ここは竜鳴館の海が見える大食堂。
その場所を貸しきって、あるパーティーが始まろうとしていた…

『えー、今回の司会進行役を任されることになりました、シャーク鮫氷です』
「ひっこめー」
『うるせぇ! …ゲフン。
 さて先日、某所にて行われた人気投票にて、我々の仲間が見事1位の栄光を勝ち取りました!
 それでは早速、今日の主役を紹介しましょう!
 竜鳴館1年・椰子なごみさん! どうぞ壇上へ!』
フカヒレの紹介の後に、椰子がめんどくさそうに現れた。
ライトアップも本当に迷惑らしい。
明らかに嫌そうな顔をして壇上に上がり、そしてマイクの前で一言。
『こんなことされても迷惑なんですけど』

……しーん……

一瞬にしてこの場が凍り付いてしまった。 我が恋人ながら、なんつーことするんだよ。
すると、カニがずかずかと壇上に乗り込んできた。
『オイコラ、空気ぐれー読めよ! こんなとこであんな挨拶するの、あとはマナぐれーだぞ!』
「ちょっと待てやカニっち! ウチかてさすがにそこまでいかへんわい!」
「そうは思えないのが、マナの悲しいところネ」
豆花さんがやれやれという顔をした。
『こんなところで喧嘩をふっかけてくるお前もお前だがな』
『なんだとー! ふ、ふぁなせー!』
『ククク、相変わらずよく伸びるな』
マーベラス蟹沢が炸裂し、周りがなんとも言いがたい空気に包まれてしまった。
何もこんな時にやらなくてもいいのに…


『え、えっと、それではささやかながら料理を用意しておりますので、皆様存分にお楽しみください』
半ば無理矢理に進めようとするフカヒレ。 まぁ、仕方がないのかもしれないが。
「しょうがないな…カニをひっぺがえしてくるよ、姫」
「そうしてちょうだい。 まったく、カニっちにも困ったものねぇ」
肉を持て行って説得すると、ようやくカニも落ち着いたようだ。
食料をやっておけば静かにしてるから、今はこれでいいだろう。
ちょっとなごみのじと目が気になる。
「海軍カレーはコチラデース!」
「中国4000年の歴史、たっぷりと堪能するネー!」
「俺からはスタミナたっぷりのバーベキュースペシャルだ! 遠慮せずにたっぷり食えよ!」
「おにぎりはここだぞー! 中身は食べてからのお楽しみだ!」
何故に乙女さんがこのラインナップに参加しているのかは甚だ疑問だが、意外と人気があるらしい。
やはり日本人は米が大好きなようだ。
俺はスバルのところから串を2本持って、なごみのところへ行った。
「まったく…いちいちこんなことをするなんて、迷惑です」
「そういうなよ、なごみ。 ほら、見ろよ。 お前のためにこんなに集まってくれたんだぞ」
「でも…あたしは、センパイだけに祝ってほしかった…」
「そっか…だったら、後で二人だけでやろう。 な?」
「は、はい!」
「よし、今は楽しもうぜ!」
なごみの手を引っ張って、俺はみんなのところへ行った。
みんなからなごみに様々なお祝いの言葉が投げかけられる。
次第になごみの表情も穏やかになってきた。
なんだかんだ言って、心の底のほうでは嬉しいんじゃないかな。


『えー、それでは今回の人気投票で2位と3位に入りました鉄乙女さんと近衛素奈緒さんより、
 お祝いの言葉があります』
パーティーが中間ぐらいになったところで、次のイベントが始まった。
なごみは既に壇上にいた。
佐藤さんに促されて、まずは近衛が壇上に現れた。
『あー、テステス…コホン。 今回は椰子さん、おめでとうございます。
 残念ながらアタシは3位でしたが、今回の結果をバネにして、さらに上を目指すつもりです』
こんなカンジで延々と真面目な言葉がずらずらと続いた。
さすがに一部はうんざりしたような顔をするようになってしまったが…
「ナオちゃん、そろそろ…」
『え? あ、ごめんなさい。 なんだか堅苦しいことを…そ、それではこれで終わります』
そして乙女さんの番に回ってきた。
『椰子、本当におめでとう。 上級生たる私が2位に甘んじる結果となってしまったが…
 これも勝負の世界だ、仕方がない。 それよりも、私は嬉しいぞ。
 これならば安心してレオを任せてやれるというものだ』
「ちょ、ちょっと乙女さん!」
う、何だか刺々しい視線がいくつか…
その後も乙女さんは俺のことについての使用上の注意(のようなもの)を語り始めた。
その間ずっと俺は嫌な気配を……特に佐藤さんから発せられていたのは気のせいか?
『えー、それではみなさん、3人に盛大な拍手を!』
金銀銅の3人がみんなの拍手に包まれ、退場していったのだった。
その後もパーティーがお開きになるまで、どんちゃん騒ぎが続いた。
館長も、のどかママも、みんなが椰子を祝うために集まってくれて…
なごみは本当に幸せ者だぜ。
「あ、あの…センパイ……後で二人で…」
「ああ、わかってるって。 …今夜は寝かさないからな?」
「は、はいっ!」


オマケ

「ところで姫、こんな変なものを見つけたんだが」
「ナメンジャ、ナイワヨ」
「なにかしら、これ?」
「さぁ…私には見当がつかないんだが…」

「う〜、みんなで楽しそうにしてる〜」
「こっちのことなんて、まるで気にしてないわね…まったく」
「本当にけしからんですよねー、お姉様」
「まさか我らがエースのモエが4位になっちゃうなんてねー」
「あぅ、でも私はこれでいいよ。 みんなと仲良くできれば…」
「何言ってるの、巴ちゃん! これはワタシ達の受けた屈辱なのよ!?」
「そこまで言う事はないと思うけど…ちょっと羨ましい……」
「そーよ! これはもう徹底抗戦しかないわ!」
「た、高嶺まで…」
「皆の者」
「お、ひなのん」
「確かにともえは4位に甘んじる結果となった…しかし!
 これは敗北を意味するのか!? 否! 始まりなのだ!」
「そうだそうだ!」
「皆が愛してくれたともえは敗れた! 何故だ!?」
「それはトモちゃんが甘いからじゃない?」
「悲しみを怒りに変えて、立てよお主達よ! ともえはお主達の力を欲しているのだ!」
「「オオォー!!」」
「あぅ、別に欲しくは…」
「ジーク、巴! ジーク、巴!」
「あうぅ…」

「…お姉ちゃん達、何やってるんだ? いるかちゃんや透子さんまで混じって…」


(作者・シンイチ氏[2006/10/23])

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