。
来ないのか、姫。
6時。
「いや、待つんだ。姫は絶対来る。」
7時。
「・・・」
8時。
「・・・」
9時。
「来てくれ、姫」




「ふぅ、これで今日のノルマは終わりっと。」
気づけば既に時計は11時半を回っている。携帯を見る。
「対馬クン・・・」
結局メールは削除していない。甘いな、私も。
「行ってみようかな、もう居ないだろうけど。」
「嬢、今からお出かけですか?」
「ば、ばあや・・・」
「男に会いに行くのですか?」
「・・・」
「嬢、楽しんどいで。私は何も言いませぬ。しかし、自分に嘘をついてはいけませぬぞ。」
「ばあや、ありがとう。」
これが最後、対馬クン・・・

12時20分。
「もう来ないのか?姫。」
もう4時から待って8時間以上経っている。
「対馬クン・・・」
「姫!!」
姫がとうとう来た。
「まだ居たの、どうして?」
何で対馬クンはこんな時間まで待っているのだろうか。私は振ったって言うのに・・・
「それで用件は何?」
「姫、もう一度やり直してほしい。」
頭を下げる。
「私は振ったはずよ、分かってるよね対馬クン。」
「あぁ、分かってて言ってる。」
「・・・」





「俺は姫を愛してる。姫と一緒に生きることが俺の生きがいなんだ!!」
「だから、それは前も言ったわ。身分が違う。あなたは私に相応しく-」
「なる!!俺は絶対姫に相応しくなる!!勉強もして一流大学に入るし、体力もつけて姫を守る絶対に!!」
「何で、そこまでして私にこだわるの?もっと、世界には良い女性が居るわ。なんで!?」
「俺は理屈で行動してるんじゃないんだ。目の前に居る霧夜エリカ、あなた自身を愛しています。」
「対馬クン・・・」
「後にも先にもこれだけ愛したのはあなただけです。」
「でも、それはとても辛いことがたくさんあるのよ?それでも、」
「姫は前に言ったよね?下手に自分を押さえ込んで、己の可能性を潰すような真似はやめなさい。って」
「・・・」
「姫を幸せにする可能性を潰したくない、いや潰さない!!」
「こんな俺でもダメですか?」
全て思っていることを言った。姫を見る。
理屈じゃない、か・・・
「姫?」
「ありがとう。」
あれ私泣いてる?
「姫、ごめん。俺なんか悪いこと言っ‐」
「嬉しいの。ありがとう。振ったのに、私振ったのに・・・」
「姫。」
姫を抱きしめる。
「こんな私なん−」
「姫じゃなきゃ嫌だ。姫だからいいんだ。」
「・・・」
「俺と幸せになってくれますか?」
「はい。喜んで。」
「ありがとう、ひ‐」
「エリカって呼んで、レオ。」
「ありがとう、エリカ。」

〜fin〜


(作者・sgae氏[2006/01/18])

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル