姫が敵対する親族一同をことごとく抹殺しキリヤコーポレーションを手に入れてから数年が経ち、
キリヤコーポレーションも更なる躍進を遂げていた。
しかし、そんなある日…

「大変!大変だよエリー!!」
俺と姫がいつも通り仕事をこなしていると、
姫の秘書を務めている佐藤さんが大慌てで社長室に駆け込んでくる。
「あら、どうしたのよっぴー?」
「キ、キリヤコーポレーションが…何者かに買収されてしまったみたいなの!」
「なんですって!?そんないきなり、一体誰が…」
あまりに突然な佐藤さんの報告に俺と姫はしばし呆然とする。
「そんな…世界の頂点まであと少しなのに、こんなことって」
「でも、本当に一体何者なんだ…」
一夜にしてキリヤコーポレーションを買収してしまう程の企業が存在するなんて信じられない。
突然のキリヤコーポレーション買収劇に皆が途方にくれていると突然受付から連絡が入った。
「社長、キリヤコーポレーションの今後について社長と話し合いたいという方がいらっしゃってるのですが…」
「!!早速来たわね、いいわお通しして」
「わかりました」
「でも本当にどうするんだ?姫」
「まずは相手の出方を見るしかないわね…」
俺達はキリヤコーポレーションを買収した張本人の登場を静かに待った。
得体の知れない相手に流石の姫も緊張を隠せない、佐藤さんもさっきからずっとオロオロしている。
そして、目の前に現れたあまりにも予想外な相手に俺達は驚愕した。
「う、嘘だろ?!」
「あ、あなたは!」


「か、海馬瀬戸!!」
そう、現れた男はなんとあの海馬だったのだ。
「フンッ、オマエが霧夜エリカか?その若さでキリヤコーポーレーションを手に入れここまで躍進させるとは大したものだ誉めてやろう。
しかし!この海馬瀬戸を差し置いて世界の頂点などと笑止千万!!世界の頂点に立つKCはキリヤコーポレーションではない!海馬コーポレーションだ!ワハハハハハハハh」
「チッ、こんなイタイ奴に足元すくわれるなんて、わたしとしたことが…」
「か、海馬…(嘘だろ?なんでつよきすに海馬が…)」
俺があまりの出来事に呆然としてる間にも話は進んでいく。
「フン、何を言っても負け犬の遠吠えにしか聞こえんな、とにかく今からキリヤコーポレーションは我が海馬コーポレーションの支配下に入ってもらおう」
このままではキリヤコーポレーションは海馬のものになってしまう…。
ええい、こうなったら一か八かだ。俺は最後の賭けに出た。
「おい海馬!オマエも影でこそこそ株を買い集めて買収するとはずいぶんセコイ真似するじゃないか」
「なんだと?」


「どうだ海馬?オマエもデュエリストならデュエルで決着を付けようぜ。
オマエが勝ったらキリヤコーポレーションはお前の物だ、その代わり俺が勝ったらキリヤコーポレーションから手を引いてもらおう」
「フン、オマエ如きがこの俺とデュエルだと?片腹痛いわ!そんな結果の分かりきったデュエルなどする意味はないわ!フハハハハ!!」
「デュエルキングともあろう者が俺如きに負けるのが怖いのか?」
「なんだと?」
「どうする海馬?逃げるのか?」
「フン、いいだろう。オマエ如きブルーアイズで瞬殺してくれるは!ワハハハ!!」
テンションに任せて突っ走ってしまったが本当に海馬とデュエルして勝てるのか?
だが海馬からキリヤコーポレーションを取り戻すにはもうこれしか…
「ちょっと待って、レオ」
「姫?」
「このデュエル、私が受けて立つわ!」
「え?」
「そもそもこんな事になったのは私のミスだし、それにキリヤコーポレーションを守るのは代表であるこの私よ。
それにレオじゃ会社の未来を託すにはまだちょっと頼りないしね」
悔しいが海馬クラスの人間と戦うには確かに俺では役不足かもしれない。
やはり姫のような星のもとに生まれた人間でなければ本当に1ターンキルされかねない。
「それで文句ないわね海馬瀬戸!キリヤコーポレーションを賭けてわたしとデュエルよ!」
「フン、いいだろう。誰であろうと俺のロードに立ち塞がる者は粉砕するのみ!!」
こうして姫VS海馬のデュエルが決定したのだった。


〜翌日〜

「わたしがいない間に大変ことになってるな」
きのう現場に居なかった乙女さんにも事情を説明しみんなで打倒海馬にむけて会議を開いている。
「しかし、そんな大事なことをカードゲームなんかで決めるとはいささか不謹慎ではないか?
それに決闘というからにはもっと他のやり方があるだろうに…」
「それは違うぜ乙女さん!デュエルは魂と魂のぶつかり合いなんだ、お互いの意地やプライドをかけた命懸けの戦いなんだ!
いくら乙女さんでも神聖なデュエルをカードゲームなんか呼ばわりすることは許せないぜ!」
「つ、対馬くん?」
「そ、そうなのか?すまなかったレオ、わたしはまた自分の価値観で決め付けてしまったようだ、申し訳ない…」
「え?あ、いや解ってくれればいいんだよ。てゆーかなんで俺が熱くなってんだ?」
「ハイハイ、海馬のテンションに釣られて微妙に熱血モード入ってるレオは放っておいて話を進めるわよ」
「うっ…」
佐藤さんがみんなに資料を配り話を進めていく。
「日時は来週の水曜日午後6時半、場所は海馬ランド特設デュエルステージだよ」
「決戦まであまり時間がないわね、それまでに出来る限りの事はやっておきましょう」
「てゆうか姫デッキはどうするの?その前に遊戯王カードなんて持ってるの?」
「それなら大丈夫よ、地方巡業中のフカヒレ君に頼んで各地のコンビニでレア抜きしてきてもらってるから」
「そ、そんな地味なことしなくても遊戯王カードくらい普通に買えばいいんじゃ…」
「そうだそうだ、それにサーチ行為とはあんまり感心できることではないぞ」
「お、乙女さん?なんでそんな専門用語知ってるの?」
「ん?」


「オ〜スッみんな!久しぶりだなあ、俺に会えなくて淋しかったかい?」
「フカヒレ!」
話が脱線しかけたところで姫にカード収集を任されたフカヒレがやってきた。
「早いわねフカヒレ君、でカードの方は?」
「オウ、しっかり抜いてきたぜえ!俺にかかればレリーフだろうがウルレアだろうが一発だぜ!」
「流石だなフカフィレ」
今時いい年した大人が遊戯王カードのレア抜きするなんて、普通じゃ恥ずかしくてとても出来ない。
「それだけじゃないんだぜ、田舎のガキどもから入手困難なレアカードもボッタくってきたからな、シャーク鮫氷の名前は伊達じゃないぜ!」
やはりフカヒレは頼りになる、女子供もグーで殴れる男はどこか違う。
「まったく、おまえという奴は…」
乙女さんはもう完全に呆れ果てているようだ。
「さすがねフカヒレ君、お礼にチョコあげるわ。もう帰っていいわよ」
「え?それだけ?もっとさあ他になんかないの?こうさあ…」
「鮫氷くん」
「おっ!なんだいよっぴー?」
「帰りの出口はあっちだよ、受付で頼めばタクシー呼んでもらえるからね」
「…ウ、ウワアァァァァンいつか絶対必ず幸せになってやる〜」
フカヒレは佐藤さんに止めを刺され泣き叫びながら帰っていった。
相変わらず報われない奴だなフカヒレ…。


フカヒレが手に入れてきたカードにキリヤコーポレーションの財力で買い漁ったカードを合わせてデッキも組み終わり打倒海馬に向けての特訓が開始された。
ツッコミたい気持ちもあるがそこはあえて華麗にスルー。
「これで必要なものは揃ったわね、あとは決闘当日までひたすら修行を重ねるしかないわね」
「修行か、いい響きだな。わたしに出来ることがあればなんでも協力するぞ、遠慮なく言ってくれ」
「…………」
一向にルールを覚えることが出来ない乙女さんに出来ることなんて何もないんだけど、そこは誰も突っ込まない。
そもそもルールを覚えたところで駆け引きの全く出来ない乙女さんでは姫の相手にはならないと思う。
「でも姫の練習相手が出来る奴なんているの?俺じゃ格の違いで圧倒されて仮想海馬は務まらないし」
「それなら心配いらないわ、よっぴ〜♪こっちにおいで〜」
「え?わ、わたし?わたしにデュエルなんて無理だよエリ〜」
「いいからいらっしゃい」
そういうと姫は佐藤さんを連れてどっかにいってしまった。

一時間後

「おまたせ〜、さあ練習を始めるわよ」
「あれ、佐藤さんは?」
「すぐに来るわよ」
「あ、佐藤さん。あ、あれ?どうかしたの佐藤さん?」
佐藤さんの様子が明らかにおかしい。
「エリー、今日は私も遠慮しないわ。覚悟はいい?」
「さ、佐藤さん?」
「大丈夫よ、もうひとりのわたし。今日こそエリーを……して対馬君を……てみせるわ」
佐藤さんはなんか一人でブツブツいっている。
どうやら闇の人格が覚醒しているようだ。確かに闇ヨシミなら姫とも互角に戦えるだろう。
「さあ行くわよ、よっぴー!」
「ええ、かかってきなさいエリー!」
「デュエルスタンバイ!!」
こうして海馬との決戦当日まで血の滲むような過酷な修行が続けられた。


〜決戦当日〜

ついにキリヤコーポレーションの命運をかけた決戦の日を迎えた。
俺たちはすでに会場の選手控え室にいる。あと少しで海馬とのデュエルが始まろうとしてる。
「大丈夫、姫?緊張してない?」
「平気よ、この程度の修羅場は今まで何度もくぐり抜けてきたわ」
「そうだね、姫ならあの海馬にだって絶対勝てるよ。おれ応援してるから」
「ええ、任せといて。わたしの前に立ちはだかる者がどうなるか徹底的に教えてきてあげるわ。
それに私たちの夢をこんなところで終わらせて堪るもんですか!」
「姫…」
姫の瞳は強大な敵、乗り越えなければならない試練を前に熱く燃え輝いている。
俺が憧れた霧夜エリカは今も昔のままだ。そんな姫に俺は改めて惚れ直した。
「エリー、時間だよ」
デュエル開始の時間が迫り佐藤さんが姫を呼びに来た。
「わかった、すぐに行くわ。じゃあ行ってくるわねレオ」
「ああ、頑張れよ姫。姫は一人じゃない俺達もついてるんだ、俺は姫の勝利を信じてるよ」
「んっ…」
俺は優しくキスをして姫を決闘の場に送り出し、運命のデュエルに向かう姫の後姿を見えなくなるまで見送った。
姫なら絶対に大丈夫だ、俺に出来ることは姫の勝利を信じて応援することだけ。
ガンバレ姫、俺たちの夢のために…。

Isolation


(作者・名無しさん[2005/11/11])

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