あれから俺と祈先生は「なんとなく」続いていた。
俺達は3年になり、乙女さんは卒業してしまっても祈先生は相変わらずだった。
そんなある日のいつもの幼馴染の集い。
カニ  :「今日学校でさぁ、トンファーに聞いたんだけど、駅ビルに占いの館できたんだってさ。
そんで、トンファーと真名がいってきたんだって。」
レオ  :「ふーん。それで?」
フカヒレ:「まさか、祈先生でした!ってオチじゃねーだろうな?いや待てよ・・・
ギャルゲーだとCG回収ポイントだな・・・」
スバル :「やれやれ」
レオ  :「いい加減その考えやめろってーの。んでどうだったって?」
カニ  :「それがさ!それがさ!行列できるほど当たるらしいよ!」
スバル :「おっ、面白そうじゃん。明日は休みだし、みんなでいかね?」
フカヒレ:「いいね!オレ、彼女いつできるか占ってもらおっと。魔法使いにはならねぇどぉ!」
レオ  :「アホはほっといて。んじゃいってみるか。」
カニ  :「決まりだもんね!行列できるくらいだから早く行こうよ。」
スバル :「そうと決まれば今日は解散だ。じゃまた明日な」
レオ  :「おう。明日な」
そんなこんなで解散した俺たち。
占いか・・・。祈先生で十分当たる気もするが、まぁ気分転換もかねていってみよう。
ちょっと占ってもらいたいことあるしな。明日は早いしもう寝よう・・・。


翌日。携帯で起こされる。
スバル :「よう。朝からオレの美声で起こされるとはお前は幸せもんだよ・・・」
レオ  :「だからヤメレって。」
スバル :「起きてるみたいだな。子蟹ちゃん起こすのわすれんなよ?」
レオ  :「わかってるよ。じゃまたあとでな」
カニを起こしてみんなと合流。噂の占い師のもとへ向かう俺たち。
それぞれ何を占ってもらうか考えてるみたいで、なんだかわくわくしてるな。
カニ  :「レオー。おめえ何占ってもらうか決まってんの?」
レオ  :「ん?あぁ。まあな。お前は?」
カニ  :「へへへっ。ひ・み・つ」
フカヒレ:「占い師と恋におちる・・・。いいシチュエーションじゃないかぁ・・・。」
スバル :「やれやれ」
スバルは何か言いたそうににやけているが、こっちはそれどころではない。
どれほど当たるか知らないが、とにかく占ってもらおう。
そういえば祈先生以外に占ってもらうのなんてはじめてかも。なんだかドキドキしてきた。


その場所につくとすでに何人か並んでいた。
フカヒレ:「もう並んでるのかよ!すげぇな。」
スバル :「ま、気長にまとうや。」
しばらくして順番が回ってきた。まずはカニ。
カニ  :「じゃ、いってくんね!」
・・・・・・・・・・・・・・・
占い師 :「なにを占って差し上げましょうか?」
カニ  :「ボク、好きな人いるんだけど、その・・・うまくいくのかな?」
占い師は水晶玉を見つめている。しばらくの沈黙の後に・・・
占い師 :「・・・・あなたの想っている人はとても近くにいらっしゃいますわね。」
カニ  :「!!!」
占い師 :「その方はお互いの距離を保ちながらお付き合いされてる方がおられますわ・・。」
カニはそれからの話はほとんど聞こえていなかったみたいだ。
スバル :「お、カニが出てきたぞ。ん?」
レオ  :「どうした?スバル?」
フカヒレ:「カニのやつ泣いてんのか?」
レオ  :「おい、どうかしたか?」
カニ  :「てんめー!!」
カニはどういうわけか怒っていた。なぜかオレに矛先が向いているが・・・。
そのままカニは帰ってしまった。
スバル :「ちっ、しょうがねーなー」
レオ  :「なんだかわけがわからんが、放っておけないな。スバル悪いが・・・」
スバル :「なんだかお前に怒っていたみたいだしな。まぁまかせな。」
スバルにカニをまかせ、微妙なままオレの番。
・・・・・・・・・・・・・・・
占い師 :「なにを占って差し上げましょうか?」
レオ  :「!?」
なんだこの感覚。わけがわからないが、妙な感覚だ・・・。


レオ  :「あ、あの、実は今付き合っている人とのことなんですが・・・。」
レオ  :「これから俺たちどうなっていくんでしょうか・・・。」
占い師 :「・・・」
占い師の表情はわからないが、どうも困った様子が伺える。
レオ  :「?」
訝しげにしていると占い師は搾り出すようにこう答えた。
占い師 :「その方を占うことはできません、ですわ。」
レオ  :「え?どうしてです?」
占い師 :「私もこんな経験はじめてですの。どうしてもだめ、ですわ。」
レオ  :「そうですか・・・。」
占い師 :「かわりにといってはなんですが、あなたはあなたが思っているより周りの方から
愛されていますわよ。愛情の形は様々、ですわ。」
レオ  :「はぁ、どうも。」
う〜ん。はっきりって微妙だったな。祈先生のことが占えないってわけわからん。
おまけに愛されてるっていわれてもなぁ・・・。祈先生に相談してみるか・・・。

後日。
学校にいってもカニは微妙に怒っていた。わけわからん。馬鹿は放っておこう。
放課後、竜宮に行く。誰がいるかなっと。
レオ  :「ういーっす」
祈   :「あらあら、対馬さん。」
レオ  :「祈先生だけ?」
祈   :「ですわ〜。」
レオ  :「あ、ちょうどよかった。先生、噂の占い師知ってる?」
祈   :「知ってますわ〜。」
レオ  :「なら話は早い。」
(説明中)


レオ  :「ってことがあたんですよ。どう思います?」
祈先生は突然占いはじめる。カードをめくるたびにため息をついている。
祈   :「だめですわ〜。なんど占っても同じ・・・。」
レオ  :「う〜ん。まさかあの占い師って先生だったり?」
祈   :「違いますわ。私なら土永さんもいるはずですわ。」
レオ  :「それもそうか・・・。」
祈   :「対馬さん、明日ご一緒できませんこと?その占い師のもとへ・・・。」
レオ  :「え?あぁ、もちろんですよ。先生と2人きりなんて久しぶりだし・・・。」
祈   :「あらあら、顔が赤いですわよ?」
黄昏色に染まる竜宮。祈先生はくすくすと笑いながら頬を撫でてくれた。
なんでだろうなぁ。先生に頬を撫でられるととても安心してしまう俺ガイル。

翌日放課後、祈先生を待つ。といっても、さすがに校門じゃまずいのでいつもの場所へ。
ドキドキするなぁ・・・。
ガチャリ!
祈   :「お待たせですわ〜。」
レオ  :「・・・先生、俺・・・もう・・・」
祈   :「あらあら、可愛いですわね。対馬さん。」
・・・・・・・・・・・
祈先生と久しぶりに肌を合わせる。あっというまに3回も搾り取られてしまった・・・。
先生も満足してくれたみたいで幸せそうな顔をしていた。
事を済ませ、落ち着いた後、噂の占い師のもとへ向かう。
祈先生はさっきとは違ってどこか落ち着かない様子だった。
う〜ん。どうしたんだろ。
レオ  :「先生、どうしたの?」


祈   :「どうも胸騒ぎがしてなりませんの。こんなことは初めてですわ。」
レオ  :「・・・」
祈   :「対馬さん、一緒にはいってくださいませんこと?」
レオ  :「あ、はい。俺でよかったらよろこんで。」
噂の占い師のもとに着いた。幸運にも人すくねー!
先生もなんか不安げな様子だし、待っててもこっちが不安になりそうだからちょうどよかった。
しばらくして順番が回ってきた。相変わらず祈先生は胸騒ぎが収まらないみたいだなぁ。
占い師 :「次の方、どうぞ〜。」
呼ばれて、俺と祈先生は占い師がいる部屋へ案内された。
椅子に腰を掛ける。
占い師 :「何を占って差し上げましょうか?」
レオ  :「ん??先生?どうかした?」
祈   :「・・・」
祈先生は何故かボロボロと涙を流していた。
俺はわけがわからずに先生を呼ぶが反応がない。
どうしたってんだ!と思っていると先生は何か言っている。
耳を傾けてよく聞いてみる。
祈   :「・・・やはり・・・こい・・・」
祈   :「いこい・・憩なのですね・・・」
占い師 :「?」
憩・・・憩・・・ん?待てよ?
まさか生き別れたという妹なのでは・・・。
あまりに共通点が多い・・・。俺が占ってもらうときのあの不思議な感覚は・・・。
・・・占い師もいつしか泣いている・・・。
頭から被っている法衣のようなものを脱ぐとその人はまさしくロケットでみた「憩」
その人であった。
憩   :「やはり・・・祈・・・姉さん・・・なのですね・・・」


雰囲気が似ている。はっきりいって同じといってもいい。
すっかり涙もとまって先生が囁く。
祈   :「ようやく・・・胸に吹き荒れる風が・・・止まりましたわ・・・」
俺は気を利かせて姉妹の再会を演出をする。
そのとき祈先生に呼び止められた。
祈   :「対馬さん。すぐ行くので外で待っていてくださいな。」
レオ  :「え?でも・・・」
祈   :「わかりましたわね?」
レオ  :「あ、はい・・。」
なんでだろ?う〜ん。
待っているとすぐに祈先生は出てきた。
レオ  :「あれ?もういいんですか?」
祈   :「いいのですわ。」
レオ  :「だって、せっかく再・・」
言葉をさえぎられる。
祈   :「憩は、いままでしっかり生きていましたわ。これからも憩は憩。私は私ですわ〜。」
レオ  :「・・・」
すっかり夜になり、空を見上げれば月明かり。
祈   :「対馬さん。今夜は踊ってくださいらない?」
レオ  :「え?ここで?」
祈   :「いえいえ。キスの授業をしたあの場所で・・・」
レオ  :「喜んで」


(作者・名無しさん[2005/09/17])

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