放課後、なごみと一緒に竜宮に行くと祈先生と乙女さん以外の
みんなが揃っているのだが、なんだか様子がおかしい。
「なんだあいつら固まって」
「またなにかたくらんでいるんでしょうか?」
みんなが集まることは珍しくはないのだが、
今日はなぜか一箇所に集まって何かしているようだ。
中に入るとカニがこっちに気づいて近寄ってきた。
「おー来たな?レオと、あとな・ご・み・ん」
「おい甲殻類。 そんなキモイ呼び方すんじゃねえよ」
「どうしたカニ? なんか変だぞ」
「ふぃあ、ふぇふにー。ひょっふぉふぇ〜」(いや、別にー。ちょっとねぇ〜)
カニは両頬を伸ばされてるのにまだ上機嫌にニヤニヤしている。
なごみのまねをする訳じゃないが、ちょっとキモイ。


「ふぁ〜フカフィレ?」(な〜フカヒレ)
「ああ、そうだよな〜ちょっとだよな〜」
いつのまにか全員こっちにきていた、
ついでにそろってニヤニヤしていて笑いをこらえているようだ。
「いったいなんだってんだよ」
「センパイ・・・」
カニを放したなごみが制服の裾を引っ張る。
「んっ、ああ姫」
「はろはろ〜、対馬クン、なごみん」
「姫〜? またなにかやったのか?」
「べっつに〜」
この顔は絶対なにか隠してるな。
「お姫様、とぼけてないで答えてくださいっ!!」
「私はただ対馬クンとなごみんがどれだけ仲がいいか教えてあげただけよ〜」
「・・・・・・ってそれってもしかして?!」
「そうそう、コレのことさ〜」
カニが携帯を取り出す。
「ポチっとな」
そしてボタンを押すと


『センパイに・・・・・・センパイに気安く触るなっ!!』

「やめろーーーーーーっ」
「う・・・・・・ぐ!」
あの時録画してた映像だ・・・・・・残ってたのか。
「まさか、あのココナッツがこんなベタベタなセリフを吐くなんてねぇ?」
「やっぱ思ったとおりだ。・・・・・・椰子はツンデレっと」カキカキ・・・・・・
「おーおー、お熱いこった。 こっちまで恥ずかしくならぁ」
「ちょっと、姫っ!! なんであの映像みせてるんだっ!?」
「えーっ、別にあの時『見せるな』なんて言われて無かった気がするけど〜?」
「シット!!」
あの時ちゃんと消すの確認するべきだった・・・・・不覚。
「ココナッツちゃんは独占欲が強いでちゅね〜。
ストーカーの気質あるんじゃねぇ?」
「ツンデレのなごみたん・・・・・・ハァハァ」
しまった!? いつの間にかなごみが矢面に立たされてる!


「・・・・・・っ!」
「ややっ・・・・・・前のように逃げるつもりね?
 私はそれほど甘くないわよ。よっぴー♪」
「施錠〜♪」
ガチャリ
「なっ?!」
「佐藤さん?!」
「さーこれで逃げ場はないよー。 どーするのかなー椰子さん?」
「キシシシシッ 今日は負ける気がしないぜぇ!!」
「いままでツンツンしてたんだからさぁ。
そろそろデレっとしてよぉ、なごみたぁん?」
「うう・・・・・・」
やばい、いつも以上になごみが追い詰められてる。
「おいっ、ちょっとお前らやめ―」
「お嬢様肝臓打ち(リバーブロー)」
「ヘヴンっ!!」
バタンッ!!
くそっ・・・・・・たれぇ! 体が動かない・・・・・・
「んっふっふっふ。さあどーでる、なごみん?」


「ふ」
「ふ?」
「ふ・・・・・・ふえーーーーーーーーーーん」
「( ゚д゚)ポカーン」
「泣いてるよ」
「あら? 泣いちゃった」
「泣いてるな」
「あわわわわ、女の子泣かせちゃったよぅ。どうしようどうしよう」
な・・・なごみが泣いてる。 しかもあんな大声で。
「ふえーーーーーーーーーーん」
「な・・・なごみ」
痛む体を何とかたたせなごみのもとへ向かう。
「ふえーーーーーーーーーーん センパーーーーーーーーーーーイ」
「ごふっ」
なごみにいきおいよく抱きつかれさっきやられた肝臓が痛む
だが、ここは我慢だ。
「よしよし、なごみもう大丈夫だからな」
なごみの頭をやさしくなでる


「おいおい、お前この程度なんかよ。以外に耐久力ね―」
「はい、ここまで。カニ、いいかげんにしときなさい」
「泣いちゃったねぇ? 泣けば済むと思―」
「はいはい、黒よっぴーもそこまで」
胸揉みっ!!(モニュ)
「あんっ」
なごみの黒髪をとかすように何度も頭をなでていると、
だんだん嗚咽がおさまっていく。
「ひっく、ひっく」
「おーよしよし・・・・・・んで、姫〜?」
ギロリ
「ちょ、ちょっとそんな怖い顔しないでよハンサムな顔が台無しよ?」
「関係ない」
「・・・・・・悪かったわよ、ちょっとやりすぎちゃったわね」
?・・・・・・やけにあっさりあやまるな
「今回はずいぶんと素直だな」
「『今回は』は余計よ。ともかく今日のは理由があってやったことなのよ」
「理由?」


「なごみん、聞いて?」
「?」
泣き止んだなごみ(まだ目が赤いけど)が姫と向き合う。
「私たちはねなごみんと仲良しになりたかったのよ」
「えっ?」
「そりゃあ執行部の活動としては一緒に行動してたけど。
 やっぱりまだ私たちとの間に線を引いてるみたいだったから」
姫もなんとなく気づいてたのか・・・
「だから、対馬クンとこんなに仲良くなれるのなら、私たちともできるんじゃないか、
 って考えたんだけど・・・・・・ちょっとやりすぎちゃった」
「お姫様」
「なごみ、ごめんなさいね?
でも仲良くなりたいっていうのは本気だから・・・・・・嫌?」
ふるふる
なごみが首をふったぞ?! これで生徒会のみんなも線の内側になったって事か?
「良かった」
姫がなごみのことを抱きしめると
なごみも姫の背中に手を伸ばす
「良かったね、椰子さん」
「はいはい、仲良しってことでよかったな? ハンっ!」
「これこれ、いいシーンでやっかみいれない」
「姫うらやましいな〜。なごみた〜ん俺へのデレは〜?」
みんな好き勝手言っているが顔が笑っていた。
「・・・・・・」
これで大団円だと言いたい所だが、
なごみに抱きしめられている姫の顔が
怪しく微笑んでいるのに俺は気づいてしまった。


(作者・クッキー氏[2005/09/21])

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