「森羅様がキリヤのイメージキャラクターに?」

「そーなのよ!TVのCMとかにもバンバン出るようになるんですって!」

森羅様をお見送りした後で
ツンツンと袖を引っ張るベニに庭の片隅に連れこまれ
なにごと?と思ったら、いきなり妙な情報を囁かれた。

「そんなのどこで聞きつけてきたんだよ」

「先週、お客様が見えたじゃない?
 あれ、キリヤコーポレーションの顧問弁護士なのよ。
 いったい何の用で来たのかなーって思って……」

「盗み聞きしたのか」

「人聞きの悪いこと言わないでよ。ちゃんと森羅様が教えてくれたんだから。
 って、アンタ聞いてないの?」

「……いや、まだ」

「フフーン。男としても執事としても、まだまだ信頼されてないみたいねー?」

「うっせ!しかし……イメージキャラ、か……」

キリヤコーポレーション。
確か若くしてグループのトップに登りつめた女性が
辣腕を振るっているという。

「なんでも、堂々と指揮する姿がイメージにピッタリなんですって」

なるほど。確かにあのりりしい姿は企業イメージアップに役立ちそうだ。


「でも、あそこの顧問弁護士って確かスゲー美人でなおかつやり手で
 『氷の弁護士』とかで有名な人だろ?
 その人がもうイメージキャラなんじゃないか?」

「弁護士はどちらかというと『裏の顔』っぽいじゃない?
 森羅様を『表の顔』として、ってことみたいよ。
 コンサートのスポンサーなんかにもなってくれるから
 森羅様にとっても言い話だと思うわ」

「で、森羅様はOKしたのか?」

「返事はまだみたいよ。今週、キリヤのトップの人と直接面会して話しあうみたい。
 もし話が決まったら、今まで以上に警備に気を使わなきゃならないから
 覚悟しておけって大佐が言ってた」

ちぇ、大佐も知ってたのか。
なんか俺だけ蚊帳の外ってカンジだな。

「……そんな不満そうな顔しない!
 さっきのは冗談。森羅様ね、最後はアンタに相談して決めるってさ」

「え、そうなの?」

「あーあ、なーんか悔しいなぁ。
 今まではアタシが一番森羅様に近いところにいると思ってたのに」

「あ、いや……スマン」

「謝んな!ほら、仕事に戻るわよ!」

バン!と俺の肩を叩いて、ベニは台所に戻っていった。


夜。二人っきりでの晩酌の時間で
森羅様とその話になった。

「……そうか、ベニから聞いたんだな。
 黙っていてすまなかったな。最後は、お前に相談するつもりだったんだが」

「いえ、それは森羅様がお決めになること。
 どちらにお決めになられても、俺はただお傍に」

「うん……ただ、今まで以上にTVとかにも出ることになる。
 そうなると……男性ファンとかも増えると思うが
 その……嫉妬したりしないか?」

俺の顔を覗きこむようにして森羅様が尋ねる。

「いえ、別に」

「……全然嫉妬されないのも、それはそれでなんだかイヤだな」

今度は少し膨れる。
最近……なんというか、可愛いと思える仕草が増えたような気がする。

「嫉妬しても、我慢しますから」

「最初からそう言え。
 それと……キリヤは急成長したグループだけに、敵も多いと聞く。
 そのイメージキャラになれば……私が標的になることもあるだろう。
 今まで以上に、警備に気を使わせることになると思うが」

「ご心配なく。必ず、お守りします。
 たとえ何があろうと、この身に代えても、必ず森羅様をお守りします。 
 ですから、森羅様はご自分がいいと思うようにしてください」


まだそれほど飲んでいない森羅様の顔が
ポン、と赤くなる。

「……今、ちょっと、ときめいたぞ」

「……俺は今、自分で言ってちょっと恥ずかしかったです」

「照れるな。もう一回、言え」

「えーと……」

躊躇する俺に顔を近づけて
森羅様が潤んだ目で囁きかける。

「……言って」

こんな風に言われて、どうして逆らえよう。
逆らえるわけがない。
まして、言葉にすることを求められているのは
嘘偽りのない、俺の本心なのだからなおさらだ。

「……たとえ何があろうと この身に代えても 必ず、貴方を、守ります」

ゆっくりと、一言一言に思いを込めて
近づいていた森羅様を抱き寄せながら
耳元でそう、囁いた。

「うん……ありがとう、レン。
 この話、受けようと思う。その時には……頼んだぞ」

それ以上は、もう言葉もなく
ただ抱きしめあう熱だけが交わされていた。



数日後。
キリヤコーポレーションとの面談を終え戻ってきた森羅様は
どこか挙動がおかしかった。
俺と目を合わせようとしない。何か聞いても「ああ、うん」とか生返事。

「今日はどうだったんですか?」

どうもおかしいので、晩酌のときに聞いてみた。

「ど、どう、って、何のことかな??」

うわ。動揺してるよ森羅様が。初めて見た。

「だから、キリヤとの会談ですよ。うまくいったんでしょ?」

「ああ、うん、まあ、その……なあ、レン。
 私がまだときどき……その……ベニとイチャついてるのは
 あれは別にかまわないんだよな?」

「は?……まあ、ベニとは俺とこうなる前からだったんだし
 女同士ですから……まあ」

「そうだよな!女同士なら浮気にならないよな!?」

「浮気って……何があったんですか?」

「う……その……一緒に、風呂に入ったんだ」

「は?風呂?何故に?」

「契約の話が終わってから、なんだが。
 その、女3人、裸のつきあいをしよう、って言いだされて」


そういえば3人とも妙齢の美女なわけだが。

「で、男関係の話になってな?彼女も、自分の部下を恋人にしていたし
 弁護士さんも、義理の弟が恋人なんだそうで、そういう話で盛り上がって……」

「はあ」

「で、そこから、その……どんなHしてるかって話になって……
 そのうち……どこが、その、性感帯か、とかいう流れで……
 触りっこに、なって、その、すごく……上手くて」

「何がですか」

「わ、私だって抵抗はしたんだ!そ、それにな、ちゃんと反撃して
 あちらを1回ずつちゃんとイかせたんだぞ?」

「いや、それ別に弁解になってませんから。
 で……森羅様は何回イっちゃったんですか?」

「さ、3回……だ、だって、あっちは二人がかりだったし……
 あの……怒ってる……か?」

「そうですね。ちょっとこちらへ」

「え、いや、すまん、今日はもう疲れたから……ちょ、ダメ……こ、こら……」

「とりあえず……4回以上はイっていただかないと収まりがつきません」

「う、ホント悪かったから!な、今日は……あ、あぅ!
 レ、レンぅ……ま、守ってくれるんじゃなかった、の、か……?」

「とりあえず、貞操を守るところからです」


(作者・名無しさん[2007/10/08])

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