「2−Cの対馬さ〜ん、職員室まできてくださ〜い」
放課後、放送で俺を呼ぶ声が聞こえた。
「祈ちゃん、呼んでんじゃん。レオ〜、おめ〜何かしたんか?」
カニが聞いてくるが、まったく見当がつかない俺…。
「何もしてね〜よ!フカヒレじゃないんだし。まあ、とりあえず行ってくるかな…。
姫、今日はこのまま帰っても大丈夫?」
「ん〜、特に用事は無いからいいわよ〜」
佐藤さんが入れた紅茶を飲みながら、顔さえ向けることなく答える姫。
「んじゃ、おつかれさん」
そう言って竜宮を後にした俺は、呼び出された理由について考えてみた。
会ったところで別にケンカする訳でもないんだが…。いったい何の話だろ??
祈先生とのダラダラとした付き合いがはじまって、もう半年近くなる。
その間俺達はマッタリとした関係を続けてきた。ケンカなどするはずも無く、
会いたい時に会い、やりたい時にやりたい事をやっていた…。
「まっ、今夜のお誘いか何かだろ…」
なぜか嫌な予感がしたが、無理矢理かき消すと職員室に向かった。
「失礼します」
職員室の中は夕日が差し込んでおり、思わず目を瞑ってしまった。
「…遅いですわよ、対馬さん」
目を開けると祈先生が目の前にいた。少し眠そうな顔をしている。


「何か用で……先生?」
俺の話が終わる前に、倒れかかるようにして抱きついてきた。
「今日も一日疲れましたわ〜…」
「いったいどうしたんですか…ってか、ここ職員室ですよ!」
「大丈夫ですわ。他の先生方は、今会議中ですから。」
「先生は出なくて大丈夫なんですか、会議?」
当たり前であろう疑問をぶつける俺。
「出られませんわ〜、会議の内容は私達の事ですから」
「なるほど、祈先生の事はなしてるなら出られませんよね〜」
「私達ですわ」
「先生、また何かしたんでしょ?この前、鉢巻先生の私物を怪しいことに
使って殺しかけたばかりじゃないですか…」
「私達の関係が、皆さんに知られてしまったようなのです」
「今度は…、どうせ館長の髭でも使って変な事してたんでしょ?」
「確かに、『量産型橘平蔵』を作ろうとはしましたが…それとこれとは別ですわ〜」
当たるのはいつも、嫌なことばかり…。神様ってやっぱり意地悪だよ
「いつバレたんでしょうね?」
「聞いたのは今日なのですが、内容からするに先週の話ですわね」
先週は、いつも通りにドライブしてご飯食べてHしてHしてHして…
確かに見られてもおかしくは無いデートコースなだけに、お互いにいつかはバレる
だろうとは思っていたが、こうも突然にやってくるとは…


「それで、先生はその話をするために俺を呼んだんですか?」
最悪の事態には違いないが、なぜか俺の心は落ち着いていた。
俺たちのポイントは『マイペース』 そんな祈センセイの答えはこうだった…
「まさか、会いたくなったから呼んだだけですわ」
「ですよね〜」
別にやましい事をしている気はない。単に好きになった人が教師だっただけ。
お互いに心地の良い距離をとって、本能に従ってお互いを求める。
実に人間らしい関係。他人にどうこう言われようが関係ない。
「しかし、面倒ですわね…。あ〜、面倒くさいですわ〜」
いかん、このままだと関係を終わりにするとか言いかねないな…。
「確かに面倒なことになりましたね〜。どうしましょうか?」
とりあえず聞いてみる。
「面倒だからもうオシマイですわ〜」
ぐっ!!いきなりきやがったか…。しかし、引くわけにはいかない!
「会う頻度を減らしてみるとかどうですか?」
「私が会いたいときに会えないと意味が無いので、却下ですわ〜」
「それじゃあ…って、それくらいしか思いつかないな…」
「確かに、対馬さんと一緒にいると安らぎますし、心地よいですわ。今こうやって
抱かれているだけでもついウトウトしてきます…」
「お〜い、寝ちゃだめですよ〜!」


「あぁ〜あ、寝ちゃった…。危機感が無いというか、何も考えてないというか…」
とりあえずこのままじゃマズイので周りを見渡すと、部屋の隅にソファーがあった。
「来客用かな?まあいいや、あれに寝せよう。失礼しますよっと」
先生をお姫様抱っこしてソファーまで運ぶ。思ったより軽い…
口に出すと起きて怒り出しそうなので、言葉を飲み込みソファーに向かって歩き出す。
そして、のんきな顔で寝ている祈先生をソファーに寝かせた。起きる気配は無い。
「さて、これからどうしようかなぁ…」
正直何も思いつかない。困り果てた俺の目に校庭を歩くフカヒレの姿が目に入った。
「幸せそうな顔して歩いてやがるなぁ…。むかつくぜ!」
人が悩みを抱えている時に幸せそうなだけでむかつくのに、それがフカヒレとは!
「許せん。あいつには明日一日、カニのおもりをさせよう。」
今日帰ったら、フカヒレのカニに対する悪行三昧を暴露しよう。
明日はカニ地獄だ、ざま〜みろ…
「えぇ〜っと、カニ悪口集を書いたノートはどこに入れたかな?」
鞄の中をさがす。いざという時の為に書き集めていてよかった。
しかし、鞄のどこを探しても見つからない。竜宮のロッカーに忘れてきたかな?
「しゃ〜ない、面倒だけど取りに行くか…」
まだ誰も鍵を返しに来てないし、姫か佐藤さんあたりが残ってるんだろ。
さっさと取ってきて今の嫌な気持ちを少しでも早く解消しよう。
んっ、まてよ…。
「竜宮か!あそこなら昼間(姫は別として)誰も来ないしいつでも会えるじゃないか!」
なにより祈先生は生徒会執行部の顧問。鍵も管理してるし、姫がいない時間に合わせさえ
すればまさに最高の環境だ。
なぜ今まで気が付かなかったのか不思議なくらいだ。明日、祈先生に相談してみるか。
ひょんな事から出てきた解決案。フカヒレへの嫌がらせなど、もうすっかり頭に無かった。
また、先生とのまったりとした時間が過ごせると思うと、自然に頬が緩んだ。


次の日、先生の授業の空き時間となる5限目。
俺と先生は竜宮で午後のティータイムを楽しんでいた。
「昨日の会議、どうなったんですか?」
先生はいかにも面倒だという風に目を伏せた
「別に…、特に何ということもないですわ。以後慎むようにと言われた程度ですわね」
「へぇ、以外にあっさりしてましたね」
少し拍子抜けしたが、今この瞬間…祈先生と過ごせる時間を素直に喜ぶことにした…。
紅茶を飲み終わり、一息ついた所でどちらからともなく寄り添っていく。
次第に密着していき、今は俺が先生に寄り添っているという状態。
先生の肩を抱き、髪を撫でる。
優しい微笑で見つめてくれる先生。
儚くも感じられ、それでいて守られているような心地よい安心感がある。
もっと感じたい。もっと触れたい。当然の感情が頭をよぎる。
思ったままの気持ち、やりたい事を行動に移していく。
初めに頬にキス。目が合ったところで口に移し、2回3回と軽いキスを繰り返す
目は開けたまま、お互いの存在を確認しながら…。
それだけで十分幸せだったが、若い俺にはまだまだ物足りない。
まずは手を伸ばし、先生の胸に軽く触れた。
「本当に胸がお好きですわね…」
「大好きです」
俺は即答し、先生の胸に顔をうずめた。
「ふふっ、幸せそうなお顔ですわ」
そう言うと、俺の髪を撫でてくれた。
上から下からのふわふわとした感触に、俺は睡魔に似た感触を感じた。
圧迫感はあるが決して苦しくない。俺にとっては世界で一番安心することが出来る場所だ。
しばらくその感触を楽しんだ後、胸から顔を離すともう一度軽くキスをした。


「今度はちゃんと触りますね」
体勢を入れ替えて先生の後ろに回りこむと、羽交い絞めにするように胸を揉み始めた。
「…対馬さん、私はあまり楽しくないですわ」
「揉んでる方は最高です」
「それは何よりですが…、私の方は満足させてはもらえませんの?」
「まだまだ!これからですよ!」
そういって今度は首筋にキス。
「んっ…、楽しみにしてますわよ…」
胸からお腹の辺り、そしてふともも…その裏側、お尻と順に優しく撫でていく。
「くすぐったいですわ…」
「じきに良くなりますって…」
「オジサンみたいな言い方は止めてください…」
少し困った顔をした先生に笑いかけると、その手を先生の下着の上にもっていき、
スジに沿って更に優しく指を動かした。
「…大分…、上手…く…なってきまし…たわ…ね」
先生の呼吸が、若干荒くなってきた。
今度はスジに食い込ませるようにちょっと強めに指を動かす。
「ぁあ…、っはぁ…なかな…か良…いですわ…よっ…」
先生のセクシーな下着は、一本の食い込み線が入りその卑猥さを増していた。
下着越しにも濡れてきたのが分かりだした頃、
今度は直接触る為に、下着の中に手を差し込んだ。
それと同時に反対の手を、お尻の方から差し込み後ろの穴を刺激した。


「やぁっっ…、つ…対馬さ…ん。そっちは駄…目だ…といつも…ああぁっ」
お尻の方まで十分に濡らし、2つの穴の周りを撫で回す。
特に、後ろの穴の周辺を攻めると、いちいちビクッと反応してくれる。
「はぁっ…あっあっ…だ…め、やあぁぁ、んっ、あっ、あっ」
「…こっちは本当に弱いですね。可愛いですよ、先生」
「…あんまりいじめないでくだ…さい。…はぁっ…んはぁ…、んっ」
「…先生…そろそろ…」
パンパンに膨張したものを取り出し、先生にそえる。
「そう…んんっ…ですわ…ね 私も もうっ…ああっ」
先生の返事を聞き終わる前に、俺は座ったまま一気に貫いた。
自由になったモノが、先生の中で喜びを爆発させる。
俺は夢中で動き出した。
「はぁ はぁ はぁ 先生、すごく気持ちいい」
「あっ あああっ あっ…んっ 対…馬さぁ…ん」 
我慢していた分、すぐに果てそうになるがそれを無視して動き続ける。
動きやすい体勢ではないが、下から力の限り突き上げる。
「あっ 私、す…ごい あっ あっ 対馬さんっ つっ対…馬さんっ んあっああ」
先生の腰がガクガクと震える。お互いもう限界に近い。
「先生っ、もうっ、駄目だ………くっっ!」
「やぁあっ ああっ っだめぇっ、あぅっ あっ あああぁぁぁっ!」
「はぁっ はぁっ はぁっ 先生っ…」
俺は出ている最中も動き続け、最後の一滴まで出し尽くした…。


気が付くと6限目もとっくに始まっており、俺はもう1時間サボることにした。
祈先生は担当授業がはいっており、遅れたとしてもこのままにするのはまずいので
不満を言いつつも、教室へと向かった。
俺は残りの時間寝ていようと思い、改めてソファーに寝転んで目を閉じた。
…眠れない。
最後に祈先生と話した事が気になった…。
「対馬さん、あなたは今幸せなのですか?私とこうやっているのは、心地良いのですか?」
「もちろんですよ。先生とこうやってHして、まったりして…すごく幸せですよ」
「そうですか」
「先生は幸せじゃないんですか?俺とこうしてるの」
「前にも言いましたように、幸せというよりは心地良い空間ですわね」
「まあ、でも悪い気はしないわけですよね」
「えぇ、それはそうなのですが…」
「じゃあ、いいじゃないですか。お互いゆっくりゆっくりやっていくんでしょ?」
祈先生は少し目を伏せ、考えるような仕草をしたが
「そうでしたわね…」
と顔を上げて優しく笑った。
何か違和感を感じたが、深く追求はしなかった。
これがお互いのルールなのだから。
一定の距離を保つことで、良い関係を保つことが出来るはずだ。
「先生、きっと疲れてるんだな…」
そんな結論でまとめた俺は、再び目を閉じ、今度はちゃんと眠ることが出来た。


祈先生が、学校に来なくなって一週間になる。
長期休暇を取っているという以外、誰も理由は知らないらしい。
家知らないし、携帯留守電だし、メール返ってこないし…。
それに…、先生と最後に会った時の言葉が何故か引っかかる。

「対馬さん、あなたは今幸せなのですか?私とこうやっているのは、心地良いのですか?」

なぜあの時そんな事を聞いてきたのか、俺は未だに理解することが出来ない。
とにかく心配だ…。

「エリー、今日お腹が痛いから帰ってもいいかなぁ?」
放課後、竜宮に向かおうとする姫に佐藤さんが言った。
「えぇっ、大丈夫なのよっぴー?一緒に病院に行こうか?」
「ううん、少し痛むだけだからゆっくり寝てればなおるよ」
突然横にいたフカヒレが小声で話しかけてきた。
「なぁ、レオ」
「どうしたフカヒレ?」
「俺さ、ここ一ヶ月間寝る前に星に向かって願い事してるんだ」
「気持ちわりいな…んで、何をお願いしてるんだ?」


「佐藤さんが俺の子を妊娠しますようにって…」
「…」
「佐藤さん、お腹痛いって言ってたよな。
もしかしたら俺の願い通じたんじゃないかとおもってさ!」
何言ってんだこいつ…。
「いやぁ〜、俺もとうとう1児の父親かぁ…。

何か色々順番飛ばしてるような気がするけど問題ないよな!」
「話しかけないでくれ…。友達と思われたくない」
「照れるなよ。一人で先に大人の階段上ったのは悪いと思ってるよ。

 でも、お前なら祝福してくれると思ったんだよ」
「本当に…お前の頭の中身いっぺん見てみたいよ…」
「そんなに褒めるなよ〜!やべっ、名前考えなきゃ!
こういうのは男がずばっと決めないと、後の夫婦関係にひびいてくるって
雑誌に書いてあったもんな!」

俺は無視して竜宮へと急いだ。フカヒレは、まだ後ろで一人喋ってるが
これ以上相手はしていられない。

竜宮に着いてまずパソコンを立ち上げた。
今日は姫が使うだろうから、急いで終わらせなければ…。
「……あった、生徒会執行部名簿。祈先生、顧問だから載ってるはず…
 って、やっぱ変な住所しか載ってないな…」
実家は京都駅の近くって言ってたけど、まさか帰ってるわけないし
「…謎だ。一度ちゃんと聞いておくべきだったな」
これ以上調べることもないのでパソコンの電源を落としておく。
「地道に探すしか手はなさそうだな」
幸い明日は土曜日、生徒会を休ませてもらえば午後からは自由に使える。
「よ〜し、ここは一つテンションに身をまかせて頑張ってみるか!」
俺は一人燃えていた。


夜、俺ん家にて
「なぁ、スバル」
「ん、何だ?」
「祈先生、どうしたんだろうな?」
「祈ちゃん?あぁ、そういや最近見ねーな」
「はぁ、お前気付かなかったのかよ。もう一週間来てねーんだぞ」
「気付かなかったわけじゃねーよ。…なんだお前、気になってんのか?」
「当たり前じゃん、俺たちの担任だぜ」
「顧問でもあるな」
「そーだよ、お前は気にならないのか」
スバルは笑いをかみ殺したような顔で言った
「そんなにむきになるなよ。そりゃ気になるさ。
 でも、お前のはちょっと別みたいだな」
「何が言いたいんだよ」
「確かに俺も気にはしてるよ、担任だし顧問だもんな。
 でもお前は祈ちゃんを一人の女として心配してるだろ。違うか?」
俺は思わず赤面した
「ばかっ、何言ってんだよ!俺はただ…」
「ただ…何だよ」
言い返せなかった。
俺は祈先生が好きだ。
お互いに束縛せず、嫉妬せず、必要以上に甘えない。
そんな関係が俺たちのルールなのは分かっている。
しかしそれは、微妙に保たれているバランスを壊さないための言い訳にすぎない。
だから言い返せなかった。
祈先生は俺にとって大切な女性なんだ。
「そうだな…俺は祈先生が好きなんだ。だから心配してるんだ」
「すっきりしましたって顔してるぜ、坊主」
「あぁ、色々とすっきりしたよ。ついでに聞いて欲しい事があるんだ」
「??」


「お前は、俺たちといて幸せか?俺やカニ、フカヒレと一緒にいて心地良いか?」
「はぁ、お前何言ってんだよ?」
「いいから答えてくれ」
俺が本気で言っていることが分かると、少し考えた後フッと笑った。
「当たり前じゃねーかよ。前にも言ったろ、俺にとってお前らは特別なんだ。
 お前らが困ってるなら必ず助けるが、それ以外ははっきり言ってどうでも良い」
「あぁ、それは前にも聞いたな…。んでどうなんだ、幸せか?」
「はっきり言わせんなよ、照れるじゃねーか!……あぁ、最高に幸せだよ」
照れながらも俺の顔を正面から見つめて、スバルは答えた。
「スバル…」
「レオ…」
思わず見つめあってしまう。
「よ〜う、レオ!妖精の国から可憐なボクが遊びにきてやったぜー!
死ぬほど感謝しろー!お菓子くわせろー!ゲームさせろー!
…って、おめ〜ら何見つめあってんですかぁぁぁぁ〜!」
突然窓から入ってきたカニにびっくりした俺たちは思わず目をそらした。
「うえっ、何乙女みたいな反応してんだよ!!
 …まさか、やったんか!犯っちまったんかぁ!?」
「もうお前帰れ」
思わずカニを窓から蹴落とす。屋根があるから下までは落ちないだろう。
「レオ」
「何だスバル?」
「…何か、照れるな…」
「冗談でもやめてくれ」
「俺は別に…」
「いや、マジ、ホント、頼むから…」

色々あったけど、スバルのおかげで大切な気持ちを思い出した。
俺は祈先生が好きなんだ。
まずは先生を探そう。すべてはそれからだ!!


午前中は祈先生の事で頭がいっぱいだった…ってか、何で土曜に授業あるんだここ?
生徒会を休むことについては姫に了解を得ているので
終業のチャイムと同時に俺は教室を後にした。
「でも、手がかりも何もないんだよなぁ…」
校門に向かって歩きながら考える。
「だいたい昨日も思ったけど、ミステリアスな部分が多すぎるよな
 ドコ住んでるか分かんないし、占いが得意だし、変な鳥飼ってるし…」
でもまあ、そんなところ全部まとめて好きなんだけどね。

校門には、いつものように乙女さんが立っていた。
「レオ、今日は早いな。もう帰るのか?」
「あっ、乙女さん。実は…」
俺は乙女さんに事情を説明する。
「ふむ、祈先生を…。確かに私も心配していたんだ。まあ先生も大人だから
 余計な心配だと思うのだが…なぜか胸騒ぎがする。何事も無ければいいがな…」
「うん、そうだね。でも俺は…余計な心配だって分かっていても、じっとして
 いられないんだ。今…、どうしても今探さなきゃいけない気がして」
「そうか…。うん、お前いい目をしているな。それだけ気合が入っていれば
 手がかりなどすぐ見つかる。私も可能な限り協力しよう」
「本当に!」
「もちろんだ。私はお前のお姉ちゃんなんだぞ?私にしてやれることがあれば
 遠慮なく言ってこい」
「ありがとう乙女さん」
俺は乙女さんに別れを告げ、まずは駅の方に向かった。

PM 13:30 松笠駅前
みんな暇なのか、人がやたらと多い。この中から探せっていうのも難しいな。
とりあえずしばらくこの人ごみを観察してみるか…。
俺は駅周辺が見渡せる場所に移動した。コーヒーとパンを買ってあるので
それを食べながら注意深く見ていた。
……何かいろんな人がいるなぁ。おっ、フカヒレ発見!あいつ何してんだ?


「ねえねえ、そこの彼女ぉ?俺と女性の体の神秘について語り合わない?」
「へぇっ?私ですかぁ〜?」
「そうだよ、君かわいいね〜。あっ、俺は鮫氷…
鮫氷新一って言うんだ。シャークって呼んでよ」
「これはご丁寧に。私は秋山と申します〜。秋山いるかです〜」
うおっ、ナンパしてるよあの馬鹿。どうせ玉砕するだろうけど…。
「いるかちゃんって言うんだ〜。可愛い名前だね〜。」
「本当ですか〜?ありがとうございます〜。私あまり人に褒められないものですから〜」
「今暇してるの?だったらさ、遊びに行こうよ!今ならあのホテルとか超最高だよ?」
いやいや、思いっきり欲望丸出しじゃん。
「もしかしてナンパですかぁ〜?うわぁ〜どうしよう、私ナンパされちゃいましたよ〜
 …ピッ、ピッピッピ…あっ、健太〜、お姉ちゃん今ナンパされてるんだよ〜」
何だあの娘、あいつの言ってる意味分かってるのかな?いきなり電話してるし…
「ねぇ、ハァハァ…早くいこうよ…。俺…もう…ハァハァ…」
「何か辛そうですね〜。大丈夫ですか〜?
 すみませんが、私待ち合わせをしてるんですよ〜。なので遊びには行けません〜」
はい、玉砕。
「なっ、ここまで期待させておいて…。くそぉっ、女は黙ってついてくればいいんだよっ」
うわぁ〜、駄目っぷり発揮しちゃったよ…。しょうがない、助けに行くか…。
こんな事してる場合じゃないのになぁ。
そのとき
「何をしているの、いるか…。早く行くわよ」
とんでもない美人が現れた。


「あっ、お姉様〜!聞いてください、私なんと今ナンパされてたんですよ〜」
「ナンパ?そんなものにいちいち反応してどうするの。それもこんなブサイクに…」
「ぶっ…ぶさ…って、あんた…ちょっと美人だからって男に向かって…」
「黙れよ、不細工」
「ひぃぃっ、二足歩行しててすいませんっっっっ」
あ、固まった。トラウマ出ちゃったか。
「全く、…遅いと思ったらこんなのに引っかかってるなんて…。どこまで馬鹿なの?」
「すみません〜。ナンパされた事実が嬉しくてつい〜」
「私を待たせた分は、後でたっぷり可愛がってあげるわ…」
「あううぅ、あんまり痛いのは勘弁して下さい〜」
「何をとぼけたことを…。それは私が決めることよ」
「あっ、お姉様。私ミントアイスを買ってあるんですよ〜。
ドライアイスも貰ってあるので冷え冷えですよ〜。電車の中で食べましょう〜」
「あら、気が利くじゃない。それで私の機嫌をとるつもり?
 ふふっ、まあいいわ。さっさと行きましょう」
「はい〜。お姉様と電車に乗るなんて、もうワクワクですよ〜」
固まったフカヒレをおいて、二人は駅の中に消えていった。
「…それにしてもきれいな人だったなぁ。何かホント完璧な美人って感じだな。
 姫とはまた違う感じの…って、こんなことしてる場合じゃないんだよ俺は!」
祈先生を探さなきゃ。せっかくテンション上げて探してたのに…
それもこれもフカヒレのせいだ。あいつがこんな所にいるからいけないんだ…
後でカニを刺客として送ろう。
さっきからフカヒレの姿が見えなくなってるが、まあいいや。
さて、次の場所に行ってみるかな。


PM 14:15
ドブ坂通り。前に一度、この通りで見かけたことがあったんだよな。
見つかるといいけど…。
何の手がかりも無い状況で探すのは、はっきり言って無謀だが
何もしないよりはマシだ。
俺は、祈先生が行きそうな店、場所を片っ端から探していった。
ミス松笠である祈先生の顔を覚えている人がいないだろうかと
お店の人にも聞いてみた。
帰ってくる答えは「NO」ばかり…。
はぁ、まだまだあまり探してないとはいえ、こうも反応がないと不安になってくるよ…。
ふと横を見ると、お菓子やさんが目に入った。店の前にはなぜか人力車がある。
そういえば祈先生、お菓子が好きだったな。ここにはいないかなぁ…。
あまり期待せずに見せの中に入った。
…いた…。

…のは小さい女の子一人だった。さすがにこんなところにはいないよな…。
その店で、ふと見覚えのある後ろ姿を見つけた。
どうみてもフカヒレだった。
…こいつ、いつのまに復活しやがった…。
フカヒレは店内にいた唯一の客、小さな女の子に声をかけた。
「やぁ、お嬢さん。お一人ですか?」
俺は素早く物陰に隠れ様子をうかがった。やばくなったらとりあえず逃げよう。
女の子は、貫禄さえ感じさせる雰囲気でゆっくりと振り返った。


「我のことか?」
「そうですよ、お嬢さん。あなたのような美しい方がお一人でいらっしゃるなんて…
 もしお時間がありましたら、この後お食事でもどうです?」
背伸びしたい年頃の女の子(と思われる)相手に、大人の対応をしている…。
やるな…フカヒレ…。
「我のうつくしさが、またもこのような輩を呼んでしまったようじゃな…。
まったく…うつくしすぎるのも罪よのう…」
「…可愛いなぁ…この後、この子と一緒に…ハァハァ…
 着物は…やっぱり帯から…ハァハァ…」
全然聞いてねえな、あいつ
「しかしすまぬな、我は見ての通り多忙なのだ。そちに付き合ってやる暇が無い。
 悪く思うな…。それにな…」
「??」
「その…なんだ。そちの顔は、何と言うか…少々滑稽であろう?
 我は以外にも面食いでな。はんさむが好きなのだ」
「うわあああああああん!小さい子にも不細工っていわれたあああああああ!」
フカヒレは泣きながら走り去っていった。
「不細工などと、直接的には言っておらぬではないか…。
しかも奴め、我の事を小さい子と…どこから見ても立派なれでぃではないか。
失礼な奴だ…まあよい。主、この飴にしょう。これをくれぬか」
「はい、雛様。毎度ごひいきありがとうございます」
雛様と呼ばれた女の子は、飴を買うと店を出て
「…粛清…淘汰…」
などとつぶやきながら、外に待っていた人力車に乗って帰っていった…。


手がかりゼロですか…。
もしかしたら何とかなるんじゃないかとか思っていた。
「やっぱりちょっと甘かったな。明日もう一度…今度はみんなに相談してみようかな…」
もう日は傾きかけていた。
一度、家に帰るか…。いざとなったら乙女さんにお願いして
土永さんをおびき出すオトリになってもらうっていう手もある。
土永さんなら何か知ってるだろう、オウムだけど…。
とりあえず帰ろう、まずはそれからだ。
その時、突然携帯が鳴った。自宅からの着信…つまり乙女さんからだろう。
「もしもし?」
「あぁ、レオか、突然すまない。帰って来る時でいいのだが
 薬局によって消毒液を買ってきてくれないか?」
「うん、いいけど…何に使うの?」
「明日、家を掃除しようと思ってな。汚れを落とすために使うのだ」
「なるほど、分かった買って帰るよ」
「あぁすまない、頼んだぞ」
「あっ、乙女さん。帰って話が…」
ピッ

やれやれ、後でいっか…。
幸い薬局はここからすぐの場所にある。
さっさと買って帰ろう。やることはまだまだ沢山あるんだ。

薬局の中の独特な空気にちょっと緊張しながら、店員に消毒液の場所を教えてもらう。
「滅多にこんな所来ないから、何がなんだか分からないな…」
目的の物も見つけたのでレジに並ぶ。
そこでまた見覚えのある人を見つけた。
心臓がなった。息が止まりそうだ。
今度は間違いない。いや、間違えるはずが無い…。
俺は後ろから声をかけた。


「祈先生…」

後ろから聞こえた突然の呼び声に、びっくりするわけでもなくいつも通り
普段と変わらない様子で振り向いた。
「…対馬さん…」
びっくりするのは俺の方だった。
いつも眠そうな先生の目は潤んでいて、健康そうな顔もやつれているように見えた。
「先生、旅行に行ってるわけじゃなかったんですね。
連絡取れないから心配しましたよ」
先生は何も答えないでため息をついた。
よく見てみると先生の顔は、やつれてはいるが血色自体は悪くなく
病気をしているわけではなさそうだ。
それにしても何でこんな所に…。
ふと先生の手を見ると薬の箱を持っていた。
まだ精算する前みたいで、その薬が何なのか一目で分かった。
疑いようもない位にハッキリと見て取れた薬のパッケージ。

その薬は間違いなく


睡眠薬だった。


薬局からの帰り道、俺たちは並んで歩いていた。
「先生、それ…」
俺は視線を先生の手に落とした。
「最近、眠れないものですから…」
「前に、必要なくなったって言ってたじゃないですか。どうしてまた…」
「仕方がありませんわ、…眠れないのですもの」
先生はもう一言付け加えた。
「今回は眠りが浅い…などではなく、純粋に眠れないのですわ」
「どうしてまた…。何か悩みでもあるんですか?」
「…それが分かれば苦労しませんわ〜…。こういうのは初めてですので…」
先生、辛そうだな…。言いたいことは沢山あるのに、何から言っていいものか…。
でも、言わなきゃ。言わないと何も始まらない。
「俺、先生に話があるんだ」
「手短にお願いしますわ〜」
「好きです」
「睡眠薬が好きというのは、あまり良い趣味とは言えませんわね〜」
「違います!」
「じゃあ何なのですか…」
「先生ですよ…。祈先生のことが好きなんです」
「それはどうも…対馬さん。私の家、ここからすぐの所にあるのですが、
 よかったら少し寄っていかれませんか?」
あっさり流された…のか?
「でも先生、話は手短に…って言ったじゃないですか?」
「私の話は聞いてくれませんの?少し聞いていただきたい事があるのですが…」
「先生の話…ですか?」
「悩み…と言うほどの事でもないとは思いますが、人に話した方が
 楽になるかもしれませんし…と言うか対馬さんに聞いていただきたいのです」
「もちろん聞きますよ。と言うか、ぜひ聞かせて下さい」
「では、まいりましょうか」
それから先生の家まではお互いに無言で歩いた。
良くも悪くも、今までの先生との関係が今日で終わるような気がしていたのか…
自然と足取りが重くなっていることに、俺は気付かなかった。


祈先生の家は歩いて5〜6分の所にある、まだ新しい感じのマンションだった。
玄関の鍵を開けると
「何も無いところですが、どうぞ…」
と、おきまりのセリフで俺を招きいれた。
玄関をぬけて奥のリビングに通されたところで
「対馬さん、少し待っていていただけますか?」
と言い、先に部屋の中に入っていくと机の上を片付け始めた。
「先生、少しくらい散らかっていても大丈夫ですよ」
「先ほどまで、テストの問題を考えていましたので…」
「失礼しました…」
意外なほどテキパキと片付けていく先生の姿に少しビックリしながら
その姿を眺めていた。
「お待たせしました。どうぞ」
「失礼します」
「そこのソファーにでも座ってくださいな。
お飲み物はコーヒーで良いでしょうか?」
「あっ、はいお構いなく…」
先生がコーヒー入れてるよ。しかも手際よく…。
そんな事を考えているうちにコーヒーが運ばれてきた。
「どうぞ。あまり入れませんのでおいしくないかもしれませんが…」
「あはは、そんじゃあいただきます」
ずずっと音を立ててすすった。味は普通においしかった。
「それにしても何か調子狂いますね…。
先生がこんなにテキパキと作業してるの見たことないですよ」
「失礼ですわね。私だってこれくらいのことは出来ますわ」
「いつものイメージとあまりにかけ離れていたもので…」
「対馬さんが私をどういう風に見ているのか、よ〜くわかりましたわ
 学年末の内申点、楽しみになさい…」
「ちょっと、先生それひどすぎ」
「それくらい傷ついた、ということですわ」
こんなどうという事の無い会話の一つ一つが、楽しくて仕方が無い。
先生も薬局で会った時に比べると、ずいぶん明るくなった。


唐突に先生が会話を戻した。
「先ほど言いましたように、聞いていただきたい事があります」
無言でうなずく。
「私がこの一週間休みましたのは…対馬さん、あなたに会わない為ですわ」
「俺に…会わないため?」
「そうですわ。会わない為というか、避ける為というか…。
 ともかく、一番の理由はそれですわ」
「何故ですか?俺のことが嫌いですか?」
「そうではありません。むしろ逆です」
「えっ」
「あなたの事が好きですわ」
「…先生、もう一回」
「あなたの事が好きです」
「ラスト」
「好きですわ」
「泣きの一回」
「…いい加減にしてくださいな」
気が動転していた。
先生が俺のことを…好きだと。
「素直に嬉しいです。俺も先生のこと大好きだから…。でもなぜ?
 俺のこと好きなら、なぜ一週間も休むんですか?あんな問題があった後だし、
会えるのは学校くらいしかないのに…」
先生は静かにコーヒーを飲んだ。
「私が望んでいた関係は…もちろんご存知ですわね」
「もちろん」
「私はあなたより以前にも、沢山の生徒達と関係をもってきましたわ」
「正直ショックだけど気にしません。それで?」
「どの方々とも一度きり…。どれだけ多くの人と関係を持っても
 虚しさばかりが残り、また関係を重ねていく…」
「対馬さんを最初に誘った時の事、覚えていますか」
「もちろん覚えてますよ。すごくビックリしましたし
すごくショックでしたから…」


「あの時の気持ちとしては対馬さんもその他大勢といった感じでしたので
 私は特になんとも思いませんでしたわ」
「…」
「その後は、とにかくしつこいという感じでしたわね」
ストーカーみたいないわれ様だな…
「何度言っても分からない…。こんな年上のどこが良いのか。
 まあ、私の為に頑張っているという点は評価できましたわね」
「とにかく必死でしたよ。あの時の先生、本当に寂しそうだったから…」
「そして、テンションに身を任せて突っ走る対馬さんを見ていると
 不思議な魅力を感じました。この人なら同じ価値観を共有できるのではないかと」
「そうですね。先生の考え方はとても心地よいものです」
「事実うまくやってきたと思いますわ。
本当ならこのまま続いていくはずでした…しかし私は気付いてしまいましたの」
「俺のことが好きだということ…に?」
「はい、正直どうしていいのか分かりませんでしたわ。今までずっとこのような
関係を続けてきて、初めての経験でしたので…」
「先生は恋とかした事が無いんですか?」
「何か今日は失礼な事ばっかり言いますわね〜。ありますわよ!」
「そのときの感情に似ていたと…そういうわけですか」
「それがちょっと違うのですわ。以前の時は…、何と言うか
憧れといった感情の方が強かった気がしますわね。
自分より他人が大切だと思う事なんていままで一度もありませんでした」
「じゃあ、先生の初恋は俺だね。何か嬉しい」
「改めて言いますと、結構恥ずかしい話ですわね〜」
「でも先生、その話と学校に来なくなった話とどう関係があるんですか?」
「今言った通りですわ。自分よりあなたを大切だと思ったから…」
「私といるとあなたは駄目になっていきますわ。このままじゃいけない事は
 …対馬さん、あなたも良く分かっていますでしょう?」
「もちろん思いますよ。このままダラダラと過ごしていても先生との関係は
 いつか終わってしまう。だから何とかしなくちゃいけないんだ」
「対馬さん、そういうことではなくて…」


「俺が帰り道で先生に言った『好き』っていう言葉の意味はそういう事なんです。
俺は先生と本当の意味で恋人になりたい。心から愛し合いたいんです」
「そのために学業を捨て、仲の良い友人達を失うことになっても…ですか?」
「まさか!そのくらい両立してみせますよ」
「無理ですわ」
「最初から決め付けないで下さい。一度やると決めたのならやってみせます」
「これからは今までのように会うことは出来なくなりますわよ?」
「辛いかもしれませんが頑張ります」
「卒業するまでHも無しですわ」
「ぐっ…、前向きに検討します」
「その発言はみとめませんわ〜」
「でも、裏を返せば卒業したら何でもアリってことですよね?」
「卒業すれば…まぁ、そうですわね…」
「じゃあ、待ってて下さい。誰にも文句を言われなくなるまで…
 俺が卒業して一人前になるまで…。待ってて下さい」
「あなたの周りには、ステキな女の子達が沢山いますわ」
「先生と同じくらいステキでも、先生以上にステキな娘はいませんよ」
「…それ、褒めて無いですし、むしろダメダメですわね…」
「とにかく…、先生でないと駄目なんです!待っててくれますか?もう少しだけ…」
「信用…して良いのですか?」
「今から一晩かけて、信用させてみせますよ」
「先ほど言ったばかりですのに…。まぁ、いいですわ。楽しませて下さいな
 しばらくお預けなのですから…」
「先生…約束ですよ」


その頃の対馬邸
「まったく、レオは何をしているんだ!
遅くなる時は連絡をするようにあれほど言ったにも関わらず…。
帰ってきたらもう一度根性をたたき直してやらないとな!
 仕方ない、夕飯にするとしよう…。今日のおにぎりは自信作なのだが…
 寂しいものだな。一人の夕飯というものは…」


あれから一年が過ぎた。
普段の生活自体は変わってないが、祈先生と会っていた時間は
大切な幼馴染たちが埋めてくれた。
今は5限目の途中、祈先生の英語の時間だ。
先生も特に変わった様子は見せず、今までと何ら変わらない生活が
当たり前のように過ぎていった。
「一日がとても長く感じますわ。きっと、あなたがいないからですわね」
と言われることがある。
早く卒業したい。早く一人前になりたい。
でも、あせってはいけないんだ。
俺には目標がある。一人の女性を幸せにするために、頑張らないといけない。
「…さん、対馬さん」
俺は声のする方向を向く。
「対馬さん、授業中ですわよ。ちゃんと話を聞いて下さらないと困りますわね」
「すみません」
「素直でよろしいですわ」
周りを見ると、カニが馬鹿にしたような顔でこっちを見て笑っていた。
むかつくので、消しゴムのカスを投げてやる。見事に口の中に入っていった。
「うげっ、何しやがんだこのダボがっ!」
「カニさん、うるさいですわよ」
カニが悔しそうな顔をしている。ざま〜みろ!
「対馬さん、元気がないですわね〜」
いつのまにか祈先生が横に来ていた
「ちょっと色々思い出しまして…」
俺が笑いながら答えると
「対馬さん、信じてますわよ」
あたかもお見通しと言わんばかりにそう言った。
「祈ちゃ〜ん、いつまでレオといちゃついてんのさ〜」
カニ、余計な口をはさむなよ…。
「みなさん、今日はここまでにして後はゆっくりいたしましょうか」
教室から歓声があがるのを見て、祈先生は優しく笑って俺に言った。
「対馬さん、Have a pleasant time ですわ」


(作者・名無しさん[2005/11/20〜27])

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