9月1日
今日は対馬君と一緒に学食でお昼ご飯を食べた。
サンドイッチにオレンジジュース。購買で買ったモノ。
本当なら私が作ってきたいのだけれど、少し躊躇してしまう。
私に、その資格があるかどうかが分からないから。


9月2日
対馬君が家に来てくれた。
以前までの私なら、素直に喜んでいた。
たったそれだけのことで幸せを感じていた。
だけど、あの日、対馬君に頬を叩(はた)かれたあの日、
自分がどういう存在か、嫌というほど気付いた。
好きな人ですら信じず、試すようなことをして得られる幸せは、もう嫌だ。


9月3日
今日も対馬君は家に来てくれた。
夕ご飯を食べて、そのあと沢山エッチをした。
彼に抱かれている時間が、私にとって一番落ち着く時間。
だけどそれは、幸せと呼ぶにはちょっと違うかもしれない。
だって、私の体質が大きく関わってもいるから。
私の性欲発散でしかないから。
結果的に、私は対馬君を利用しているだけかもしれない。
自分自身のためだけに。


9月4日
今日も彼は来てくれた。
とりとめない会話をし、晩御飯を食べて、私を抱いてくれた。
いつも通りの、機械的な日常。
ちょっと違うのは、彼が帰り際に言った一言。

「明日遊びに行こう」

なんだろう。この一言にすごくドキドキした。
結局その日は、夜遅くまで眠れなかった。


9月5日
危なかった。危うく待ち合わせの時間に遅れるところだった。
結局、昨日就寝したのは夜中の4時。もう昨日じゃないけど。
待ち合わせはPM1時。
今日起きたのは11時だったから、すっごくギリギリだった。
急いで支度して、待ち合わせのステーション前へ。
着いたのは大体PM0:50分。
何とか間に合ったと安心して一息ついてたら、トントンと肩を叩かれる。
振り返ると、「や。おはよう」と言って片手をあげている対馬君が。
まずい。すっごく気まずい。もしかしてかなり待ってたんじゃ。
「ほら、行こうよ」
謝ろうかとモジモジしていた私の手を取って、対馬君は歩きはじめた。
謝るタイミングを完全に逃してしまった。でも、嫌な雰囲気ではない。
・・・ありがとう、対馬君。

駅を乗り継いで目的地につく。つい最近できた遊園地らしい。
ジェットコースター、コーヒーカップ、お化け屋敷、観覧車、
といった基本的なものから始まり、
ゲームセンターで音楽ゲーム、ホッケーみたいなゲーム、
あとUFOキャッチャーでマスコットを取ってもらったりした。
楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。
気がつけば、もう夕方だった。
夕食は遊園地で。結構品のある飲食店に見えたけど、値段は良心的だった。
メニューを見る。
前菜、メイン、デザートと別れていた。わりと本格的だ。
前菜は何にしようかなと決め兼ねていると、対馬君が、
「今日、楽しんでくれたかな」
と聞いてきた。
一瞬答えられなかったけど、すぐに首をブンブンと縦に振る私。
対馬君は「よかった」といって微笑んでくれる。

その時、今しか機会はないと思って、
以前から聞いておきたかったことを聞いてみた。
「対馬君は、私と一緒にいても楽しい、かな」
以前のような、気持ちを試す訳じゃない。
私が素直に感じた疑問だった。
私は今でも対馬君を利用している。私の体質を押さえる為に。
だからこそ知っておきたい。対馬君の想いを。
私が今出せる、精一杯の勇気。
精一杯の勇気、なんだけど・・・。
その台詞のあと、私は怖くなって力一杯眼を閉じた。
私を否定するんじゃないか、不快に感じているんじゃないか。
嫌な考えだけが駆け巡る。
そんな私に、対馬君は、ハッキリと答えてくれた。

「――――――――――」

私は。
私は馬鹿だ。
こんなに、こんなに身近にあったのに。
幸せが、沢山の幸せがあったのに。
対馬君が―――レオ君が、私の幸せそのものだったのに。
私は馬鹿だ。自分一人が気付いてなかっただけだったんだ・・・。

その時、私は泣いていた。
ウエイターさんが困っていた。周りのお客さんが何事かと騒いでいた。
レオ君はオロオロしていた。慰めたりもしてくれた。
だけど私は泣き続けた。すごく、とてもすごく嬉しかったから。
だから涙は止まらない。・・・・・・止めたくない。


あれから私は少し変わった。
前までの私は「私の幸せ」を探していた。
今の私は「私が気付いていない私の幸せ」を探している。

今、私達はスウェーデンにいる。

「寒っ!
スウェーデンって寒!」
「おおぉぉ、確かに凍えるぜここは」
なんか微笑ましいなぁ。エリーが本気で寒がってる。
スバル君はちょっと以外。寒いの平気だと思ってた。
「よっぴー、私をあっためて」
「レオ、オレをあっためて」
・・・冗談を言う元気だけはあるんだね二人とも。
「無理。レオ君に抱っこされてるし」
「無理。良美抱っこしてるし」
私のあとに続けてレオ君も言ってくれる。何気ないその言葉がとても嬉しい。
これも私の幸せ。
「くそ、夫婦円満カップルめ」
え、え、夫婦円満?どうしよう、恥ずかしいけどすごく幸せな気持ちになる。
他に人から言われる何気ない一言からも感じられる幸福感。
これも私の幸せ。


「ほら、よっぴー。もう充分過ぎるほどオーロラみたでしょう。
戻るわよ」
「もうちょっとだけ!」
「だ、そうだ。先戻ってていいよ」
レオ君は私と一緒に残ってくれる。
彼にとっては当たり前のこと≠ネのかもしれないけど、
私にとっては、ただそれだけでもふんわりとした気分になれる。
嬉しい。とっても。言葉にできないくらいに。
これも私の幸せ。
「じゃ、そろそろ時間だから戻るか」
「うん。あ、あのね・・・・・・」
「ん、なんだ?」
「あの、その朝ご飯終わった後の自由時間に、その・・・」
うぅ・・・恥ずかしい。未だに誘うことには慣れない(慣れても困るけど)
レオ君は「お誘いありがとね」と言ってくれた。…やっぱり恥ずかしいよぅ…
大好きな男性(ひと)に抱かれる喜びも大きいけどね。
これも私の幸せ。


気付かなかったこと、知らなかったこと、否定してきたこと。
今振り返ると、私の幸せは全部それの中のどこかにあったんだと思う。
だけど、その幸せの中には辛い現実があって。
そして、私はいつも辛い現実しか見てなくて。
最後にはいつも逃げ出して・・・。
でも、もう大丈夫。
レオ君が、私の大切な人が全部気付かせてくれたから。
「ね、レオ君」
「ん?」
「この間、一緒に遊園地に行ったよね」
「うん、いったね」
「あの時、遊園地のレストランで私に言ってくれた台詞、覚えてる?」
「・・・え?」


『対馬君は、私と一緒にいても楽しい、かな』
『良美のそばにいれれば、何処にいたって楽しいよ』


「あ〜・・・ごめん。わすれちった」
絶対ウソ。
だってすっごく顔赤いよレオ君。
「あはは、レ〜オくんっ!」
「うわっととっ!いきなり抱き着いてこないの!」
そんな言葉は無視して、私は彼の腕に抱きつく。
今の私は迷うことなく言うことができる。
「レオ君だ〜いすき!」


(作者・479氏[2005/09/20])

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