買い物に出たナトセさんに頼まれて
遊撃の俺が夢お嬢様を学校までお迎えに。
が、少し早かったのかまだ校門のまわりには人気がない。
この男以外は。

「よ、小十郎、お疲れさん」

「やあレン、久しぶりだな……ん、どうした?
 何か疲れているようだが?」

「そうか?……まあ、ちょっと寝不足ではあるかな」

「いかんな、執事たるものそんなことでは。
 まさか、もう執事稼業の辛さに音をあげたのではあるまいな?」

「そこまでヤワじゃねえよ。ただな……」

「何か、悩みがあるようだな。授業が終わるまでまだ少しある。
 俺でよかったら、話を聞くぜ」

いいヤツだなぁ……同じ男どうし、うちあけてみるか。

「……風呂での仕事が、けっこうつらくてな」

「風呂?なんだ、風呂場の掃除くらいでへこたれていたのか?」

「……なあ小十郎。おまえ、揚羽さんの背中を流したりはしないのか?」

「……は?」

「俺、いまミューさんに専属でついてるんだけど
 風呂でミューさんのお背中を流したりしないとならないんだ」


「なあああぁぁにいいいぃぃぃっ!?」

「ぐあ、耳元で大声出すなっ!」

「せ、背中流すって……!い、い、い、一緒に!?風呂入ってるのか!?」

「当たり前だろ。一緒に入らないでどうやって背中流すんだよ」

「ハダカか!?二人ともハダカか!?」

「だから、当たり前だろ風呂なんだから。
 ていうか、いちいち絶叫すんなよ」

「う、いや、あまりに衝撃的だったものでな。
 しかし、それは……ツライな……」

この様子じゃあ、揚羽さんは小十郎に背中を流させたりはしてないんだろうなぁ。
……普通そうだよなぁ、やっぱり。

「それと、ときどき添い寝を命じられるんだけどさ」

「添い寝!?添い寝ってベ、ベ、ベッドに!一緒に入るのか!?」

「ああ。で、寝るときのミューさんて、パンツ一丁でほとんどハダカなんだよ」

「なぁっ!?」

「昨晩も添い寝を命じられて、その……よく眠れなかった」

「……お見かけする印象より大胆なんだな、お前の主は」


「大胆というか、おおらかというか、な。
 あちらは何とも思っていらっしゃらないのだろうが
 俺としては、こみあげるものを抑えるのに必死なわけよ。
 で、お前だったらどうする?」

「ん?俺だったら、って?」

「だから、揚羽さんに『風呂で背中を流せ』って命令されたら
 お前はどうする?ってこと」

沈黙。そして絶叫。

「あ……ありえないぃーっ!
 俺のような無骨者にお肌を……お肌をっ!さ、さ、晒されるなどとっ!」

「鼻血出てるぞ」

「なっ!?も、申し訳ありません、揚羽様ぁーっ!」

何を妄想したのか盛大に鼻血を出し
そのことを反省しているのか、近所のコンクリ壁にガンガンと頭を打ちつける小十郎。
壁にヒビが入り始めたので慌てて止める。

「ストップ!わかったからそのへんでやめとけ!
 まあ、仮にそんな命令が来ても、お前ならキッパリ断れるだろうし」

「断る……?いや、揚羽様の命令は絶対……
 だ、だがそれでは揚羽様のお姿を……ならん、それはならんぞ!
 し、しかし、ご命令に逆らうことなどできぬ……!
 うわああぁっ!?お、俺は、どうすればいいのだ上杉ぃっ!?」

「……スマン、俺が悪かった。自分で何とかするわ……」


(作者・名無しさん[2007/08/12])

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル