―ある日の放課後―

「なあレオ。」
「何だフカヒレ?」
「今日確か乙女さん泥棒を捕まえたんだって?」
「ああそうだ。」
 こんな事を話しながら俺達は生徒会室へ向かっていた。
「それでさ、そのとき腰の刀抜いたんだよな?」
「そうだ。」
「確か地獄蝶々といったよな・・・・あれかっこいいな。」
「そうだな。」
 フカヒレは目を輝かせている。俺も乙女さんが誉められて嬉しい。
「俺もあんな事出来ないかな?」
「無理だ。」
 ズブの素人が刀を片手で振り回す事ができるか。
「いやいや、やってみないと分からないぞ。確か心に刀を思い浮かべその名前を叫ぶと
出てくるってどっかの漫画で見た気が・・・。」
「そのネタは危険すぎるからやめとけ。それにあの刀は館長から承った業物だ。」
 そんなことで出来たら剣豪達に失礼じゃあないか。
「えーと・・・・集中して・・・・。」
 フカヒレは目をつぶって手を前に出して集中している。
 とうとう奴も現実と空想が区別つかなくなってきたか・・・やれやれ。
「・・・・なるほど。」
「・・・・?」
 俺が不思議に思っていたとき、突然手が光りだした。
「・・・まさか・・・。」


「『食い尽くせ!』鮫刃(こうじん)!」
「なあにぃぃ!?」
 フカヒレがそう叫んだとき、手には剣が握り締められていた。その形は大きな青龍刀で
刃がノコギリ見たいにギザギザになっている。
「イエーイ!俺にも出来たー!」
「・・・・・なぜ?」
 フカヒレは嬉しそうにはしゃいでいる。俺は開いた口がふさがらなくなった。その話し
でも、それは容易にできる事ではなかったはず・・・。
「これは早く帰って美雪に報告しなければ。」
 美雪とは最近流行っているゲームのキャラ名である。高度なAIが搭載され、ある程度
受け答えができ、さらに学習して成長もしていく。
「所詮2次元だろ・・・・。」
「2次元て言うな!」
「AIが搭載されているとはいえ・・・・ただのプログラムだろうが。」
 俺があきれ顔でそう言った時フカヒレの目つきが変わった。
「レオ・・・2回も言ったな・・・。」
 何だか奴の顔が怖い。
「確かに前もそう言うことは言ったが・・。」
「カニにも言われた事無いのに!」
「だからどうした!」
 なんだかフカヒレの腕が震えてる。刀持ってそういうことするんじゃない。
「レオ!お前を倒す!」
 フカヒレの口調が一気に変わった。まるで新米のヘタレパイロットがプライドの傷つけ
られた王子のように。つーか、やばくねえかこれ?
「おりゃあぁぁ!!!!」
「うわっ!」
 フカヒレはいきなり斬りつけてきた、少し服が破れた。
「お前これ洒落にならないだろうが!」
「勝負だカ・・・じゃなかったレオ!」
「くそっ・・やるしかないのか。」


 こうなったら俺も奴がしたようにするしかない。確か目をつぶって・・・・。
「やっと本気になったか・・・そうでないと面白くない。」
 集中するとだんだん剣が見えてきた、よしこいつの名前を・・・!
「『湧き出ろ』流水丸!」
 そう言うと俺の手には刀身の色が青い刀が握られていた。
「これで5分だ!」
「ならば覚悟しろ!」
 そう言うとフカヒレは刀を振りかざして俺に襲いかかってくる!俺は持っていた刀で受
け止めた。
「とりゃぁぁ!」
 そしてものすごい速さで斬ってきた。さすがにすべては受け止めれず少し傷を負ってし
まった。
「くっ・・・。」
「どうした?こんなものか?」
「ならばこっちから攻めさせてもらおう!」
「ほざけ!」
 俺は間合いを詰めて斬りに掛かった。奴はそれを受け止めようとしている。かかっ
た・・・!
「なにっ!?」
 俺の刀は少し細くなって伸びた。そして鞭のようにしなり曲がって、奴に傷を負わせた。
「くっ!・・・なんだそれは・・・。」
「俺の刀はどうやら水の属性を持っているようだな。そして水には決まった形は無い。」
「なるほど・・・。」
「刀の体積を超えてまでは変形できないが、その範囲内で自由に形を変えれるみたいだ。」
「そうか・・・だが。」
 そう言ってエフカヒレは刀を地面に叩きつけた、そこがえぐれた。
「力では俺の方が上だ。」
「そうかもな。」
 そしてお互いニヤリと笑って戦いを再開した。そして何度も剣戟の応酬があった。


「はあっはあっ・・・。」
「ぜいっぜいっ・・・。」
 勝負は全くの5分だった。
 2人とも息があがっている。ちっ、ここまでやるとはな。
「どうやら次で最後のようだな。」
「そうみたいだ・・ならば!」
 そしてフカヒレは剣を構えてこう叫んだ。
「『卍解!』天部鮫刃(てんぶこうじん)!」
 目の前には巨大な鮫が現れていた、その大きさはビル5階分に相当する。
「この1撃で決めてやる!」
「そのネタ使いやがったな・・・・・ならば俺も!」
 そして剣を構えた。
「『卍解!』獅子王流水丸!」
 俺の頭上に巨大な水の獅子が現れた、その大きさはフカヒレに鮫に引けを取らない。
「これが正真正銘の・・。」
「最後の1撃と言うわけか・・・。」
 俺達は笑みを浮かべていた。そして・・・。
「「行けっ!!」」
 鮫と獅子が激突した。しかしその時大きな声が響き渡った。
「お前達何をしている!」
「乙女さん・・・・。」
「お前達が騒いでいると苦情があったから来たのだがなんだこれは!?今すぐやめない
か!」
「これは男と男の意地がぶつかっているんだ!口出ししないでくれ!」
「そうだ!そうだ!ケリがつくまで口をはさまないでくれ!」
 乙女さん、いくらあなたの頼みと言えども・・・これだけは譲れないんだ!
「ならば強制的に止めるしかないようだな・・。」
 そう言って乙女さんは剣を構えた。


「『卍解!』神聖地獄蝶々!」
 そして鞘から剣を抜いた瞬間、鮫と獅子は切られていた。
「えっ・・・?」
「うそ・・・・。」
 俺達は唖然としていた。そして俺達を睨んでこう言った。
「2人ともすぐに生徒会室に来い!」
「「サー!イエッサー!」」
 俺達はダッシュで生徒会室に向かった。


「お前達学校であんな事するんじゃない!」
 生徒会室につれてこられた俺達は正座をして乙女さんにこっぴどく絞られていた。
「そもそもなぜあんな事になったんだ。」
 乙女さんがそんなこと聞いてきた。いえない・・・・まさか事の発端が、俺がフカヒレ
のゲームキャラを馬鹿にした事だって口が避けてもいえない・・・。
「ともかくこれに凝りであんな事は2度とするな。」
「分かりました・・・・。」
「反省しています・・・。」
 しかし改めてみると俺って馬鹿だな・・・。
「だがレオ、鮫氷、お前達がそこまで剣の使い手だとは思わなかったぞ。」
「えっ?」
 急に乙女さんが目を輝かせてそんなこと言い出した。まずい・・・・これは非常にまず
い・・・・・。
「ならば私がお前達をさらに鍛えて一流の剣客に鍛えてやろう。」
「えっ、遠慮します。」
「おれも辞退したいです。」
 乙女さんの地獄のトレーニングには付き合いたくねえ・・。
「尚これは今回のペナルティであって辞退は許さん。」
 そして凄んでこう言った。
「わかったな。」
「「サー!イエッサー!」」
 こうして俺達は乙女さんの地獄の特訓に付き合わされる羽目になってしまった。
 そして数ヵ月後、最強のタッグ風紀委員が誕生するのであった・・・。
 めでたしめでたし。


(作者・区区氏[2005/12/06])

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