「ふぅー」
諸々の雑務を終えて私は一息ついた。
キリヤを自分の物にするのに2年、結構いろいろ大変だった。
世の中思った通りには動かない、それを身をもって知らされた。
私にいろいろ託して表舞台を降りた人、権力争いに負けて消えた人、
いろんな人たちの怨念やら希望やらを私は背負い込んだ。
「結構疲れるもんねぇ」
独り言をつぶやいてから思う。私らしくない。
竜鳴館にいた頃はもっと強気だったはずだ。こんな事で世界を自分の物にできるのか。
「(霧夜エリカ、気合いを入れろ!)」

コンコン
「エリカ、入るよ」
そう言いながらレオが部屋に入ってくる。
「お茶持ってきたよ」
「ありがと」
ぬるそうなちょうど良い温度のお茶が置かれる。
「ん〜〜おいし、レオもすっかりあたし好みなお茶入れるようになったわね」
「そりゃあ、愛情たっぷりですから」
「んふふ」
やっぱりこうやってレオと話しているのは気分が良い。
レオは、私がレオと世界の両方を手にできるはずだと言ったけど、
レオの存在がより私を世界に近づけている気がする。
それほど、レオは私にとって大切な人になった。
昔から大切だったけど、今はもっと大切。
「それより、どうしたのさ?なんか疲れた顔してるよ」
やっぱりわかっちゃうかぁ。
「ん〜まぁね、キリヤは私の物になったけど、結構こたえてるわけよ、この私でも。」
「そっか」


なんだか素っ気ない返事。でも、なんかもじもじしているレオ。何か隠し事でもしてるんだろうか?
「なんか隠し事してない?あ、私なんかに飽きてよっぴーの方が良くなったとか?」
笑えない冗談。私自身にとっても笑えない冗談。でも、口から出てしまう。
「いやいやいやいや、そんな分けないでしょ。でも、やっぱわかっちゃうか。よし」
ん?なんか気合い入れてるし。なんだろ。

「結婚しよう」
え?え?え?えええ?
「この指輪、エリカにとってはそんなにスゴイ物じゃないかもしれないけど、
俺の想いだけはたっぷり詰まってるから。だから、受け取ってほしい!」
あ・・・。
「エ、エリカ。ど、どうしたのさ、そんなに泣いて。お、俺そんなに変なこと、い、言った?」
涙が止まらない。涙が止まらない。
言ってくれるわ、レオのくせに・・・いや、レオだからね。
いつだって、私のココロを理解してくれて、いつだってその先を行く。
「だって、だって」
「いままで、エリカが抱えてきたモノ、俺にも少し分けてくれ。一緒に抱えていけば、もっと楽になるよ。」
顔が真っ赤っかだったのを見られたくなかったのだろう。そういって、レオは私を抱きしめる。
言葉なんて出ない。出せない。
ただ、レオのぬくもりを感じた。


「で、どうして急に、そんなこと言おうと思ったの?」
少しだけ落ち着いてからレオに聞いてみた。
「うん、エリカ、キリヤまとめてから、余り笑ってなくて、つらい顔ばかりでさ。
だから、何とか元気づけたかったんだけど、あ、でも、
だからって気持ちが中途半端ってわけじゃないぞ!
指輪自体は実はちょっと前に買ってたんだけど、その・・・・なかなか渡せなくて・・・あー、何言ってんだ、俺」
こういうところはレオっぽいなぁ。でも、そんなレオも好きなんだと改めて実感。
「ふふん、いいわ、レオ、世界をみせてあげる。私の一番そばで、ずっと、ずっと!」
私が好きなレオ。誰よりも好きなレオ。どうしようもなく好きなレオ。
だから、一言言わせて。いつも言ってるけれど、また言わせて。
「すきよっ」

おまけ
「うー。エリーの一番とられちゃったよぅ」
「佐藤、私だって弟を姫にとられた気分なんだぞ」


(作者・名無しさん[2005/10/17])

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