すこぶる調子がいい。
踏み込みが重心前に傾斜
危ない……!全身のバネを使って避けることに集中。
「ほうレオ、あれをよけるか」
いくらか感心したような乙女さんの声が聞こえる。
わけもなく本能に身を任せただけだ。死にたくない。
情けないがここ一番では勘が頼りになる。
乙女さんがゆっくりと構えを直す。ヤバイ、
あれは「もう一段ギアを上げます」
という無情の合図、意識があるのもあと数分かHAHA……
「いくぞレオ…せい!」
威勢のいい掛け声とともに不可視の一撃が―


姫と共に歩む存在になるため、
早朝の鍛錬は必須になっていた。
そのかいあってか、SPの一候補ぐらいには上がっているらしい(佐藤さん談)
まあ今は姫の秘書兼書生といったところだけど。
「大丈夫かレオ?なにか冷やすものを…」
「大丈夫大丈夫。それより仕事だよ?もうそろそろ」
「む、もうそんな時間か…ではレオ、本当に大丈夫そうなので行ってくるな」
「うん、いってらっしゃい」乙女さんははじけるように外に出て行った。今日も元気だな、
職場同じなんだけど。俺もいくか。


「おはようございます社長、佐藤さん」
「あ、対馬君おはよう」
ロビーでエリカと佐藤さんに会った。一応TPOはわきまえてる
つもりだからそれなりの対応をするのだが、ごく一部に甚だ不評だ。
じーーーーーーっ、と見られると窮するな。
エレベーターへ誘導してやっと二人(三人)になる。
「エリカ、改めておはよう」
「ええ。レオ、おはよう。さわやかな朝にはレオの挨拶が一番ね」
「・・・なんかクラっときたよいまの台詞」
「そのために言ってるもの。そうじゃないと困るわ」
頬をさすりながらフフッとか囁くからオレも困る。
「顔が赤くなってるわよ?まーだ慣れないんだ、まあそういうとこがかわゲフンゲフン
うん。からかう甲斐があるのよねー」
「エリカ、か顔が、ちっち近いよ!」
「なあにかえって免疫力がつくはず、よ」

結局、朝から熱烈な抱擁とディープキスを頂戴した。
「・・・すから、・・・して(ぶつぶつぶつ)」
なんか寒気がしたけど下は脱がされなかったから上出来だろう。


大方の秘書の仕事はほとんど佐藤さんがやってしまうのだが、
―午前中はやけに無口だったけど―それでもやることは多い。
常ならいろいろな雑務に翻弄される時間帯だけど、乙女さんに呼び出された。
乙女さん自らSPを鍛えるとあってはオレも参加せずにはいられない。
姫の「SP」というものにも格付けがあって、始終付いているのはやはり筆頭の
乙女さんだけれども姫近辺、周辺を守るのは最精鋭の五人。これだけしか姫の
「SP」とは呼ばれないらしい。なんとも狭き門だ
正直SPの人たちはオレのことを好ましくは思ってないだろう。、でも・・!
「まだ立つか?レオ」
「応!」
あきらめるには、まだはやすぎる!


「私の体に6発もいれたんだ。もうすこし誇りに思え」
「うん。でもそのあと気絶したのはマズったなあ」
「いやSPの連中も驚いていたぞ、見ろまだ生きてる俺の勝ちだ!とな」
賭けの対象にされてたのねハハハ・・・
「いいかちゃんと寝るんだぞ、傷は熱をもつからな」
「はい。おやすみなさい乙女さん」
「レオ・・・おやすみ」

途中私にも追いきれなかった動きがあった・・・
というより先を読まれたような妙な感覚があった。
早朝のそれよりも顕著に感じるこの感覚
「私は・・!レオに気取られているというのか?!」
キリヤカンパニー筆頭SPにして最強の剣、鉄乙女は
いま自身初めての戦慄を感じていた。

時代はまさに風雲急を告げようとしている!


(作者・名無しさん[2005/12/20])

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