ザー…

朝から降り続いている雨は渇きった土に潤いを与える。
そして私の心にも…。


あの日私に潤いを与えてくれた人は

…チラッ

「…」

気持ちよさそうに目を閉じていた。


私は変わった。


日照り続きでカラカラに干上がった大地に空から降って来た雨露は徐々に染み込んでいき、
小さな…ほんの小さな四つ葉を芽吹かせた。

きっかけはなんだっただろう。それはほんの些細なこと。
思い出そうとしなければ思い出せないような。
しかし想いは膨らんでいった。
小さな…ほんの小さな出来事の積み重ね。

気がついた時には私にはどうすることも出来ないくらい大きくなっていた。
あの時はただ私の元へ繋ぎ止めておきたかった。今考えると歪んだ事だっていうのは解っていたけど、それでもよかった。私のモノであれば。


それは段々エスカレートしていった。彼の周りに集まるモノ全てが許せなくなり、全てを排除しようとした。



そして…彼をも疑ってしまった。



そもそも始めから信用していなかったのかもしれない。
全てがバカバカしく思えた。殺して死のうとさえ考えた。

彼の温かさが怖かった。私が私じゃなくなりそうだったから…。



それでも私はその温もりから離れることは出来ず





…なにかが崩れていった。


彼は全てを受け止めてくれた。初めて自分と向き合った。


「泣きたい時は、泣いていいんだ」
「俺を信じろ」





…嬉しかった。

人を信じることがどんなに温かいことか、幸せなことか
雨は降り止まず心を潤してくれた。



そして冷たいはずの雨は温かく、クローバーを見守り続けた。


(作者・名無しさん[2005/12/23])

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