「なぁ、ミューたん?」

「何かしら、姉さん」

「冷蔵に入れておいた、私のマンゴープリン食べただろう?」

「知らないわ。どうせまた地方妖怪ハンコの仕業でしょう」

「ええい、それはもう聞きあきた!
 昨日のプルーンヨーグルトの仕返しをこんな形でとは……!」

「……やっぱりあれは姉さんの仕業だったのね」

今日は稲村屋でのバイトもお休みで
我が愛しき主のミューさんは自宅待機だったのだが
今は俺とベニ、そして夢っちがいつものことと見守る中
森羅様と、見ているだけで心温まるコミュニケーションの真っ最中。

「……はて、なんのことかな?
 それに、今問題になっているのは私のマンゴープリンのことだろう。
 まったく、ちょっと可愛い男ができたからといって
 妹のくせに調子に乗りすぎだなミューたんは。なあ、そう思わないかレン?」

対処に困るので、ちら、とミューさんに目線を送る。

「レ、レンは関係ないでしょう!」

「いや、ある。私のミューがこのところ反抗的なのは
 たぶんにレンとのただならぬ関係が……」

「とにかく!私はマンゴープリンなんか食べていないわ。
 まったく、そんなに大事なものなら金庫にでもいれておけばいいでしょう」


金庫にプリンを入れておくのもどうかとは思うが。
もっと大事なものならいざ知らず……ん?

「む。だが我が家に金庫など……」

「森羅様、地下室に小さいのが一つありますよ」

ベニ公がそっと耳うちするが、ミューさんにはしっかり聞こえたらしい。

「家に何があるのかぐらい家長なら把握していてもらいたいわ」

「ふむ、一理あるな。後で大佐に聞いておくか」

「でもミューさん、あの金庫、誰かが勝手にパスワードをイジっちゃって
 開けられないんですけど」

「なんだ、それでは使えないではないか」

「いいわ、それぐらい私が解析すれば何とでも……」

……んんん?金庫?……パスワード?

「あ」

思わずポンと手を叩いた音に、皆の視線が俺に集中する。

「?何かしら、レン」

「ええと、おそらくパスワードは……これです」

ミューさんに、以前書きとめたメモを差し出す。
あの日。俺がアイツに認められたあの日に記したメモを。


「?なんでレンがパスワードを?」

理由を説明するのはちょっとややこしい。

「まあ、とにかく地下室に行ってみましょう」

「待て、私のマンゴープリンはどうなったのだ?」

「え、マンゴープリン?」

中庭から戻ってきたナトセさんが
会話を聞きつけて気まずそうな顔をしていた。

「どしたのナトセ?」

「……あ、あの……
 夢が『冷蔵庫にマンゴープリンを入れておいたから食べていいよ』って。
 だ、だから森羅様のとは知らずに……」

「え、ナ、ナトセさん、私が言ったのはマンダリン……」

「おーまーえーかー!」

「ご、ごめんなさいごめんなさいっ……!」

「これはおしおきですねぇ、森羅様」

「うひゃう!」とか悲鳴をあげ始めたナトセさんを後に
俺とミューさんは地下室に向かう。

その後、俺が悲鳴をあげることになるとは
このときはまったく思いもせずに。


(作者・名無しさん[2007/05/26])

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