土砂降りの雨の中で、少女は立っていた。
少女は自分の頬に熱いものが流れているのに気がついた。
これは雨。そう、そうに決まってる。
雨に違いない。
少女は自分に言い聞かせた。
だが、少女はその雨が自分の目から溢れている事に気がついた。

そうか、これは涙だったんだ――――


「それにしても、一泊の国内旅行なんて姫も珍しいな」
「急に温泉に入りたくなったんだって」
荷物をまとめながら良美は言った。
姫らしいなと思いながらレオは苦笑した。
3日前、良美は姫、つまり霧夜エリカに北海道への温泉旅行に行こうと誘われたのだ。
長期休業中はいつも海外旅行らしいのだが、何日もスケジュールが取れないらしく、
仕方なく一泊旅行になったということだ。しかも国内で。
良美は明日出発する予定である。自家用機を使うらしい。
「あさっての夕方には帰るからね?」
「んじゃ、それまでしばしの別れだな」
2人はキスを交わし、レオは良美の部屋を後にした。


次の日の夜中、レオの部屋に窓から幼馴染3人が入ってきた。
「おーっす! レオ!」
きぬはいつもながら明るい声を振りまいていた。
続いて、スバル、新一も入ってきた。
今日は対馬ファミリーによる飲み会の日であった。
昨年度、レオの従姉である鉄乙女が卒業してしまったため対馬家を監視する人間がいない。
東京の大学に進学したので自宅から通うことになったのだ。


本来、夏休み中の3年生はこんな事してる場合じゃないのだが、4人はそれぞれ進路を決めている。
レオは良美と同じ大学に進学するため、良美の手を借りながらも普段から勉強している。
元々成績はそんなに悪くないので、模試の成績はB判定まで上げる事が出来ていた。
スバルは陸上の実業団に誘われているらしい。
きぬはゲームメーカーに就職希望。
新一は公務員試験を受けるらしい。
4人ともいい加減な生活を送ってきたが、将来の事は考えていた。

酔いがまわってハイテンションになった一同。
「おいフカヒレ! 一曲歌え!!」
スバルが叫ぶ。
「お〜し、シャーク様の出番だぜ〜! ひっく」
新一が歌う。
「ヘタクソー! 引っ込めー」
きぬが罵る。
そんな調子で朝まで飲み会は続いた。

「よーし! 次は王様ゲーム!!」


日没前。
良美は両手にお土産を持って、レオの家の前にいた。
インターホンを押したのだが、誰も出てくる気配はない。
「鍵が開いてる…?」
無用心だと思いつつ、中へと入っていった。


「頭痛え〜」
レオはベッドの上で目を覚ます。二日酔いらしい。
裸の上半身を起こして辺りを見回しても誰もいなかった。
「フカヒレもスバルも帰ったのかぁ?」
辺りはゴミの山だった。
「それにしてもピンポンピンポンうるさかったな〜」
入り口を見ると、そこには良美がいた。
「良美? 帰ってきたんだ?」
良美は真顔のまま何も言わない。
「良美?」
やはり良美は動かない。すると、布団の中でモゾモゾするものが。
そしてそれはベッドから転げ落ちた。現れたのは全裸のきぬだった。
「カ、カニ!? よ、よしm……」
良美の方を見た瞬間、レオの視界に入ったのは……熊だった。

ドガァッ!!

熊の木彫りの置物がレオの顔面に直撃した。
「しぎゃあぁぁ!!?」
鼻血をキラウェア火山のように噴出させるレオ。
良美は既にそこにはいなかった。
ティッシュを鼻に詰め込んで止血すると、レオは着替えて家を出た。
「すーすーすー」
きぬは起きている事態に気がつくことなく、幸せそうな寝顔でいた。


裏切られた……。レオ君なんて、レオ君なんて……んでしまえ。


「良美〜!!」
レオは家を出て名前を呼んだが、既にどこかへ行ってしまったようだった。
「クソッ! なんで…」
レオは、きぬが何故ベッドの中にいたのかが分からなかった。しかも全裸で。
酔っていたせいか記憶が無い。
(まさか勢いで……)
レオは首をブンブン横に振る。(二日酔いのせいで)頭が痛くなった。
良美の携帯電話に何度もかけたが出る気配はなかった。
その時、レオはスバルと新一なら真相を知っているかもしれないと思い、
電話をかけた。

10分後、スバルと新一が到着した。
「なんだレオ? こっちは二日酔いだってのに」
「頭がガンガンする」
2人とも二日酔いらしい。レオは2人に事情を説明した。

………

「なんだと!? そんな事があったのかよ!」
「何も覚えてないのか?」
「やってた本人が何も覚えてないとは……」
スバルも新一もため息をついた。レオは頭を抱えて座り込んでしまった。
「坊主、これからどうすんだ?」
「まずは良美の家に行ってみる。スバル、フカヒレ、協力してくれ」
「まっ、しょうがないな。俺たちも飲んでたことだし」
スバルはフッと笑い、やれやれと思った。
「俺は忙しいんでパス」
「お前も行くんだよ!」


スバルに襟首を掴まれ、新一は引きずられて行った。
それからレオは良美の部屋へ向かった。

既に太陽は沈み、夜を迎えていた。月が出ているせいか、明るい。
レオは部屋のインターホンを何度も鳴らしたが出てくる気配は無い。
その時、レオは合鍵を持っていた事を思い出した。
開けて入ってみたが、良美はいない。トランクが置いてあるところを見ると、
帰って来たばかりのようだった。
部屋を後にし鍵を閉めると、隣の部屋からオバサンが出てきた。
「あら、隣の佐藤さんならさっき両手にお土産抱えてどこか出かけて行ったわよ? 
 お土産もらってねえ……」
それからそのオバサンの話が続いたが、レオの耳には入らなかった。

レオは町中を探し回っていた。そして松笠駅で意外な人物に出会った。
「あら、対馬クン。奇遇ね」
霧夜エリカの登場である。
「姫!? こんな時間に」
「今から帰るところよ。よっぴーからお土産もらったかしら?」
「それが……」
レオは良美が行方不明になった事を告げた。
「アンタよっぴーに何したのよ!!!」

ズガッ!

「ギャースッ!!」
レオはアバラとアバラの間に鉄拳を打ち込まれた。そしてエリカは両手でレオの首を絞めた。
「ひべっ! はがぢをぎいべ〜(姫っ! 話を聞いて〜)」
「問答無用!!」

ガスッ!


「はぐおぅ!!!」
鳩尾にニーキック。
そして路地裏に。

……

「そんな事があったの…」
「はい……」
首に締めた跡がクッキリ残っているレオ。内部(ボディ)にも相当なダメージが与えられた。
弁明が間に合わなかったら危うく息子が潰されるところであった。
ヤクザよりタチが悪いとレオは思った。
「何をお考えかしら? 対馬クン?」
「いえっ!! 何も!!」
「わかっているわね? 死んでも私のよっぴーを見つけるのよ! 見つけられなかったら…」
「見つけられなかったら?」
「殺すわよ♪」
背筋が凍ったレオ。この人は本気だ、レオはそう思った。
顔は笑ってるけど眼は笑っていなかった。
(どっちにしても死ぬのか? 俺)
その時、レオの携帯電話の着信音が鳴った。新一からである。
「……わかった。今行く」
「どうしたの?」
「良美を松笠公園方面で目撃したクラスメートがいたらしい」
レオとエリカは公園方面へ向かった。
だが、レオにはある不安があった。
それは最近、夜間の公園近辺がタチの悪い連中の溜まり場になっているという噂だった。


2人は公園の近くまで来ていた。
「この辺で手分けしましょう」
エリカはレオに提案した。
「わかった」
レオは公園の方へ向かっていった。
そしてエリカは携帯電話を取り出してコールした。


良美は公園のベンチにただ座っていた。
何かを考えている訳でも無く、何かをしようとしている訳でも無く。
眼の焦点が合っていなかった。

あはは……。裏切られちゃった。
ずっと信じてたのに。信じろって言ってたのに。
なんでカニっちと? 
だから人間なんて信じられないんだよ。
みんな汚いんだ。汚くて醜い生き物なんだね、人間って。
信じろって言ったのはレオ君じゃない。
人を信じなきゃ幸せになれないなんて嘘。
信じたって幸せになんかなれなかった。
幸せなんて無かった……
この世界に無かった……

そして良美は立ち上がった。
何かをしようとしている訳では無い。
ただ立ち上がって歩き始めただけなのだ。
その時、良美の携帯電話の着信音が鳴った。
ハッと我に返った良美は携帯電話のディスプレイを見た。エリカからだった。
『もしもし、よっぴー?』


良美は聞こえてはいたが、声を出すことは無かった。
エリカはお構いなしに話を続けた。
良美はただ聞いていた。
そして―――

「―――!?」

良美は携帯電話を落とした。そして膝を地面についた。
真実はあっけなかった。
すべては自分の勘違いだったのだ。
裏切ったのは自分の方だった。良美はそう思った。
レオに対して心の中であったにしても呪いの言葉を
散々吐いてしまった事に対する罪悪感が良美を襲った。
事実であったが、真実では無かった―――


「どうしたんだい?」

良美が顔を上げると、見知らぬ若い男が5、6人。良美を囲んでいた。
「こんなところにいないであっちで俺らと楽しいことしようぜ〜?」
金髪の男が良美の腕を掴んだ。
「嫌っ! 放して!」
良美は男の手を振り払った。
「勇ましいねぇ。こういうシチュエーション大好きなんだけど」
他の男が良美を押さえつけようとした。良美も抵抗をした。
その時、良美の爪が一人の男のまぶたを引っ掻いた。
「痛えな! 何しやがるんだ! このアマ!」
良美は頬を張られた。そして沈黙。良美は恐怖で動けなくなってしまった。
その後、良美は物陰の方へ連れて行かれた。
「さあお楽しみショーの始まりだぁ」


下卑た笑いを浮かべた6人の男に良美は為す術が無かった。
(助けて、エリー!)
親友の名を呼ぶ。
(助けて……)
男達は良美の服を剥ぎにかかろうとした。
「レオ君―――!!」

ドガァッ

一人の男がレオによって吹っ飛んだ。
続いて、レオは隣の男に殴りかかった。
「なんだテメエは!」
「良美! 逃げろ!!」
注意を一瞬そらされた男達は良美に逃げられてしまった。
レオは殴ろうとしたが、鳩尾に相手の拳が入った。
「ゴフッ!!!」
レオはかがんでしまった。
続いて残った男たちがレオを袋叩きにした。
「レオ君!!」
良美は逃げたはずだったが、仲間がまだいたらしく再び捕まってしまった。

その様子を見ていた男が一人。
鮫氷新一である。
「レオ…、よっぴー……。どうしたらいいんだ」
ここで出て行ってもやられるのがオチである。
警察を呼ぶ時間もなさそうであった。
こんな時、乙女やスバルがいればと思わずにはいられなかった。
だが、漢を見せる時が来たのだと新一は思った。
「シンイチ・サメスガ少尉、突貫します!!」
そして新一は良美を捕まえていた男たちに突っ込んだ。


「なんだコイツは!?」
新一は決死のタックルを決行した。
「よっぴー! 逃げろ!」
だが、タックルをする前に新一は捕まった。
「あ、あれ?」
そしてレオと同じく袋叩きにあった。
「フカヒレ! このバカ……」

ドサッ

その時、血だらけになった男がレオの目の前に倒れた。
レオが上を見上げると、そこには頼れる兄貴がいた。
「スバル!」
そして、

グシャッ、バキャ

「私のよっぴーに汚い手で触んないでよ!」
お嬢様登場。良美を捕まえていた男2人を倒した。
「エリー!」
「ひ、姫……!」
良美はエリカにしがみついた。
「私が来たからには大丈夫よ?」
この2人がいたら、たかだか数人を相手にするぐらい問題は無かった。
だが、男たちの仲間がゾロゾロと集まってきた。およそ20人といったところか。
レオが不安を抱いていた事とはこの事であった。
相手は最近、この公園近辺を縄張りにしている不良グループだったのだ。
「テメエ竜鳴館の伊達だろ? オレのダチをボコってくれたらしいじゃねえか」
金髪に鼻ピアスをした男がスバルに寄ってきた。


「お? よく知ってんじゃないの? だけどダチをボコってくれたのはお互い様じゃないのか?」
「ああん? 今日をテメエの命日にしてやるよ」
「上等だ! オラ!」
不良たちがジワリジワリ寄ってくる。
「よっぴー、逃げなさい。ここは私たちに任せて!」
「う、うん……」
良美はこの場を後にした。だが不良2人が追いかけていく。
「レオ! ここは俺たちに任せてよっぴーを助けろ!」
「対馬クン、よっぴーを頼んだわよ!」
「すまない! スバル! 姫!」
レオは良美が逃げた方向へ走り出した。
「逃げんな! 待……」
追いかけようとした不良の一人をエリカが延髄蹴りで沈めた。
「さーて、ショーでも始めましょうか? スバル君?」
「そうだな。俺のダチに手を出したからにはタダで帰さねえぞ!」
「よっぴーに手を出したからには生きて帰れないわよ?」

5分後、この2人の手によって、この不良グループは壊滅した。

その頃
「オラァ!!」
熱血化したレオの拳が不良のアゴを捉えた。
(ダテに去年1年間、乙女さんに鍛えてもらったワケじゃない……!)
続いてもう一人の鳩尾に拳を入れて沈黙させた。
そして、敵わないと判断したのか、不良2人は退散して行った。
空に出ていた月は雲に隠れ、怪しい空模様となった。
月明かりに照らされてたはずのこの場所は暗闇に包まれ、街灯の明かりが照らすのみだった。


「良美!」
レオは良美に駆け寄った。
だが、良美はレオから1歩、2歩と後ずさりをした。
「良美……?」
すると、良美は後ろを向いて話し始めた。
「あれは誤解だっていうのはエリーから聞いたよ」
(姫が? ありがとう、姫)
「私の勘違いだった。ゴメン」
「全部俺が悪かったんだ。どういう形であれ、お前を傷つけるような事をしたんだからな。
 お前を、裏切る真似をしたんだ。お前は何も悪くない。だから謝らなくていいんだよ!」
「よくない!!」
「良美…」
「よくないんだよ。さっきまで心の中でレオ君を罵っていたし、レオ君を呪っていた。
 裏切り者だって思った。死んじゃえばいいって思った。
 だけど違ってた。裏切ってたのは私の方なの。レオ君を信じてなかったから
 今みたいな結果になっちゃって、レオ君だけじゃなくてエリー、伊達君、フカヒレ君、
 みんなに迷惑かけちゃった。私がレオ君を信じてさえいたら、真実をちゃんと見てたら、
 レオ君だって苦しむ事無かったのに!」
「そんなこと、無いよ」
「ウソよ! ……レオ君は優しすぎるよ」
「お前の事が好きだから、こんな事何でもないんだよ!」
「こんな私を好きにならないで……。レオ君と付き合う資格なんて私には無いもの。
 みんな私を嫌いになってよ! どっかいってよ!」

「それはできないわね」


暗闇から現れたのはエリカだった。続いて、気絶している新一を背負って歩いてくるスバルもいた。
「私はよっぴーが大好きだからそんな事できないわよ?」
「かわいーもんじゃない。こんな事で嫌いになれるかってんだ。世の中の悪い女に比べたら、
 何も曲がった事してないじゃん。悪いのはそこの坊主なんだからよ?」
スバルに言われ、レオは少しムッとしたが、それは事実なので反論できない。
「なあ、良美。みんなこう言ってるんだ。こっち向いてくれよ。お前の笑顔を見せてくれよ!」
良美はレオの方を向いた。だが、笑顔ではなかった。
そして雨が降り出し、やがて土砂降りとなった。
「キャッ!」
「うわっ!」
スバルとエリカは突然の大雨に驚き、この場を後にしようとした。
だが、レオと良美は動かなかった。
スバルとエリカにはレオが口を開いているのは見えたが何を言ってるのかは
この雨音で聞こえなかった。

「今、俺は、お前が傍にいない人生なんて考えられない。
 前にも言っただろ? 大切なのはこれからだって。
 そのこれからを、お前と一緒に歩いていきたいんだ。
 だから、ずっと、ずっと傍にいてくれ! 俺は、お前を、佐藤良美を……」

レオはこの瞬間、時が止まって良美と2人だけの世界にいるような感覚だった。

「世界で一番、誰よりも、愛している」


土砂降りの雨の中で、少女は立っていた。
少女は自分の頬に熱いものが流れているのに気がついた。
これは雨。そう、そうに決まってる。
雨に違いない。
少女は自分に言い聞かせた。
だが、少女はその雨が自分の目から溢れている事に気がついた。

そうか、これは涙だったんだ――――


そして、良美はレオに抱きついた。幸せにすると誓った彼女をレオは抱きしめた。
笑顔を見せて、良美は崩れ落ちた。
レオは支えようとしたが一緒に崩れ落ちた。
「ありがとう、ありがとう、レオ君……」
「良美! ずっと離さないぞ!」
レオは痛くなるほど良美を強く抱きしめた。だがすぐにそれは弱々しくなった。
「……レオ君?」
レオはこの雨の中で眠りについた。
レオが眠っていることに気づくと、良美は包むようにしてその胸に抱きしめた。
冷たい雨の中で良美は、たった一つの温もりを感じていた。

スバルとエリカには、その抱きしめる姿は優しい母親のように見えた。



〜5年後〜

「俺と結婚してくれ。ずっと傍にいて欲しいんだ」

大学卒業後、エリカの誘いもあって2人はキリヤカンパニーに就職した。
それから1年後、レオは良美にプロポーズしたのだ。
プロポーズした場所はあの公園だった。

「幸せにしてやる!」
「ずっと離さないぞ!」

あれらの日と違ってこの日は快晴だった。
もっとも雨だったらプロポーズなんてしないのだろうが。

レオは良美を強く抱きしめた。
良美は涙を流した。

それはあれらの日と何も変わらなかった―――

〜FIN〜




補完編

「よーし! 次は王様ゲーム!!」

明け方、対馬家では未だに飲み会は続き、王様ゲームが始まっていた。
4人で王様ゲームというのはどうかと思うが。

「王様はボクだー!!」
きぬは立ち上がり、下卑た笑いを浮かべていた。
「2番と3番が…」
2番はレオ、3番はスバルだった。
「野球拳!!」
「男同士で野球拳なんて見たくねー!!」
新一が抗議する。
だがそんなことはお構いなしに2人は野球拳を始めていた。
レオもスバルもハイテンションでノリノリだった。

結果は、レオが残りパンツ一枚になっていた。スバルは無傷。
そして、レオが負けた。
「「「脱げ! 脱げ! 脱げ! 脱げ! 脱げ! 脱げ!」」」
3人が脱げコール。
「脱げるかー!!」
逆ギレするレオ。
「お? 王様の言うことが聞けないってのか? ヒック」
きぬがレオに絡む。
「どうせお粗末なモノしかもってないんだろうけどよ」
「何? おい、カニ。そういうお前だって貧相な身体してんじゃねーかよ!
 山も谷も無えんじゃねーのか? 幼児体型よ〜?」
「そ、そんな事ないもんね!!」
「お? 泣くのか? そんな事無いんだったら証明してみろ〜!!」
「チクショー!! 見せてやんよ!!」
本当に脱ぎだしたきぬ。


「わー! バカ! やめろ!」
スバルと新一が止めに入った。

「それじゃ、おやすみー♪」
レオは満足したかのようにベッドに入り、眠りについた。

……

「やっと寝たな」
「ああ。スバル、そろそろ帰ろうぜ?」
「そうだな」
夜が明けた後、スバルと新一は部屋から出て行った。
全裸にまでなったきぬは薄い布団をかけられ眠っていた。

「うーん。トイレ……」

………

「そんな事があったの…」
「はい……」
エリカはレオから事情を聞いた。
(対馬クンとスバル君が野球拳……? そしてその後は? ドキドキ)
次回の「作品」の構想を膨らませていくエリカであった。

〜おわり〜




番外編

「鍵が閉まってない?」
乙女は夏休み中、盆休みを利用してレオの家に遊びに来た。
一年間世話になった家なので愛着もあった。
だが、玄関の鍵は閉まっていなかった。
日が沈んだ後なので、中は暗かった。
2階に上がり、レオの部屋に入ると乙女は思わす鼻をつまんでしまった。
部屋中に漂うアルコール臭。
床にはビールやチューハイの缶が転がっていた。
「未成年の分際で……」
怒りを覚えてきた乙女だが、次の瞬間驚愕することになる。
「か、蟹沢!!?」
ベッドの上にはきぬが寝ていた。全裸で。
「まさかレオの奴が……?」

レオは佐藤と付き合ってたんじゃないのか?
半年もしないうちに情勢がここまで変わっているとは…
私がいなくなってだらしなくなって……

「う〜ん。あれ? 乙女さん?」
「蟹沢。その格好はなんだ?」
「え? ……。わー! なんでボク素っ裸!? まさかレオに!?」
「何!? レオの奴が!! なんて破廉恥なマネを〜!!」

数時間後。
対馬家に帰ってきたレオ、スバル、新一はきぬ共々、
乙女から5時間の正座+説教を食らったとさ。
ついでにレオがきぬとの出来事を乙女に弁明するのに明け方までかかったそうな。

〜雨のち晴れ ホントに終わり〜


(作者・KENZ-C氏[2005/12/29])

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