さーて、今日もレオの部屋へ向かうかっと。
電気がついているのを確認し、屋根伝いに窓から飛び込む。
「おーっす、遊びに来たぞ」
「おっす。今ちょっと手をはなせねーから、好きにやっててくれ」
部屋にはスバルもフカヒレも来てなくて、レオは机でボトルシップ作りをしていた。
レオと二人か。ちょっち恥ずかしい。
折角だから二人で遊びたいけど、さすがにアレ邪魔するとレオ怒るしな。
つまんねー。しゃーない、ゲームでもやるか。
勝手知ったるレオの部屋。ゲーム機を取り出し、ソフトを差し込んで電源を入れる。
しかし、セーブデータを開いたところでボクの手は止まった。
「・・・レオ、おめーまたやりやがったな!」
「な、何をだよ?」
ボクの怒りに恐れをなしたか、レオはボトルシップを置いてこちらを向く。
「いいか、一度しか言わないからよく聞きやがれ!
ボクのデータ、勝手にレベル上げしやがっただろ!」
「ああ、確かにあげたけど・・・何でそれで怒るんだ?」
きょとんとした顔のレオ。自分の犯した罪に気づいてないようだ。
全く、最近調子にのってやがるな。
「いいか、ボクはな、今回は低レベルクリアを目指してたんだ。
それをガバガバレベルあげやがって!どうしてくれるんだチクショー」
「げっ、そうだったのか。でもあれ?前、お前そのゲームのレベル、
上げといてくれって言わなかったか?」
「全く、気がきかねーなおめーは。昨日雑誌で見てやりたくなったんだよ。
あの時はあの時、今日は今日。そーゆーボクの可憐な乙女心くらい察しやがれ!」
言い切ると、レオがふと下をむいてわなわな震え始めた。
おおっ、自分の罪深さに気づいて反省したか。


「まあ、反省してるようなら許してやろうかね。寛大だな、ボクは。
ん?レオ、聞いてるか?もしもーし?」
「無茶いうなーっ!!そういうことなら始めから言っておけ!!」
こ、こいつ反省もせず逆ギレしやがった。しかもまるでボクが悪いような言い方しやがって!
「なっ、なにー?自分の非を認めねーだと!?往生際の悪いヤローですね、オイ。
さすがの優しいボクにも限度ってもんがありますよ?」
「わけわかんねーことでボトルシップ作り邪魔しやがって。知るかバカタレ」
あきれたようにつぶやき、レオはまたボトルシップに取り掛かった。
「くぬぬぬぬ。屁理屈こねやがって。もう知らねーよ!じゃあな!」
窓から飛び出る。
「って、わおっ!」
急いで窓から飛び出たせいか屋根から落ちかけちまった。あぶねー。
チクショウ、これもレオのせいだ。今日はもう顔出してやらないもんね。


「ZZZzzz。むにゃむにゃ、、、つよき、、、き、、だろ、、、れお・・むにゃ・」
「おい出がらし、朝だぞ!」
「負け、、ねー、、、、おんなは、、、度胸・・・・」
昨日はレオへの報復作戦を考えてたせいで夜更かししちまったんでねみぃ・・・
あたまがうまくうごかねぇ・・・
「おら、起きやがれ!」
うぶっ、冷たっ!目が覚めた。
「んん〜ふぁ〜、うー、おはよ」
「おはよさん。20分後に下でな」
「分かってるって〜」
レオが出て行ったので、着替えを始める。


ん?っておい、ボク水びたしじゃねーか!あのやろー、水ぶっかけやがったな!
タオルを取りに下へ下りると、
「出がらし、時間ないんだろ?これ食いながら動け」
ババアにパンをくわえさせられた。ボクの朝飯これだけか?手抜きだぞババア!
といっても確かに時間がない。このままでは朝デッドする時間がなくなっちまう。
どたばたと手早く服を脱ぎ捨て、頭と体を拭き、
ついでに台所で砂糖とミルクたっぷりのコーヒーを入れて部屋に戻る。
「全く、朝から騒々しい出がらしだね。水がしたたってさえ色気もない」
後ろから聞こえた声は無視だ、クソババアッ!
しかしレオのヤロー、いきなり水かけるとは昨日のことまだ逆ギレしてるのか?
くそ、後で会ったらつねってやる!
いや、ここは無視して寂しい気持ちを味あわさせてやるか。
普段ボクのかわいらしさにどれだけ元気をもらってるか確かめさせてやろう。
デッドを聞きながらコーヒーでパンを流し込む。
よし、作戦もばっちりだ。行くか。
CDを止め、階段を駆け下りる。
とりあえずあいさつくらいはしてやろう。かわいいボクの笑顔で和みやがれ!
「やぁ」
あいさつしながら玄関から出る。しかしレオはいない。
「何やってんのさ、出がらし。お前がもたもたしてる間にレオ君は先行ったよ」
「ぐおおお、あのヤロー!」
大事な物を忘れやがってーーー!
怒りに燃え、学校への道を走り出した。


「ちょっと待てやー!このボクを忘れていくとは何事だー!」
弾丸の如きスピードでレオに追いつく。
「おっ、追いついたか。ほれ、時間ないんだからさっさと学校行くぞ」
「おおっこの坊主は、謝罪とか懺悔の言葉もなしですかい?」
「起こしてやってるだけで感謝しやがれ」
言われて水をぶっかけられたことを思い出す。こっ、このヤロー。
「んで、カニ、今日は何で遅れたんだ?」
時間がないのは確かなので一緒に進むが、作戦を思い出してふくれながら無視する。
すると、レオがマジマジとボクの顔をのぞき込んできた。
(な、何だよ、ボクのかわいさについみとれちゃったってか?仕方ねーな、あん?)
間近にレオの顔が近づいてきてつい顔が赤くなってしまう。
「・・・お前のふくれてる顔ってカニ型の風船みたいでうけるな?」
「・・・・無視無視・・・聞こえないふり・・・ってできるわけねーだろ!
この可愛らしいボクを捕まえてんなこと言うのはこの口か!?許せねー!くぬっくぬっ!
レオが、謝るまで、ひっぱるのを、やめない!」
口の中に手を突っ込んで、思いっきりひっぱる。
「わーはった、わはった、ほめんごめん」
むう、投げやりな謝り方しやがって。
まあ、ずっとひっぱっててもしょうがないのではなしてやる。
全く、こっちの気持ちも知らないでいい気なもんだぜ、チクショー。


「おはよう、カニっち」
「カニっち、おはよネ」
「おはよー」
適当に挨拶しながら教室に入って自分の席に着き、レオの口をひっぱってた手を見つめる。
もしこの手にキスしたら、間接キスになるのか・・・。
「・・・・」
ってボクは何考えてるんだ!全くこんなことを考えちまうも全部レオのせいだ!
一人で赤面しながらさっきのやり取りを思い出す。
あんなことばっかやってるからかな、キスなんて甘い話は遠くのもんに感じちまうぜ。
くそっ、レオ。ボクだって女の子なんだぞ。
なにやら腹が立ってきてレオの方を見てみると。
「あっ、おはよ、姫」
「おはよ、対馬クン」
きらきらした目で姫とあいさつをかわしていた。
身の程をしりやがれ、バカ!
しかしそんな光景を見ていると何だか焦って不安になってきやがる・・・。
やっぱ幼馴染ってだけじゃ・・・。
はぁ・・・。
何だかへこんでしまって授業に集中できず、祈ちゃんには宿題を増やされてしまった。
これもレオのせいだぜ、コンチキショー・・・。


気がつくと授業が終わって昼休みだった。こんな気分でもお腹はへる。
マナ達を誘おうと立ち上がると、横から声がかかった。
「なあ、カニ、学食に飯食いに行かないか?・・・今日は俺がおごるからさ」
横を見るとレオがバツの悪そうな顔をして立っていた。
「何か今日元気ないじゃねーか。お前らしくないぞ?スバルの星5つの誓いを忘れたか?」
おどけたように言ってるけど、こっちを心配してるの見え見えだぞ、レオ。
くすりと笑顔が浮かび、何となく元気がわいてくる。全く、ボクも現金だな。
「昨日は俺も少し言い過ぎたかもしれん。悪かった」
謝るレオ。全く、でも少しばかり見当違いだぞ。
でもまあ、許してやるよ。
「カレー」
「ん?」
「カレー大盛りな」
「うーん、学食のなら、まあいいか」
「よしっ、決まりな。そうと決まればレッツゴー、席が無くなるから急ぐぜ!」
レオの手をつかんで走り出す。
「うわっ、いきなり元気になりやがって。さっきまでのはふかしか!?だまされた?」
ははは、全く仕方ねーやつだ。
「ちょっとボクがボーっとしてただけであせっちゃってまあ」
「ぐあーっ、カニに、よりによって甲殻類なんかにはめられた!」
片手で頭を抱えながら走るレオ。
その頭に手をつないでない方の左手でチョップを入れる。
いつものやりとり。いつものケンカ。
でもやっぱり、
「全く、やっぱレオはボクがいなくちゃだめなんだな!」
そしてボクも、レオじゃなくちゃダメ、かな。


(作者・フカヒレファン氏[2005/12/06])

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