夏の蒸し暑い夜、良美は中々眠れないでいた。
「あつい……」
 今日は、この夏一番の暑さだったこともあるが、
良美が居間にいる父と母の声を聞きたくないあまりに、
布団を頭から被ったことも暑さを助長させていた。
「まだ、おわらないのかな……」
 何もこんな暑い日に、と良美は思うが、それを母親に言うことなどできない。
 できることといえば、こうやって布団に包まって嵐が通り過ぎるのを待つことくらいだ。
 だが。
「あついよ」
 今日はとにかく暑かった。
 こんなに暑いのに何で自分は布団の中にいるんだろう。
 そう思うと良美は悲しくて泣きたくなった。
 けど大声で泣くことなどできはしない。
 だから枕を抱きしめた。
 顔を押し付けて涙と泣き声を枕に閉じ込める。
 今まで何回もしてきたことだ。
 今日も一頻泣いたら眠れるようになる。
 そのはずだった。
「ん、んぁ」
 しかしこの日は違った。
 枕を四肢で抱きしめてみたら、何故か股間が熱くなった。
「なんで……」
 どうしてそうなったのかは幼い良美には分からないが、
二、三回枕をぎゅっと抱きしめるとその度に股間がじーんとする。
「んぅ」
 枕を抱きしめると体が股間のところから熱くなるが、それは不愉快なものではない。


 むしろ……
 そう、気持ちがいい。

 だから良美は、暑さと両親から逃げるために何回も枕を抱きしめた。
「ん、っ、んん、ぁっ」
 抱きしめるだけではこれ以上の気持ちよさは生れそうにないので、
枕に直接股間を当ててこすってみた。
「ひっ」
 目から火花が出て、頭が真白になって、体から力が抜けた。
「はぁ、はぁ はぁ」
 その行為が自慰と呼ばれるものだということを良美は知らなかったが、
この日以降、彼女は毎日これを行うようになった。


……
………

「ん、あっ、んぁ」
 あの日から約一年、良美は指を股間で躍らせることを覚えていた。
 だが、足りない。
 良美は最後に近づくと、いつも枕で股間を擦ったが、
肥大化した性欲はそれでは収まらなくなっていた。
「んんんんっ」
 今も絶頂を迎えたが体の火照りが治まらない。
 静かに息を乱しながら、再び股間に手を伸ばした良美だったが、
その時誕生日に父親が買ってくれた机が目に入った。
 あれに股間を押し付けたらどうなってしまうのだろう。
 それは、とても危険で、魅力的な誘惑だった。
 母親がいるということ一時忘れてしまうくらい魅力的だった。
 それだけの話だった。


(作者・名無しさん[2005/09/21])

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル