「ユメ、起きるんだ……ユメ……」

「むにゃ……下僕にしてやる……」

「ほら、起きないか!ユーメー!」

「にゅ……あれ?……おはよう、シンお姉ちゃん……」

「また寝る……起きるんだ、ユメドリーム!」

「んにゅ?……あれ……なんで……シンお姉ちゃんがその呼び方……?」

「シンお姉ちゃんではない。
 私は魔法の国の使者、ティンラ。お前にパワーを授けにやってきた」

「へ?……パワー……?」

「平和を愛するお前の正しい願いが魔法の国に届いたのだ。
 お前の妄そ……願い通りに、魔法少女に変身する能力を与えよう」

「マジっすか!?」

「目が覚めたようだな。
 この世界は一見平和に見えて、その実沢山の地方妖怪に狙われている。
 人々を地方妖怪から守るため、魔法少女になって戦う覚悟はあるか?」

「は、はい!ヨロシクお願いします!」

「うん、いい返事だ。それではさっそく契約手続きだ。
 この書類に必要事項を記入してもらう」

「け、けっこう事務的っすね……」


「ほへ?…ティンラさん、この『希望オプション』ってなにかな?」

「うむ、魔法少女への変身は基本セットに含まれているが
 それ以外の様々な能力はオプションで選択するようになっている。
 これで自分の思い通りの魔法少女になれるわけだ」

「なるほどなるほど……ちょい、ちょい、ちょい、と」

「なかなか欲張りだな。
 この『呪文詠唱中ガードしてくれる前衛』オプションなんかはオススメだぞ?」

「や、それは装備済みなのでいいっす」

「そうか。あ、ビーム系はコスト高いからな。
 直接打撃系はいいのか?
 この『アイアンクロー』なんかは私も装備しててオススメだ。
 何しろバリエーションが108式まであってだな……」

「や、それもちょっとイメージ違うんで」

「そうか……残念だ。
 せっかく私のよい後継者ができると思ったのだが。
 まあ、お前のイメージ通りにやってみるがいい」

「はい……うーん、おケイはオプション扱いにはならないか……
 後は……これと、これかな?ティンラさん、できました!」

「どれどれ……うん、なかなかの出来だ。バランスもいい。
 それでは、ここにサインと、こことここ、あとここにハンコを。
 ハンコがなければ拇印でもかまわんぞ。ほら朱肉」

「マジ事務的っすね……」


「さて、それではちょっと計算するので待っていてくれ」

「へ?計算って何を?」

「支払い総額だよ。タダで魔法少女になれるわけがないだろう。
 魔法の力は等価交換が基本って教わらなかったか?」

「いや、夢まだ学生なんで、そんなには支払い能力が……」

「ああ、その辺は心配ない。支払いは金ではないから。
 っと、こんなもんか。ふむふむ……
 それでは、代償として上杉レンをもらうことにする」

「レンくんを!?」

「うむ、オプションいっぱいつけたからな。
 支払い上限のカレをもらうことにした」

「ちょちょちょちょちょっと待ったぁっ!
 レ、レンくんを……生贄に!?」

「そんなヒドイことはしないぞ?魔法の国に連れていって……
 そうだな、私の専属従者にでもしてコキ使ってやろう。
 いろいろイジリがいがありそうだし……
 そろそろ、男の一人でも飼ってみようかと思っていたのだ♪」

「ダダダダメー!よけいダメー!」

「いや、もうサインも拇印ももらっちゃったから。
 それでは、ユメドリームよ、目を覚ましなさーい!」

「ぃぃいいいやああぁぁぁ!?」


「……目を覚ましなさーい」

「……ぃぃいいいやああぁぁぁ!?」

「うお、ビックリしたぁ!……おはようございます、夢お嬢様」

「……はえ?……レン……くん?」

「はい。はやく起きてください、学校遅れますよ」

「ゆ、夢だけに……夢オチ……」

「?」

「レ、レンくん!……ちゅ、忠誠の口づけ、して」

「はあ?……はい」

「ん……どこにも、行っちゃダメだからね?」

「どこにも行きませんよ。ずっと夢お嬢様の傍にいます」

「うん!」

「あ、夢お嬢様、手を」

「はえ?」

「指先が赤くなってます。お拭きしますから。
 ……赤インキでも触りました?」

「がーーーー!?」


(作者・名無しさん[2007/06/10])

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