事の発端というのはどうでもいいことが多い、今回もそんな感じだ。
きっかけは姫の素行について乙女さんが注意したことからだったなあ・・・・。
「姫!また女子生徒の胸を触ったそうだな!」
「いいじゃないそれくらい。」
「それでは生徒会長としての示しがつかないだろう!」
あの2人またやってるよ・・・・・。
ここは竜鳴館高校生徒会室、通称竜宮だ。
そこでは2人の女性が言い争いをしている。
「だって私は女の子の大きな胸が好きなんだから〜。」
「それは理由にならないだろう!」
全くその通りだな。
因みに俺こと対馬レオはソファーに座って傍観してる。
まあ触らぬ神に祟りなしということか。
そして隣ではカニこと蟹沢きぬが茶菓子を食べている。
「乙女さん、私は胸が好きなの。」
「それは知っている。」
「私は胸が大好きなの!」
「・・・だからなんだ?」
「よっぴーの胸が好きなの、なごみんの胸が好きなの、乙女さんの胸が好きなの、
祈先生の胸が好きなの、張りのある胸が好きなの、少し垂れた胸が好きなの、
手に収まりきれない胸が好きなの、竜宮で、屋上で、教室で、密室で、島で、
ありとあらゆる場所で胸をもむのが好きなのよ!」
「顔が少佐になってるぅ!」
「ボクの名前が出てこないのは何でだぁ!!」
カニ・・・おまえ程度の大きさじゃなあ・・・。
「レオ、今何かものすごく失礼なこと考えなかったか!?」
「いえいえ、めっっっそうもございません〜。」
「・・・・ならいいけどよ。」


相変わらずこういうときだけ勘がいいな。
「言いたいことはそれだけか?」
あっ、乙女さん・・・・顔がはんにゃになってる。
「だからこれは私の生きがいなの、例え乙女さんでもやめる気はないは。」
ここまで言い切られると返ってすがすがしい気分になってしまうなあ。
でも乙女さんその答えで納得するわけが・・・・。
「納得できるか!」
ないよなあ・・・・。
「いいか姫、仮にもこの学校の生徒のなかで一番上の立場である貴方がそんなことでそうする!」
「べつにいいじゃな〜い。」
あ〜あ、この議論は平行線のまま交わることはなさそうだな〜。
と、ここで姫は椅子から立ち上がって乙女さんにこう言い放った。
「いいわ乙女さん、では勝負をつけましょう。」
「・・・・ほう。」
どうやら妥協点を見つけたみたいだな。
「私が勝てば黙認、貴方が勝てばやめる、これでどうかしら?」
「1度姫とは勝負したかったのだ、いいだろ受けて立つ!」
「・・・決まりね。」

勝負は格闘技で決めるそうだ。
小耳にはさんだことだが姫は館長に稽古をつけてもらっているらしい、そして乙女さんは言うまでもなく強い。
果たしてどちらが勝つのか・・・。
「では始めるとするか。」
「そうね、乙女さん。」
「レフェリーはこの平蔵がやろう、お互い正々堂々と戦え。」
「姫、勝つのは私だ。」
「そのセリフ、そっくりお返しするわ。」
一瞬即発の雰囲気、姫の背中には鳳凰が、乙女さんの背中には龍が見えるようだ。


「始めえ!」
2人は構えた。
姫は左手左足を前に出し腰を落としている。
そして手を“くいっ、くいっ”と曲げた。
「アメリカ人が作ったカンフー映画みたいだな。」
カニがそんなことを言った。
そんな見え透いた挑発に乙女さんは乗るわけがないだろう・・・・。
「安っぽい挑発だな、姫。」
「まあこの程度の挑発に乗る訳はないわね。」
「なんだよあの挑発は!ボクだったらぜってー許さねえからな!!」
カニ・・・・お前が乗ってどうする・・・・・。
乙女さんは右手右足を前に出して構えてる。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
流石にお互いの力量がわかっているらしく動こうとしない。
武道場に静寂が訪れた。
しかしその静寂を先に破ったのは姫だった。
「はあっ!」
足を上手く使って乙女さんとの距離を縮め攻撃をする!
「とお!たあっ!」
「ふっ・・・・。」
しかし乙女さんはそれを紙一重でよける!
「すげーな、乙女さん。」
俺も同感だ、姫もすごいがそれを簡単にかわす乙女さんはさらにすごい。
姫が少し間合いを置いた。
「なかなかやるわね乙女さん。」
「姫もよく動いているようだ、誉めてやる。」
「そんな余裕はいつまで持つかしらね!」
そしてまた姫が攻撃を始めた、しかも今度はさっきより早い!
短期決戦か!?


「オラオラオラオラオラ!」
「姫はどっかで聞いたよなラッシュをかける!そこにしびれる!あこがれるぅ!」
カニ・・・・いつのまに解説者になったんだ・・・。
しかし流石にラッシュをかけると乙女さんも押され始める・・・・が
「そんな攻撃など・・・・無駄アッ!!」
絶妙のタイミングでカウンターが決まった。
姫は少しよろついている。
「どうやら当たる瞬間に後ろに下がって大ダメージを避けたようだな。」
「くっ・・・。」
「やめておけ私には勝てないだろう。」
姫は大粒の汗をかいており大きく呼吸をしている。
「・・・・やっぱり勝てないか。」
どうした姫?やけに弱気だな・・・。
「なんだ?降参か?」
「いいえ、本気を出させてもらうわ。」
「何っ!」
姫の目を見る限り冗談ではなさそうだ・・・しかしどんな技で乙女さんを攻略するんだ?
「見てなさい。」
そういうと姫はまた構えた、そして・・・・。
「「タッグでいくわよ!」」
なんと2人に分身した。
「なんじゃそりゃあ!」×2
思わず俺とカニは大声で叫んだ。
しかし乙女さんは涼しい顔をしている。
「例え2人になろうが・・・!」
「「いくわよっ!」」
2人になった姫は同時に攻撃を始めた。
「むう、あれは奥義“二重影(ドッペルゲンガー)”!」
「なーに、少々ボーマン教官に習ったのよ!」
いや・・・・普通の人間にはできませんから・・・・というか館長なぜそんな技を知ってるんですか?


「わしも教えてもらったからな。」
「人の考え読まないでください。」
「なあレオ、僕にもできるかな?」
「教官に聞いてくれ。」
姫は息の合った攻撃を仕掛けてくる。
「おかしいな、あれは気配と実体を分けて攻撃するから片一方しか攻撃でないはずだが・・・・。」
乙女さんも徐々に押され始めている。
「なっ、なぜだ・・・・その技は・・・。」
「ただの二重影でなくてよ、独自にアレンジも加えたんだからね」
「なる・・・ほど。」
「戦いは数よ乙女さん、偉そうに構える前に手立てを考えた方がいいんじゃない?」
「くっ!・・・・。
「そろそろ決めさせてもらうわ!」
そういうと姫はまたラッシュを始めた。
「奥義!双子の断頭台(ジェミニギロチン)!」
「ぐはっ!」
乙女さんは倒れた。
「流石の乙女さんも勝てるわけがないでしょ。
乙女さんは完全に倒れている。
だが彼女はゆっくりと立ち上がった。
流石の姫も少々驚いている。
「まさか・・・・あれを凌ぐとは・・・。」
「戦いは数か・・・・その通りかもな。」
「だからどうしたの?まさか貴方も使えるのかした?」
「いや私はそんな器用なことはできない・・・。」
いや器用不器用の問題じゃないですから・・・・つーか武術じゃありませんから!
「だがこういうことならできる!行くぞ姫!」
「かかってらっしゃい!」


乙女さんはものすごいスピードで姫に近づいた、そして・・。
「秘技!分身烈風脚!」
一瞬にして何人にも分身し姫を打ち負かした。
「くっ・・・この技は・・・。」
「レオが読んでいた漫画を見て編み出した技だ!」
「乙女もなかなかやるのう」
もう何でもありですか。
「おおっ〜〜あれならボクにもできそうだ!」
その自身はどこから沸いて来るんだカニ。
「やるわね乙女さん、なら私だって!」
「まだあるのかYO!」
「ならば受けて立つ!」
もう・・・勝手にやってください。
「「「今度はトリプルよ!」」」
「奥義!飛燕竜巻烈風脚!!」
「秘奥義!エリカ七星点心!!」
「ならば秘奥義!滅殺螺旋撃!」
・・・・・・
・・・・・・
2人ともふらふらしている、そろそろ限界のようだ。
「やるわね乙女さん・・・。」
「姫こそな。」
「2人ともちょーすげー。」
「全くよくやるよ。」
あれから大分時間がたっている、すでに2人とも立っているだけでやっとという感じであった。
「次の1撃で勝負が決まりそうだな。」
「・・・・(ゴクリ)。」


2人とも呼吸を整えて相手の出方を伺っている。
「・・・・・・はあ!」
「・・・・・・たあ!」
2人同時に動いた。
ドカッ!!
「・・・・・・・流石だわ乙女さん・・・・。」
「・・・・・・・ここまで私と戦えるとわな・・・・。」
乙女さんの右ストレートが姫のあごに、姫の左フックが乙女さんの頬に当たっている。
そして同時に倒れた。
「この勝負引き分けとする!」
まあお互いの能力も拮抗していたからこうなることもありうるな。
「ではボクが優勝とことで・・・!」
「何でやねん!」
俺は思わずカニに突っ込んだ。
まあこれで2人が仲良くしてくれればいいんだけどなあ。

「姫!また女子生徒の胸を触ったそうだな!」
「いいじゃないそれくらい。」
「それでは生徒会長としての示しがつかないだろう!」
あ〜あまたやってるよ。
俺はコピー&ペーストしたようなデジャブを覚えた。
「ほ〜んとあの2人もよくやるなあ。」
「まあでもこれが一番平和なのかも。」
「そだね。」
まあ俺にとばっちりがこなければいいんだけどね。
乙女さんと姫が言い争っている竜宮はどこまでも平和なのであった。

END


(作者・区区氏[2005/11/19])

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