2-Cの竜鳴祭の出し物は演劇『シンデレラ』に決定していたが、
役はまだ決定していなかった。

「今日のHRは、竜鳴祭の演劇の役を決めようと思います。
 ちょっと、みんなー静かにしてよー。」
「・・・。」
クラス委員のよっぴーが注意すると、いつもなら騒いだままなのに、今日は静かになった。
お祭り関係の時だけは、静かになる2-Cだった。

「豆花さんの台本が出来たので、それに基づいて役を黒板に書いていくから、
 足りない役とか有ったら言ってね。」
留学生なのに、現代文が得意な豆花が、絵本を参考に脚本を書いた。
よっぴーが台本を見ながら、シンデレラ・王子・継母・姉・魔女・王子の部下
と役名を書いていった。

「よっぴー、シンデレラの馬車を引っ張る馬が要るんじゃないの?」
「姫、馬なんて要るのか?」
「馬車のセット引っ張る馬役が必要じゃない?」
「馬もセットにするとか。」
「それだと、舞台袖から引っ張る時、重くなるし大変じゃない?安全性も低くなりそうだし。」
姫の言い分に、クラスがある程度納得し、役に馬が追加された。
「馬なんて、なったら悲惨だな。」
「ウチら女子には関係ないな、馬車引っ張るチカラないさかい。」
「マナならチカラあるから、平気ネ。」


「しかし、どうやって役を決めるんだ。スゲー揉めそうじゃね。」
「伊達さんの言うように、揉めそうですから、ここは投票にしてはいかがでしょう。」
「名前だけ書くと、後でごちゃごちゃ言いそうなジャリが居るから、
 理由も書くといいだろうな。」
「と土永さんが仰ってますわ。」
「まぁ投票しても主役はボクに決まりだろうけど。」
「・・・・・・。」
「おい!おめーら、なんで黙るんだよ!」
よっぴーが黙って投票用紙を配り出した。

「みんな投票用紙は行き渡った?」
「あのー、よっぴー、私の投票用紙が無いんですが。」
「えっ。先生も投票するんですか。」
「私も2-Cの一員ですので。」
「は、はぁ・・・。」
よっぴーは祈先生にも投票用紙を渡した。

「我輩の投票用紙も無いぞ。」
「鳥に投票用紙は要らないでしょ。」
「エリカ、鳥類差別するというのか。」
「祈先生のペットってだけで、別に2-Cの人間じゃないし。」
「ショーック。」


「あ、あの他に投票用紙ない人は?」
配り漏れが無いのを確認してから、よっぴーは教壇まで戻った。
「じゃあ、最初はシンデレラと王子役の人の名前を書いて、この入れ物に投票してね。」

「おいレオ、シンデレラにはボクの名前書けよ。」
「なんでだよ。」
「いいじゃねーか、王子にはおめーの名前書いてやるから。」
「おい小娘。選挙の運動員みたいな票集めするな。
 日頃からクラスで信頼されるような行動してれば、自然と主役に推されるってもんだ。」
「ぐっ。」

全員が投票を終え、よっぴーが教壇に戻る。
「集計するから、みんなちょっと待っててね。」
教室は、誰に投票した。誰がどの役に相応しい。など配役に関する話題で騒がしくなった。

「エリー、対馬君、集計するの手伝って貰えないかな?」
「いいわよ、よっぴー。」
「うん、いいよ。」
レオはスバルのほうに顔を向ける。
「スバル、ちょっと手伝ってくれ。」
「しょうがねーな坊主。」
「ゴメンね。対馬君たちは票の集計してくれないかな。私とエリーは理由を集計するから。」
席につき集計を始めた。


集計が終わり、集計結果をよっぴーが黒板に書き始めると、今まで騒いでいたクラスが
少し静かになり、黒板に視線が集中する。

シンデレラ
霧夜18 佐藤11 蟹沢1 ボク1
王子
伊達17 霧夜9 対馬4 鮫氷1

「ボクって・・・、自分に票入れようとして間違ってるなんて、カニはバカだな。」
「はぁ?なんでボクが自分に入れようとした、とか言えるんだよ。」
「ボクなんて言うのは、お前しか居ないだろうが。」
「偉そうなこと言っても、フカヒレ!おめーも自分に入れてるじゃねーか。」
「“も”って事は、カニっちは自分に入れたんだ。」
カニの言葉を聞き逃さず、的確に突っ込むよっぴー
「ぐはっ、しまった。」
「やっぱりバカだな。」
「フカヒレだって、自分に入れてるだろうが。」
「何で俺が自分に入れたって、言えるんだよ。」
「鮫氷なんて投票するのは、おめーしか居ねーんだよ。」
フカヒレを除く全員がカニの意見に「うん、うん。」と頷く。

「ちくしょー!!」
泣きながら、教室を出て行った。
誰かが引き止めてくれると思い、廊下で一度止まったが、誰も引き止めに来なかった・・・。
「誰か一人くらい、引き止めてくれてもいいじゃねーか。」


フカヒレが教室から居なくなってる間に、
シンデレラ・王子に続き、継母・姉・魔女・王子の部下の投票が行なわれ、
継母=祈先生、姉=蟹沢きぬ、魔女=佐藤良美、王子の部下=対馬レオに決定した。

祈先生とカニは決定に不服だったが、他の人だと姫に意地悪の演技を出来そうにない、
と言うような理由が大半を占め、二人はしぶしぶ納得した、
しかし、姫に意地悪できる部分には魅力を感じてるようだった。

「ふー、ただいま。」
「おかえり、もう役決まったぞ。」
スバルが黒板を指差す。
「俺が馬ってどう言うことだよ。」
「まぁ投票だからな。」
「投票って投票結果はどうなんだよ、僅差なら決選投票だろ。」
「投票結果ならこれだ。」
スバルが票を集計した紙を見せた。


鮫氷30

「うわぁぁぁぁん!!」
目から滝のような涙を流しながら、フカヒレは教室から走り去った。

「役が決まったから、次からは、本格的な準備にはいります。」
HRの終了時間も迫っていたので、よっぴーがまとめにはいった。

「なぁ、あの配役やと、生徒会の出し物と区別つかへんな。」
「・・・・・・・・・。」
クラスが静まり返った。
「だから、マナは空気読めないって言われるネ。」

                         劇団2-C 役を決めよう 完


(作者・名無しさん[2005/09/19])

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル