わしは竜鳴館館長。
橘!………平〜〜〜蔵〜〜〜〜!!
ふむ、自己紹介はこのへんで良かろう。
さて、儂には今、ひとつだけ厄介な問題がある。
うちの生徒の鉄と対馬が交際しているという噂だ。
それだけならば何の問題もないんだがのう。
二人が同居しているということ。
あと、鉄が風紀委員長だという事が問題なのだ。
どうしたもんかのう。
鉄は優秀な生徒だ。
対馬にしても、ドラゴンカップでなかなかの漢っぷりを見せおった。
何とかしたいが、それでは、ほかの生徒に示しがつかん。
困ったのう。
「む?もうこんな時間か?どれ、儂もそろそろ帰るとするか」


我が家に着いた……が。
「む?人の気配がするな。何者だ?儂の家に忍び込む不届き者は?」
しかも堂々と電気までつけおって。
玄関を開け、すべての部屋を十秒で回る。居間に居った。が、不届き者でなく。
「親父殿ではないですか!?これまた急に?何かあったのですか?」
「いんや、久しぶりに洟垂れと一献交わしたくなっての。
?どうした浮かん顔して?なんか悩みでもあるんか?
はっはっは、自分の事で悩むとはまだまだ青いのお」
「お言葉ですが親父殿。自分の事ではなく生徒の事で悩んでおりました」
「ほう、生徒の事で?そりゃ立派じゃのう。教師の鑑じゃあ」
「幾分未熟でございますので。どうしたものかと考えておりました」
「本当に未熟じゃのう。しかしな、平蔵よ」
「は、なんでございましょう」
「他人の事で悩んでもしょうがないとは思わんかのう?」
「しかし、生徒のことを親身になって考えるのも、
教育者として大切なのではないでしょうか?」
「大切じゃない。とは言わんが。生徒も所詮他人には違いなかろう?
そやつらには、そやつらの人生がある。
お主がどれだけ悩もうが、結局はそやつらが自分で決める事じゃ」
「それも確かに真理ではございますが」
「のう、平蔵。おぬし、おぬし少し重く考えすぎではないかのう?」
「と、言いますと?」
「教育者としてはその態度は実にいいもんじゃ。
が、もっと気楽に行け。気楽に。
案外自分が思ってる事よりもいい結果になるもんじゃ。
じゃからの、今は酒の肴を買ってきてくれ」
「はっはっは。親父殿には敵いませんなあ」
「あたりまえじゃ。伊達に年はとっとらんからのう。
それより早く買ってこんか。わしゃ待ちくたびれとるんじゃ」
「行ってまいります」
気軽にのう。そうだな。
奴らを信用してみるかの。


「うむ、これからも仲良くな」
「失礼しますっ」
何事もなく終わってよかったわい。
「む?校舎を出たとたんに手を繋ぎよったな。
まあ、あれぐらいなら良かろう」
しかし、儂よりも若いのに、堂々と愛しておると言える者が見つかるとはな。
真っ直ぐだのう。
「さて、帰るとするかのう」
おっと、忘れるところであった。
親父殿に酒を買って来いと言われとったわい。

「親父殿。帰りましたぞ」
「おう平蔵、はようせい」
「申し訳ない」
「ところで平蔵、まだ嫁は居らんのか?」
「なかなか縁がありませんので。
それより、買ってきましたぞ。日本酒でよろしかったでしょうか?」
「な………わしゃ鮭を買って来いと言ったんじゃ。
石狩鍋でもしようとおもっとったのに。
ええい、お使いもできんとはお前はまだまだ洟垂れじゃ」
厳しいのう。現実は。


(作者・名無しさん[2005/12/30])

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