「ふぅ」
激しい愛の営みを終え
俺の隣でスヤスヤと寝息を立てている乙女姉さんを見つめ
俺はちょっとため息をつく。
別に不満があるわけじゃない。
最近では俺も乙女姉さんもHに慣れてきた。
乙女姉さんのほうからら積極的に俺を求めることもあるぐらいだ。
現状にはなんの不満もないんだけど・・・
不安なことが一つだけある。

乙女姉さんは、全然避妊をしようとしないのだ。
以前、俺の子供なら喜んで産む、と言ってくれて
そのことは素直に嬉しいんだけど
今妊娠すれば竜鳴館を退学になるのは必至なわけで。
俺としては、乙女姉さんとの残り少ない学園生活を
まだ楽しんでいたいわけで。
なにより、乙女姉さんを中途半端に退学させたくない。
やっぱり、ちゃんと話し合ったほうがいいんだろうけど・・・
なんて言って説得すればいいかなぁ。


「だからって俺にそんな相談されてもな」
放課後。珍しく竜宮でスバルと二人だけになったので
いい機会だから相談してみたが
さすがのスバルもちょっと困り顔だ。
「いやフカヒレやカニにこんな相談できないし」
「そりゃそうだな。フカヒレなんか妄想しまくるだろうし」
「姫や佐藤さんにもちょっと聞き難いだろ?」
「姫になんか相談したら、いいようにからかわれるのがオチだな」
「椰子なんか鼻で笑いそうだし、祈先生は大人だけど、やっぱり教師だしさぁ」
「わかったわかった。まったく、世話の焼ける坊主だな。
 で?なんで乙女さんは避妊したがらねぇんだ?」
「うん、乙女姉さんが言うには・・・」

「だいたい、これは元々子供を作るための行為なわけだろう?
 それを、最初から否定して行為だけを行おうというのは
 何か不自然な感じがして、私は嫌だな」

「・・・と、いうことなんだけども」
「ふ〜ん。まああの人らしいっちゃぁあの人らしいな」
「うん。納得できる部分も確かにあるんだけど
 今妊娠しちゃったら困るのも事実だし」
「だろうな・・・
 よし、こんなのはどうだ?」


「乙女姉さん、ちょっといいかな」
夕食後。スバルから授かった秘策を胸に乙女姉さんに話を切り出す。
「なんだ?鍛錬メニューならもう決まっているぞ?」
「いや、その後のことなんだけど」
「その後?」
「うん。ぶっちゃけ、男と女の愛の営みについて」
そう言うと乙女姉さんが少し頬を赤く染める。
いつまでたってもこういう恥じらいがあるのっていいよな。
「な、なんだ?その・・・回数なら、あと2〜3回は増やしてもいいぞ?」
いや、それは俺が死にます。
「回数のことじゃなくてですね」
「うん?すると・・・は!」
「なに?」
「ま、また何か新しいスケベな事を!?」
「・・・違います。まあ、それは追々試していくとして」
「そ、そうか」
なんで残念そうなんですか。
「話っていうのは、その・・・俺たち、ぜんぜん避妊とかしてないよね?」
乙女さんの表情が一瞬で真顔に戻る。
「そのことか。前にも言ったが、そんな必要はない。
 むしろ、そうなれば私は喜んでお前の子を産むぞ。
 こうなった以上、それなりの覚悟はしているつもりだ。
 お前は・・・嫌なのか?」


「いや、乙女姉さんがその覚悟なら俺はどこまでもついていくよ」
「うん。よい心構えだ。嬉しいぞ」
「でもね、産まれてくる子供には、そんな覚悟とか関係ないよね?」
「・・・う・・・それは・・・」
「今、子供ができて、正直、俺たちにちゃんと育てられるのかな?
 俺たちは覚悟の上だからどんな苦労をしてもいい。
 でも、子供にはそんな苦労はさせたくないとは思わない?」
「うん・・・」
心なし、乙女姉さんの肩が落ちる。
ちょっと悪い気もしたけど、このまま説得させてもらおう。
「それに、避妊が悪いことみたいに言うけど
 経済的に余裕がない夫婦とかは、愛し合っていても
 まだ子供を作れないってケースもあるよね。
 そんな時には、やっぱり避妊するしかないと思うんだ」
「そ、そうだな・・・避妊についての認識は、私が間違っていたかもしれない」
「でしょ?別に悪いことじゃない。
 むしろ、今の俺たちには必要な事だと思うんだけど・・・どうかな?」
「う・・・」
乙女姉さんは困った顔のまま考えていたが、やがてすっくと立ち上がった。
「すまない・・・少し、一人で考えさせてくれないか?
 ・・・それにしても、レオは先のことをよく考えているんだな。
 お姉ちゃん、ちょっと感心したぞ」
そう言って、ちょっとだけ乙女姉さんが笑う。
でも、どこか自嘲気味にも見えて、痛々しくさえあった。
「今日は・・・自分の部屋で休む。すまない。気持ちの整理がつくまで・・・」
「うん・・・いいよ。俺も無理強いはしたくないから
 納得がいくまで考えて」
「ありがとう。じゃあ・・・おやすみ」
結局。乙女姉さんはその日はそれっきり部屋から出てこなかった。


そして翌日。
今日は学校も休みだし、また話し合ってみるかな。
でも、昨日の様子だとかなり考え込んでしまっていたっけ。
乙女姉さんは根が真面目だからなぁ。ちょっと心配だ。
そう思いながら階段を降りると
すでに出かける支度を終えている乙女姉さんがいた。
「レオ、私はちょっと出かけてくる。
 せっかくの休みなのにすまないが、夕方には帰るつもりだ」
その眼には、昨日の夜のような迷いはない。
何か、吹っ切れたんだろうか。
「行ってらっしゃい・・・でも、どこに行くの?」
「う、うん・・・昨日の話のことで、相談に乗ってもらいに、な」
え。乙女姉さんが・・・避妊するべきかどうかを相談する?
・・・誰に!?
やっべ、すっげぇ気になる!
「ねえ、その相談相手って・・・あれ」
もう、出かけていた。
相変わらず、行動が早い人だ。

夕方も過ぎて、もう8時。じりじりしながら待っていると
「ただいま。すまない、すっかり遅くなってしまって」
玄関から晴れ晴れとした声。乙女姉さんが帰ってきた。
ダッシュで出迎えると
「ただいま、レオ・・・ん、ちゅ」
今まで通り抱きしめてただいまのキス。
よかった、乙女姉さんの中では決着がついたみたいだ。


「おかえり。晩飯はスバルに頼んで作ってもらっておいたよ」
「そうか、伊達にも悪いことをしたな」
「それで・・・今日はどこに行ってたの?」
「うん・・・まあ、玄関で立ち話も落ち着かん。
 それにせっかく伊達が夕食を作ってくれたのだろう?
 まずは食事をすませよう」
「わかった」
帰りがはっきりしない乙女姉さんのために
スバルが冷めてしまってもいいようなメニューを揃えてくれたので
食事はやっぱりうまかった。
ふと箸を止めて、乙女姉さんが皿をじっと見つめる。
「やっぱり、伊達の料理はうまいな。私も・・・もっと頑張らねば」
「まあスバルは長年の自炊で鍛えてるからね。
 乙女姉さんも、時間をかければ上達するよ」
「そうだな。ありがとう、レオ」
そう言って乙女姉さんはニコッと笑うと、また一心に料理を平らげ始めた。

食事を終え、二人で後かたづけをすませる。
二人分のお茶を入れて、向かい合って座った。
「それで・・・今日はどこへ?」
「うん。なにしろ、経験のないことの相談だからな。
 だから、経験者に相談してきた」
「・・・経験者?」
「うむ。最初は・・・母様に・・・」
「いやそれはマズイっしょ!」
想像する。
『従兄弟(オレね)の家に下宿を始めたら、相思相愛になってしまいました。
 やはり避妊はしたほうがよいでしょうか?』
言いかねない。この人は言いかねない!
「落ち着け。よく考えたら
 母様にはまだ言えないと思ったので、母様のところには行ってない」
いや、普通思いつきもしませんよ?


「だから、いろいろ病院を回ってみた」
「病院?」
「うん。産婦人科を回って、今実際に妊娠している人や
 出産直後の人に頼んで話を聞かせてもらったんだ」
なるほど。しかし、赤の他人にそういう話を聞かせてもらおうってのも
ある意味、すごい行動力だな。
「最後はな、ちょうど産気づいた人がいて
 その人とお医者様に頼んで、実際の出産に立ち会わせてもらったんだぞ。
 まあ・・・そのせいで、帰りが遅くなってしまったんだがな」
すげえ。乙女姉さんってやっぱりすげえ。

話し続ける乙女姉さんの眼はキラキラと輝いている。
「とても勉強になったよ。皆さん、とても苦労をしていて
 出産なんて、ものすごく苦しそうなのに・・・
 誰も、それを嫌がっていないんだ。
 みんなすごく・・・強くて、優しい人たちだった。
 憧れた。私もああなりたいと強く思った」
あ、あれ?
なんか・・・妊娠肯定のほうに傾いてる?
だけど
続けた言葉とともに、乙女姉さんはトーンダウンした。
「そして・・・痛感した。
 自分は、まだまだ母親になるには未熟だ、ってな」
「・・・え?」


「子供を育てるって、すごく大変なんだってわかったよ。
 昨日の夜、お前が言ったとおりだ。
 今の私には、産むことはできても、育てることは出来ない。
 たとえば・・・料理だって、今の私には満足に出来ない。
 子供にまで、毎日おにぎりを食べさせるわけにはいかないだろう?」
・・・俺は今、毎日おにぎりなんですが?
「それに・・・ある人が、こう言っていたよ。
 後で少しでも後悔するようなら、子供はつくるべきじゃない、ってね」
「そっか・・・」
「だから・・・今は、お前の言うとおり
 妊娠はしないようにしようと思う」
「うん・・・わかってくれて、ありがとう」
「今は無理だけど、いつかは立派な母親になれるように
 私も頑張らねばな。もっと強く!逞しく!」
いや、強さとかはもう十分だと思います。


「ふっ・・・ん、ぅっ・・・」
オレの部屋。
すでに一糸纏わぬ姿になって
互いの体をて慈しむように愛撫しあう。
「そろそろ・・・いい?」
「うん・・・」
乙女姉さんがこくりとうなずくのを確認して
俺は枕の下からコンド−ムを取り出した。
「あ・・・用意、してあったのか?」
「う、うん、まあね」
実を言えば、相談に乗ってくれた後でスバルが

「説得がうまくいったら必要になるだろ?とっとけ」

と、半ば押しつけるようにくれたので
早速使わせてもらうことにしたのだ。

乙女姉さんがしげしげとパッケージを見ている。
「これは・・・説明書とかは、ないのか?」
「特にそういう物はないのでは」
「そうか。まあ開けてみよう」
ピリピリ・・・
躊躇なく封を切り、中身を手のひらに乗せる。
「ずいぶん・・・小さいんだな。これを・・・その、かぶせるのか?」
「うん、そう。まあ、俺がやるから」
「つけたことあるのか?」
「いや、使ったことはないけど・・・」
「だったら、お姉ちゃんに任せておけ」
そう言うと、いきり立つ俺の股間の前に身をかがめた。


「まずは広げないとな」
びろびろびろーん。
丸まっていたコンドームをいきなり伸ばし始める乙女姉さん。
「そうじゃないと思う・・・」
「うん?靴下を履くようなものじゃないのか?」
「まあ確かに真ん中の足だけどネ」
「・・・・・・」
オヤジギャグだった。
乙女姉さんの視線が突き刺さる。
「スイマセンゴメンナサイ」
「・・・では気を取り直して、いくぞ・・・はっ!」
なぜかけ声。
しかし、気合いも空しく頭の部分が半分くらい包まれたところで
コンドームは引っかかってしまう。
「む・・・難しいものだな」
そのままゴムをつまんで、根本の方にたぐり寄せようとするが・・・
基本的に、乙女姉さんは手先が不器用な人だった。
「ええい、この・・・ぐにゃぐにゃするな!」
「いや、さっきからもうビンビンですよ?」
「ち、違う、この・・・ゴムのことだ」
ぐにゃぐにゃしてないコンドームなんて微妙すぎ。
「まったく・・・なんなんだ、この根性なしは!」
根性入ってるコンドームってどうよ。
「くっ・・・てやぁっ!」
「あだだだだだ!?
 な、中身ごとつまんでる!ひ、引っ張っちゃぐあ!?」
「う・・・が、がんばれ、気合いだ!」
無茶言うなーっ!


結局
一個目は俺が自分でつけた。
二個目は俺が教えながら乙女姉さんが付けた。
三個目は悪戦苦闘しながらも乙女姉さんが一人でつけた。
四個目はかなり手際がよくなった乙女姉さんがつけた。
当然、つけた後は消費をしているわけで・・・
そして今、五個目を鼻歌混じりにつけようとしている。
「あの・・・まだするんですね?」
「うむ。こういう技は、覚えはじめの反復練習が大事だからな」
あくまで体育会系のノリだった。
「ていっ!」
相変わらずかけ声出すし。

用意してあったコンドームを使い切って今日の反復練習は終わった。
用意したの六個だけでよかった・・・
ベッドの上で寄り添いながら
乙女姉さんはまた今日の出来事をいろいろ聞かせてくれた。
「ところで、レオは子供は何人ぐらい欲しい?」
「え?・・・うーん、具体的に何人って言われると困るな」
「私は・・・なるべくたくさん欲しいな。
 そうだな、少なくとも野球の試合ができるぐらいは欲しいぞ」
「野球!?マジ!?9人!?」
「何を言っている」
「そ、そうだよね。いやあ、乙女姉さんが冗談言うとは・・・」
「1チームで試合ができるか。2チーム分、18人だな」
「ぐはぁっ!?」
・・・まあ、何をするにも一生懸命なこの人なら
何をするのも不可能じゃなさそうだ。
「えーい、野球といわずサッカーでもラグビーでもできるぐらい作っちゃうぜ!」
「うむ、その意気だ!それでこそ、我が夫に相応しい!」


(作者・Seena◆Rion/soCys氏[2005/08/28])

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