放課後の竜宮でいつもの生徒会活動。
ただし、今日はオレと椰子以外、誰も来る気配がない。
「今日は誰も来ないなー」
「……先輩、二人っきりだからって変なことしようとか考えないでくださいね」
「しないって、紳士だよボクは」
「しないんですか」
「しません!」
「……」
「……な、なんでにらむんだよ」
「別に」
「おかしなやつだな」
「先輩ほどじゃありません」
「オレのどこがおかしいんだよ」
「全て」
「全てかよ!」
「ククク」
「笑わないでください、傷つくから」
「笑ったら喉が渇きました。お茶でも入れてください」
「フォローなしかい。つうか、なんでオレが」
「さっきから暇そうにしているじゃないですか」
「そういう椰子は忙しいのか?」
「見てわかりませんか? さっきから会計の仕事をしているんですけど」
「はいはい、わかりましたよ。ついでにお茶菓子がないかさがしてみるか」
「そ、それなら私が、今日はお菓子を作っ「あーつかれたー!」


「あ、姫」
「…………お姫様」
「対馬くーん、お茶入れてー」
「またそんな格好でソファに座って。オヤジくさいぞ、姫」
「いーじゃないこれくらい。それよりお茶ー」
「はいはい」
「……」
「ほい、お待たせ」
「あつっ! 舌を火傷しちゃうじゃない、入れ直し!」
「んーぬるくしたつもりなんだけどなー。じゃあ、ほいっと」
冷凍庫から取り出した氷を投入。
「こら、だからって氷入れるバカがどこに入れるのよ!」
「ダメ?」
「ダメに決まってるでしょ」
「でも麦茶なら氷入れるよね。あれはいーよねー」
「ん、そう言われるとそうね……これも案外いける、かしら?」


「……なーんて言う訳ないでしょ。い・れ・な・お・し・な・さ・い」
「やれやれ」
「あーエーリカ、ここにいやがったか」
「あ、土永さん」
「祈が文化祭の準備で相談したいことがあるから、ちょっと来てほしい、とよ」
「ふぅ、今日はゆっくり休んでいる暇もないのね」


「やれやれ、姫も大変だねぇ」
「……」
「ああ、遅くなったけど、お茶をどうぞ」
「……」
「どうした椰子、さっきから黙ったままで」
「……犬」
「は?」
「先輩って犬みたいですね」
「なぬ?」
「さっきの先輩の行動を見ているとそうとしか思えないです」
「バカいうな」
「お姫様のためにせかせか働いて、嬉しそうに尻尾ふっちゃって」
「尻尾なんかふっていません」
「顔がニヤけてましたよ、気持ち悪い」
「そ、そんなにニヤけてなんかない……た、たぶん」
「レオなんて名前の割には行動は犬としか思えない。完全に名前負けしてますね」
「くっ、なんだよ、今日はやけに絡むじゃないか」
「そうですか?」
「そうだよ!」
「……」
「……」


「先輩、お手」
「するわけないだろ」
「へぇ〜。じゃあ、これならどうです?」
そういって、椰子は自分の手の平に鞄から取り出したお菓子の包みを乗せた。
フッ、そんな手にひっかかるのはカニくらいのもんだぞ。
ん〜でもおいしそうな香りがするなぁ〜。
「わん」
「やっぱり犬ですね」
「なぜだ、身体が勝手に!」
気がついたら、椰子の手の上のお菓子を手にしていた。
その姿はまさにご主人様にお手をする犬のよう。
「よしよし、おかわり」
反対の手の平にお菓子の包みを乗せる椰子。
そう何度も同じ手にひっかからないってばよ!
「わんわん!」
「クククク」
「ま、また身体が勝手に!」
「これからは犬チック先輩とでも呼びましょうか?」
「ゔー」
「うなる姿も犬みたいでかわいいですよ、犬チック先輩」
「じゃ、じゃあ髪型変えて花見に連れ出したら椰子もドキッとする? 惚れ直す?」
「はぁ? 自惚れないでください。誰が誰に惚れているんですか」
「ご、ごめんなさい」
「別に髪型を変えたりしなくても、今のままでも……」
「ん? なんか言ったか?」
「別に何も」
「そっか。髪っていえば、そろそろカニに切ってもらうかなー」
「なんでそこで甲殻類が出てくるんです?」
「あいつ、おバカだけど手先が器用で結構センスいいから、昔っからあいつに切ってもらってるんだよ」
「……昔から……そうですか」


なんだ、椰子のやつ、いきなり元気なくなったぞ。腹でも痛いのかな。
あ、まさかカニの話題出したせいか? やれやれ、なんでこんなに仲が悪いかなぁ。
「そんなことより……」
「ん?」
「お菓子……食べないんですか」
「あ、ああ。そうだな食べるとするか」
「……」
「あれ? なぁ、これってもしかして椰子の手作り?」
「か、勘違いしないでください!
 ただちょっと家でお菓子を作り過ぎちゃっただけです」
「ふーん、その割に結構気合入った包装がしてあったけど……」
「文句があるなら食べなくていいですよ」
「そんなに睨むなよ、誰もそんなこと言ってないだろ。どれどれ……ん……うまーい!」
「!」
「いや、ホント美味いよ」
「そ、そうですか。おいしいですか」
「椰子は料理だけじゃなくて、お菓子作りもすごいんだなぁ」
「それより、まだ余っていますから、食べちゃっていいですよ」
「マジか! いただきまーす」
「ふふっ」
「あー、またがっつく姿が犬みたいだとか思ってるんだろー」
「わかりますか」
「わかるって」
「………………わかってないです」
「ん、なんか言った?」
「別に何も!」
「おかしなやつ」
「先輩ほどじゃないですよ!」


(作者・名無しさん[2005/11/04])

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