「あああああッ!」
下の階から乙女さんのすさまじい絶叫が聞こえた。
何事かと思い、慌てて階段を駆け下りる俺。
「乙女さん、どうしたの?」
「レオぉ…」
俺が呼びかけると、乙女さんはこっちを振り向き、ガクッと脱力したようにうな垂れた。
こんな乙女さんを見るのは初めてだった。
「どうしたのさ、いったい?」
「すまん、レオ。私としたことが……」
何故か俺に謝る乙女さん。だが、その謎はすぐに解けた。
乙女さんが抱える米櫃の中は見事に空っぽ。底の方に何粒か残ってるだけだった。
「ああ、お米なくなってたんだね」
「本当にすまん。そろそろ米が切れることはわかってはいたのだが、
 最近部活やら生徒会が忙しくて、つい失念してしまっていた……」
そう言いながら乙女さんは申し訳ないといった様子で俺に頭を深々と下げる。
なんか、かえって恐縮しちゃうな…。俺、料理は全部乙女さんに任せっきりだから。


待てよ! これはいいチャンスじゃないか!
毎日毎食、乙女さんのおにぎりばかりの食生活にはいい加減懲り懲りだ。
味は悪くはないのだが、たまには違うものが食べたい。
確か、この間のバイト代がまだ少し残ってたから思い切って外食でもしてみるか。
焼肉なんかいいな。カニとスバルとフカヒレとでよく行ってる馴染みの店もあることだし。
俺が奢ってやるって言えば、少しは乙女さんにいい所見せられるかもな。
よし、決めた!
「乙女さん! …って、アレ、いない?」
さっきまで目の前にいたはずの乙女さんの姿が忽然と消えていた。

「帰ったぞ!」
玄関から乙女さんの声がした。
「全速力で米を買いに行ってきたぞ。ふむ、3分か。まあ、こんなものか…」
と言うと、テーブルの上に10kgの米袋をふたつ置いた。
「じゃあ、今から炊くからな。少し時間かかるだろうから、その間に…レオ、お前は腹筋でもしておけ」
今日の晩御飯も乙女さんのおにぎり。
ハハハ、嬉しくて笑いが止まらないや。


(作者・名無しさん[2005/11/14])

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