「レオ、起きろ。朝だぞ」
カーテンが開かれ、朝日が瞼を刺激する。んー朝か。
「今日はお前が勇者として、旅立つ日だろうオラ速く用意しな」
ハ?ユウシャ??スバルさん、何を言ってるんですか?
「お前は勇者の血筋、対馬家の子孫、今日は魔王を倒す旅立ちの日、
これから城へ旅立ちの挨拶をする。OK?」
ああ、昨日は徹夜でゲームやっていたから夢にまで出ているのね、納得。
それならこちらも心構えはOKだ。
「よし、じゃあスバル。王宮へ案内してくれ」
俺はスバルの用意してくれた勇者の服(竜鳴館制服)を着て王宮へ向かう、
なんだよ、もっとこう、カッコイイ鎧が出るんじゃないのかよ、適当だな俺のドリー夢は。

家の外を出ると見慣れた風景。これで魔王とか言われてもちょっとなぁ。
城(竜鳴館)が見えてくる。登竜門の前には予想通り乙女さんが立っていた。
乙女さんは王宮の騎士団長だそうだ。武力はマツカサ王国では並ぶ者が居ないほどだ。
というか、何故乙女さんが魔王を倒しに行かないんだ。と、俺の夢にツッコミ。
「遅い!姫が竜宮でお待ちだ。無礼の無いようにな…ほら、だらしが無い、シャツがはみ出しているぞ」
うーん、いつもの乙女さんと変わらないな。


「オラ坊主。さっさと姫に会いに行くぞ」
スバルに急かされる。姫…という事は竜宮で待っているのは…
竜宮(王宮)で待っていたのは、予想通り姫、両隣に佐藤さんと祈先生が控えている。
「ようこそ勇者レオ。さっそく貴方に今回の事件を説明するわね、
魔王はココナッツ王国の王女なごみ姫をさらってしまているの、
魔王の討伐となごみ姫の奪還。それで貴方の力が必要って事」
ふーむ、椰子も王女役ということは魔王はつまり、
「なぁ姫、魔王ってもしかしてカニか?」
ざわっ…王宮の中の空気が変わる。
「おお、勇者対馬さん、その名前を口にすると恐ろしい呪いがかかりますわ〜」
「そうだよ対馬君。魔王を怒らせると精神的イジメを積み重ねたり、
隠していたオヤツを食い漁られたりと恐ろしい事が起こるわよ」
聖なる印を結んで神に祈りをささげている佐藤さん。
というか、それは恐ろしいのか?
「魔王の最も恐ろしい所は、負けを認めない所ですわ〜」
それは判る気がする。
かくして、俺は冒険の仲間を加えて魔王の城へ向かう事になった。

勇者レオの一団
ゆうしゃ:レオ
せんし:スバル
きし:乙女さん
そうりょ:佐藤さん
まほうつかい:祈先生
つかいま:土永さん

うむ、素晴らしいパーティーバランスだ。
しかし、他の皆はファンタジー感溢れる鎧や剣を持っているのにどうして俺だけ制服なんだろう。
「ところで椰子…なごみ姫ってどうさらわれたんだ?」
「では、私がこの夜店で買った水晶玉でその時の様子を見てみましょう」


〜回想シーン〜

夜の街、なごみ姫は何時ものように城を抜け出して街を彷徨っている。
「チッ、母さんがあんな隣の国の王との再婚を考えているなんて…」
「そこゆくお嬢さん、アンタなごみ姫だね」
「誰だお前」
なごみの前には1人の少女、いやカニ魔王きぬが立っている。
傍らには魔導師フカヒレ。そしてなごみを取り囲むようにきぬの手下のデスマスク軍団。
あーこいつら全員イガグリの顔じゃないか、手下とはいえ手抜きだな。
「お前は文武両道、料理家事万能。ボクのメイドとして城で働いてもらおうか」
「そぉーだ。魔王様の下で働ける事を喜びな、そそうがあった時はこの俺が折檻してやろう、
お前は調教しがいがありそうだ。イーッヒッヒッヒィ!」
「ああぁ?何夢見てんだボケが」
なごみ姫はフカヒレ達を睨み付ける「潰すぞ…」
「ヒッ、ヒィィィッ!ごめんなさい、許してください、ごめんなさい」
フカヒレ、魔王の側近なのにビビってやがる。
「あーもう、オメー本当に使えませんなぁ、このゴミムシがっ!」
カニ魔王はフカヒレを蹴り転がして制裁を加える。
「ったく、このボクの誘いを断るとロクな目にあいませんぜ、ココナッツ」
「ボクの手にかかれば、こんな王国、7日7晩阿鼻叫喚の地獄絵図にする事なんて簡単なんだよ〜…ムガッモガガッ」
なごみ姫はカニ魔王の前に立つと、両手でカニ魔王の頬をひっぱりあげる。
「おまへ、なに、ひゃがるんだ、アイタタタタ」
「今思いついた。マーベラス蟹沢というスポーツ。お前が泣いたら私の勝ち」
「ほぉーら、目元に涙が浮かんできた。こりゃ私の勝ちかな」
「ふ、ふかふぃれ!ほ、ほまへ、こういふときに、わ、わらひをたふけろぉっ」
フカヒレの目に闘志がやどった!
「そうだ、俺はやればできる男と言われてきた…やってやる…俺の暗黒魔法の力、見せてやるぜ!」
フカヒレは取り出したギターをかき鳴らし呪文の詠唱に入る
「ツヨキススキッスツヨキッス♪ツンデレンデレツデレツンツン♪♪なごみ姫、従順な女にな〜〜〜れ〜〜〜」
謎の舞踏を交えてフカヒレの怪しい瞳がなごみ姫を見据えると、
マーベラス蟹沢のフィニッシュに入っていたなごみ姫の手が止まる。


「……センパイ?…ああっ、私、センパイに酷い事を!」
なごみ姫はカニ魔王の腫れあがった頬を手でさすっている。
「おおっ?!おおおっ!スッゲー、フカヒレ、お前もたまには役に立つじゃん!」
「エヘヘッ、センパイ、私になんでもお申し付けて下さいね、私、センパイの為ならなんでもしますっ」
「そ、そうか今日からお前はボクのメイド1号だ(オイ、なんか妙にキモチワリィな)」
なごみ姫がカニ魔王にすり寄っている。すげえ珍しい光景だ。映像で残したい。
「な、なごみタン。俺と俺のマイサンにもご奉仕申し付けちゃいます!ハァハァ」
「センパイに近づくな…汚らわしい!潰すぞ!!」
「なごみ…さん??(やっべ、魔王様にしか懐いてないぞコリャ)」
「ま、まぁ取りあえず〜目的は達成したから、帰るぞお前達ィ!」
〜回想終了〜

「な、なるほど、こういう事があったのか…こりゃ恐ろしい」
「では、視聴料400円になりますわ〜」
金取るんですか。
「一刻も早くなごみ姫にかけられた呪いを解いて魔王を打ち倒せねば!」
乙女さんは魔剣・地獄蝶々を振りかざし激を飛ばす。やっぱり俺より勇者らしいな
「魔王は烏賊島に居ます。船を調達しなければいけませんわね〜」
俺達一行は港に向かい、船を捜す事にした。
「船なら、私が用意しよう。魔王を倒そうとするその心意気、まさに漢だ」
おお、橘館長が船を用意してくれるのかドラゴン号かな。
「その前に、お前達にアレの始末をお願いしたい」
アレ?橘館長が指差した方角に山が一つ、いや山じゃない人だ!
マツカサ王国の特大クリーチャー「マダム呂布」身長は10mを超しているんじゃないのか
「アレは商店の特売日になると街に現れて、街を破壊して食料を奪い去っていく。困った存在だ」
「橘館長なら指先一つで倒せるでしょうに」
「ワシの拳は、女性を傷つける為にもっているのではない、よって、お前達に頼む」
「どのみち倒すのかよ」


俺達は陣形を組んで、街に近づいてくるマダム呂布に突撃する。
「相手は巨大だが、落ち着いて見切れば攻撃は避けられる。
足を狙って足止めを頼む!私はスキを付いて弱点を突く!」
流石乙女さん、的確な指示を出す。で、俺は何をすれば?武器もないし
「レオは安全な所まで下がってろ、お前は魔王の切り札だからな」
「そうだよ対馬君。勇者を守るのが、仲間の役目だよ」
「ここは俺達に任せておきなっ!」
うーむ、まぁ楽だし良いか、せめて声援ぐらい送ろう
「ガンガンいこうぜ!」
「言われなくとも!」
スバルの足を生かした剣激、祈先生の魔法、土永さんの攻撃「スコスコ、スコスコスコ〜」
マダム呂布の足が止まり動きにスキができる。
「巨人の弱点、それは目だっ、そこは鍛える事ができまい!」
乙女さんが大地を蹴り、宙に舞う。スゲエ、なんて跳躍力だ。
「万物全てを切り刻め、地獄蝶々ッ」
ブガーーーーーーー!ベシッ。あっ、腕ではたかれた。
派手に飛ばされて、岩肌を崩しながら叩きつけられる。
「くっ、流石に正攻法で容易に倒せる相手ではないか」
何事も無く崩れた岩を押しのけて姿を現す。鉄の名は伊達じゃないってか。
しかし、攻めの要の乙女さんが飛ばされて陣形が乱れる。
「きゃあっ」
いかん、支援魔法を飛ばしている佐藤さんに鉄槌のような拳が飛んでくる。
くっ、ここは俺が盾になるか!
スカッ。マダム呂布の眉間に刺さる薔薇。ハッ、これはまさか!


「フフフッ、苦戦しているわね対馬クン」
全員、声のした方を見る。マダムも、
「戦場に咲く可憐な薔薇、お嬢様仮面、ここに見参!」
(姫だよな)(姫よね)(霧谷王女ですわね〜)
バタフライ仮面と赤いマントを付け、鉄騎(MTB)に跨った女子高生。
見事に高い所から登場している。姫だな。このアングルでスカートの中が見えないのが凄い。
「おお、お嬢様仮面とやら、助太刀感謝する!」
気付いていない人が1人いるや、流石乙女さん。
「くらえっ、お嬢様デッドエンド!!」
MTBを駆って宙を飛び、マダム呂布に体当たりをかけてスキを作る。
「いいわよナッシュ、やっちゃって!」
『…ザッ、OK、10秒後に着弾、3…2…1…Fire!!』
空がキラリと光ったと思った直後、マダム呂布に対して砲弾の雨あられ。
土煙が晴れ、マダム呂布が居た場所にはペンペン草一つ生えていなかった…マヂかよ。
「イェーイ!正義は勝つ!!」
決めポーズをする姫。いや、お嬢様仮面。
「ピンチの時は私の名前を叫びなさい、気が向いたら遊びに来てあげるわ。それじゃ、アデュ〜〜」
薔薇の花びらと共に鉄騎(MTB)に跨り走り去るお嬢様仮面。
ポカーンと取り残された面々。
「お嬢様仮面、一体彼女は何者なのだ…」
やはり乙女さんは兵(つわもの)だ。


港街に戻ると、橘館長が出迎えてくれた。
「うむ、お前達のおかげで街の脅威は去った。
礼と言ってはなんだが歓迎会を開いてやろう。焼肉が良いか、寿司がいいか?」
「や、とっとと終わらせたいので船をお願いします」
正直、疲れてきた。
「むぅ、休息も取らずに戦場に向かうとは、漢よのぉ」
「ワシの船まで案内してやる。ついてまいれ」
案内されて、目の前に在るは巨大な船。戦艦松笠じゃないか!
「俺、松笠に乗るの初めてなんだよな」
スバル、動く松笠に乗るのは俺も初めてだ。
「軍艦所持しているなんて、凄いですね橘館長」
「これに乗るときは、艦長ではない、船長と呼びたまえ」
橘館長が海の男になっている。

松笠が烏賊島に到着する。小型船で上陸する俺達。
「2日たったら迎えに来てやる。諸君らの健闘を祈る!」
ああ、行ってしまわれた…ハッ、松笠で砲撃してもらえば早かったんじゃないのか?!
「そういうツッコミは野暮だぜ、山の頂上にある城が魔王の根城だ。さっさと行こうぜ」
ほどなく城に到着、目の前には巨大な鉄の扉がそびえ立っている。


城門の巨大な扉を地獄蝶々で斬り開き、乙女さんが名乗りをあげる。
「鉄乙女が挨拶に来たぞ!腕に覚えがあるやつはかかって来い!」
シ〜〜〜〜〜ン。へんじがない。というか、柱の影で手下達が震えながらこちらを伺っている。
そりゃ俺もこんな巨大扉を斬り開く奴と相手をしたくない。
カツーン、カツーン。通路の奥から靴音を立てて近づく人影。
「チッ、この俺が出なくちゃいけないとは、面倒くせぇなあ」
フカヒレがゆらーりと現れる。む、少し雰囲気が違うな
「フカヒレ、フカヒレとカス共に馬鹿にされてきたが、今日の俺は一味違うぜ…俺は超フカヒレだ!」
「勝利、屈服、調教!美人の女は俺に屈服するのだーーーーっはっはっは!」
うお、素晴らしい三下台詞。それでこそフカヒレだ。
「いくぜ!一気に超フカヒレ4だ!!」
フカヒレがオーラをまとって俺達に向かってくる。
「おまたせ〜お嬢様仮面、優雅に参上!」
「おぼはっ!」
MTBで乗り込んできたお嬢様仮面、いや姫に横から跳ね飛ばされるフカヒレ。
「へ、へへ、待ちな、俺は、あと2回変身を残しているんだぜ…」
「それじゃあ変身する前に止めを刺した方が良いよね、対馬君」
べしっ、ぐしゃっ、どすっ、べちゃっ。
へんじがない、ただのしかばねのようだ。
「さー、忘れないうちになごみ姫を助けにまいりましょう〜」
ぴくっ、びくっ、びくびくびくビチビチビチびちっ!
「おい、フカヒレが怪しい痙攣を起こしているぞ」
「おおおおおおおおおおおおおおおっ!ぎたっ、なんかぎまぢだあああ」


フカヒレの体から無数の体毛生えて顔つきがより猿顔になる。
「な、なあなんかコイツ、大きくなってないか」
うおおお、フカヒレが巨大猿化してやがる!これは厄介だ!!
「尻尾だ!尻尾を狙え!!」
「い〜や〜あ〜私ばかり狙われているような気がするよ〜」
「私のよっぴーに手をだすな!お嬢様ビーーーム!!」
「勤務時間過ぎているのですが残業代でるのでしょうか〜」
「レオ!こっちは俺達に任せてお前は魔王の元へ!」
「そうだレオ、足手まといはこの場から立ち去れ〜い」
巨大化したフカヒレ猿が城の天井を破壊しながら暴れ始める。
破片が落ちてきてマヂヤバイ。ここは任せて椰子とカニをなんとかしよう。

その頃、魔王の部屋。
「センパ〜イ。センパイの為にチョコレートケーキを焼きましたよぅ」
「おおっ!今度はケーキか、お前料理上手いなぁ良いお嫁さんになれるぞ」
「うふふっ、センパイの為ならなんでも作ってあげますよ、はい、あーんしてください」
「あ〜〜〜ん、んぐ、ん、アンマァ〜〜〜〜〜イ」
「ココナッツがこんなに良い子だったとは、ナデナデしてやるぞ。
 よ〜しよしよしよしよしよしよしよしよし」
「ああん、センパイに誉められちゃった、エヘッ」
カニは椰子の膝の上に乗ってケーキを食べさせてもらっている。
こうやってみると、姉妹のように見えるなぁ。カニが出来の悪い妹。
しかも、椰子は正統派メイド服か「ナイスメイド!」「ナ〜イスメイド」
む、天の声が聞こえたぞ。
「おい、お前らとりあえず逃げないと、ここも崩れそうだぞ」
「うおっ!?レオじゃあないですかっ!…お前もケーキ、食うか?」
「あ、俺の分もあるのじゃあお言葉に甘えまして…って違うだろう!」
俺はカニ目掛けて走り出す。


「センパイに近づくな!境界の内側を荒らす奴は…容赦しない」
椰子がカニを片手で抱きかかえて俺に包丁を向ける。
おい、なんか状況が変じゃないですか?うわ、椰子の目、本気だ。
「奥でフカヒレが暴れているからこの部屋も危ないんだって!…っと、うおわ!」
この部屋の天井も崩れてきて、破片がボロボロと落ちてくる。
ガスッ!あ…破片が椰子の頭に命中した。
バタリと椰子が倒れる。あれぐらいなら大丈夫だろう。
「オイ、レオ!ボクのメイド1号を倒すとは、やってくれるな!」
椰子の手から開放されたカニが俺に向かって怒号をあげている。
「というか、なんでお前魔王なんてやってるんだ?」
「うるせぇバカチン!自分の胸に聞いてみろ!」
カニは壁のスイッチを押して、隠し扉を開いてそこから逃げていく。
くそ、逃げられたか。しかしあいつが魔王になった原因、俺にあるのか。
ガスン、ガスン。大きい破片も落ちてきた。この城もうダメだな。
「おいレオ、こっちは何とかフカヒレを止める事ができたぞ。そっちはどうだ?」
「カニは隠し通路で逃げちまった。お前達は椰子を連れて城から逃げてくれ」
「おいレオ!お前はどうするんだ」
「俺はカニを追いかける。それが勇者の役目なんだろ」

俺は隠し通路を潜ってカニを追いかける。
通路を抜けると島の崖に面した細い道。下は波が砕ける海が広がっている。
カニの後ろ姿が見えてきた。
「おいカニ!皆にちゃんと謝れば許してくれると思うからもう諦めろ!」
「馬鹿!ボクは悪くない、悪くないから謝る必要ないもんね!」
ホントこいつ強情だな。
「なんでお前魔王になったんだよ」
「よくぞ聞いてくれましたっ。語るも涙、聞くも涙の物語です…」
カニにスポットライトが当たり語り始める。


〜竜宮にて〜
「カニっち〜手が空いているなら、この書類まとめておいてくれない?」
「え〜これだけの量ボクだけにやらせるの、姫は人使い荒すぎだよ!
ボク、断固拒否するからね!」
「まぁまぁ、仕事終わったらこの前イギリスで買ってきたお菓子カニっちにあげるわよ」
「ワォ!それを先に言ってくれなきゃ」
「じゃ、カニっちよろしく〜」

「・・・ってやっぱり量多いなコリャ。ん、オアシスから電話か、なんスかテンチョー。
え?今日人足りないから今から出てほしい、んーボクも今忙しいんだよね〜
バイト代1.5倍出す?その話乗った!マッハで向かいます!!」
「この続きはレオにやらせるか、メール打っておこ」ピピピピピ。

「あーもう、会議ムダに長かったなぁ、カニっち〜お茶にしましょう、って居ない?!」
「書類も投げっぱなしだね、カニっちどこいったんだろう…」

「すまんなレオ、生徒会の仕事といえお前に手伝ってもらって、すっかり暗くなってしまった」
「いやいや、お安い御用だよ乙女さん。ん、携帯にメール入っていたな。カニか、
えーと何々?…急ぎの用事なら直接俺の所に来れば良いのに、まぁ明日謝ればいいか」

「カニっち!昨日書類のまとめお願いしたのに途中で投げ出してどこ行ったの!」
「え?それならレオにお願いのメール出したんだけど…」
「あ、あのメール、直ぐに読めなくて手伝いにこれなかったんだ。俺も別の仕事していたし」
「えーっ!レオ、なんだよそれ!それを先に教えてくれよ」
「しょうがないだろ、タイミングが悪かったんだから」
「カニっち!あの後、私とよっぴーで書類まとめたんだからね!
他にやる事あったのに…カニっちにお願いした私が馬鹿だったわ」
「なんだよ姫、ボクが悪者扱いかよ!レオがメール見てれば良かったんだから、レオも共犯だからね!」
「ってカニ、悪いのはお前だろ。逆ギレするのはめーなんだからね」
「うぉっ!レオまでボクを悪者扱いですか?!
ボクは孤独なロンリーウルフさ、空の青さの、バッキャローーーー!!」
「おい、カニ!どこ行くんだ!!」


「…って事があったのさ…その後グレたボクは魔王として近隣諸国に悪事を働いている訳」
そんな理由かよ…というか、やっぱりカニが原因じゃないのか?
「フンだ!レオまでボクを悪者するなんて、ボク、ショックだったんだよ…」
あ、コイツ、拗ねてやがるのか。しょうがないなぁ、カニは素直じゃないからな
「カニ、俺も悪かったから、2人で皆にあやまろう、な?」
「レオ…」
俺はカニに近づき、ぽんぽんと頭を軽くなでる。これで大人しくなるかな、
ゴゴゴゴゴ…ん、何の音ですか?
見上げると、カニの城が崩壊してその振動で崖の岩が砕けて俺達に落ちてくる。
「カニ!あぶない!」
俺はカニを抱えるように抱きしめて、海めがけて飛び込む。
夢とはいえ、こんな高いところから落ちるのは怖いな!!
アイキャンフラーーーイ!

……………
「レオ、起きろ、レオ朝だぞ」
俺は乙女さんに蹴り起こされる。ああ朝か、
「まったく、ゲームしながら眠りおって、電気つけっぱなしでもったいないぞ」
バチン、ああっ!まだセーブしていないハズなのに!
準備を済ませて登校する。カニが後ろから追いついてきた。
俺の顔を見ると、ぷーっと頬を膨らませてそっぽを向く。
これじゃカニじゃなくてフグだな。
あ、なるほど。カニが拗ねている理由は昨日の一件か。
夢に出るほどだし俺からも謝った方が良いかな。
「昨日はすまなかったな、カニ。次から急な用事がある時は直接言ってくれ」
俺はぽんぽんと、カニの頭をなでる。
「フン…ボクもまぁなんだ。少し悪かったと思っているよ」
カニは俺の言葉に不意を突かれたのか、下を向いてボソボソと喋る。
「……(ゴメン)……」
「ん?なんか言ったか?」
「な、なんでもねーよ!早く行かねーと乙女さんにドヤされるぜ!」
まったく困った魔王様だ。俺が見ててやらねーと心配でしょうがないぜ。


(作者・名無しさん[2005/11/25])

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