それは突然に(いやある意味恒例にか)親父の思いつきから始まった。
「ピーナッツ、お前バイトしてこい」
いきなり帰ってきて何を言い出すんだ、このエロ親父は。
「訳わかんねーよ、ちゃんと説明しろ」
勿論、いちいち親父の言うことをその気にしてたら身が持たないので理由を尋ねる。
「うむ。上に立つものは色々と社会を学んでおくべきだ。すでにバイト先は
 決めてある。今日の夜9時からだからしっかりといってこいよ」
また強制かよ。しかも親父の言う時間まであと1時間しかない。
「1時間後からって何だよ。俺はやらないからな」
「大丈夫、迎えの車を用意してある。初日だけだからなこんな楽な移動は。
 存分に感謝しろよ」
ダメだ…、この親父何かが間違っている…。
「いきなり何言ってやがる、もっとちゃんと説明し…」
ずさっ
このエロ親父…いきなり入れてきやがった…ちくしょう……。
そのまま車にまで運ばれていく…。
「ふ…何故人間とは素直になれないのだろう……」
「何をごまかしているのです、きちんと説明なさい」
「親父殿、ちと強引すぎるであるぞ」
「う〜〜くーやが心配だよー」
薄れ行く意識の中、親父が責められている声だけが聞こえてきた…ざまみろ

「うーん」
気が付いたらそこは全く見知らぬ部屋だった…
「よう坊主、目が覚めたかい」
話しかけられた方を見てみると顔立ちが良い男が立っていた…
おまけに声が美声すぎる…こういう男がきっと世の中の美女を大量に狩っていく
のかと思うと……こいつは敵だな。


「急に連れてこられた割には元気そうじゃねえか」
「そりゃどうも」
やられるのは慣れているからね………いや鍛えてるからだな うん。
「大丈夫そうだし、とりあえず 仕事の説明に入るがいいか?」
仕方ない、今日だけ働いてさっさと帰ろう。ここまで来た事だし金を貰うのも悪くはないしな。

3時間後
まさか親父が見つけてきたバイトがこんな仕事だとは思わなかった…。
「お〜い○○、こっちに入ってくれない」
「はい、今行きます」
呼ばれて俺はヘルプに入る………そう親父がもってきたバイトはホストだった。
「まあ基本のルールだけ教えるから 後はノリでやればいいぜ」
起きた時そばにいた奴に仕事を教えもらいながらやってみたが、自分でもなかなか上手くいっている
と思う。普段から甘えたいオーラを出しているのか?指名してくる客はお姉さん系だらけだし俺もな
んだかんだいって甘えるのには凄く慣れている。
(この人はとことん甘えるのが良いな 海お姉ちゃんみたいに)
(誉めて威厳を持たせてみるか 雛乃姉さんみたいに)
(ひたすら媚びっておこう 姉貴みたいな人だな)
等と若干失礼な事を考えつつも、順調に仕事をこなしていた。
「今日は楽しかったよー、またいつでも甘えてきてねー」
「ありがとうございましたー」
ひょっとして自分はこの仕事向いてるかもと思いながら、満足していると店長も
「なかなかやるじゃないか。良いよ、うん」
と認めてくれて、よーしもっと頑張るかと思っていた矢先…そう事件は起こるのだった。
「うわー中はこうなってたのね、一度入ってみたいと思ってたのよねー」
ドアを開けて入ってきた客を見て思わず俺は固まってしまった…。
「帆波ねぇや…なんで此処に……」
そう……入ってきた客がよく知っている帆波ねぇやだった…。


やべ…目があった。
「あら〜☆空也ちゃんじゃない、何でこんなとこにいるのー?」
「バイトだよ、バイト。それよりなんでねぇやがこんなとこに?」
見つかってしまった以上仕方ない…というより無視したら潰されそうで恐いし。
「私は取材よ、今度のドラマでホストと恋する役を演じるの。でも丁度良かったわ、
 空也ちゃんが居てくれて」
果てしなく嫌な予感がする…。
「店長〜私この子指名しまーす☆」
「なっ、ねぇや何を言ってるんだYO」
嫌な予感は的中するものだった…
「あら〜空也ちゃんは私と他の男がいちゃいちゃしてるのを見たいの〜?」
「そ、それは……我慢できないけど」
「うーん、素直な空也ちゃん好きよ。さ、行きましょ☆」
そのまま連行されて流される。
「空也ちゃん〜口移しで飲ませてあげる〜」
「ちょ、ちょっとねぇや」
その後はややセクハラまがいの事を挟みつつもねぇやの相手をしていて
いたが悲劇は正にこれから始まるとはその時思いもしてなかった。
それから30分ぐらい経ったのだろうかその日最大の悲劇は訪れる。
「空也ちゃん〜」
ダメだ……この人すっかりできあがってますよ…。
「何をやっているのかしら」
ぴしっ 辺りの空気が凍り付く…この声……まさか………。
「あら〜要芽ちゃんじゃない、ちゃお☆」
振り返るとそこには女神の様な美貌と氷の様に冷たい目をした要芽姉様が立っていた。
やばい…完全に怒っているよな…なんでた。
「なかなか帰らないから迎えに来てみれば…この女といちゃついているなんて…」
「違う姉様、誤解なんだよ」
「黙れよ、ここだと目障りなのが居るから家に帰るわよ」
やばいこのまま家に帰ったら、いや下手したら外に出た時点で殺られるもとい犯られる


「根暗な人って嫌ねー、周りの事を考えないし、店に入ってお酒一つ飲もうとしないなんて」
ねぇや…煽らないでください。
「なっ、………いいわ。客として居てあげようじゃない」
そういって姉様は俺の横に座る…ねぇやと挟み合うように…。
両手に華のはずなのに…威圧感に押しつぶされそうだ…。
「えっとじゃあ僕はどこかのヘルプいってこようですかな…」
「はぁ、何か言ったか?」
「いえ、ナンデモナイデス、是非付き合わさせてもらいますよ」
その後は本当に地獄だった…。
「空也ちゃん〜このお酒で飲ませて〜」
「は、はい」
ねぇやにグラスを持っていく。
「違うでしょ〜さっきみたいに…ここで!」
ねぇやは指を口に当て、反対側からもの凄い殺気を受ける…うう。
「貴方…取材で来たならそろそろ遠慮した方がいいのじゃないかしら。次のドラマは
 豚とホストが恋する役だったかしら?」
ぴしっ、重かった空気がさらに重くなっていく…。
「空也、私にミントアイスを持ってきなさい。」
「は、はい」
姉様の前にミントアイスを持っていく…。
「ホント美味しいわ…、前に変な女が居なければさらに良いのだけど」
「根暗な人って頼み方や食べ方まで暗いのね〜、空気が読めないってどう思う空也ちゃん」
「何ですって……」
だ〜〜、頼むから俺を巻き込んでふらないで、2人とも。
その後も2人は熾烈にバトルを繰り広げる…そして遂に姉様が痺れを切らしたのか立ち上がった…。
「空也、いい加減に帰るわよ」
俺の手を引いて帰ろうとする。
「待ってよ、姉様、ここで抜けちゃうと仕事が半端に……」
朝になったら海お姉ちゃんを呼ぶ……それまで俺の安全は公共の場?しかないのだ……きついけど。


「そうだ〜そうだ〜。邪魔な外野はさっさと帰っちゃえ〜」
「いいわ…なら仕事を終わらせてあげる」
そういって姉様は店長を呼び寄せる…。
「この店で一番高い酒を入れるわ、そして空也を連れていくから…いいわよね」
「しかし…それは一千万もしま…」
「黙れよ、払うからさっさと持ってきなさい」
「は、はい。ありがとうございます!!
空也君、この方についていきなさい」
さすが姉様……喧嘩で一千万ってナニデスカソレ。
「ちょっと…嘘でしょ…そんな額…」
さすがにねぇやも驚いている…。
「あら…安物じゃない……折角だから貴方に飲ませてあげましょうか?太るかもしれないけど」
「く〜〜、仕方ない…今日の所はひくわね」
お約束?をしつつねぇやは去っていく。
支払いを済ませた姉様はねぇやの負け姿に満足したのか俺を連れて機嫌良さそうに出ていく…。
今だ、今のタイミングしかない。そう思った俺は姉様の機嫌を伺う。
「いや〜姉様格好良かったな〜、それに迎えに来てくれるなんて俺すっごい嬉し…」
「うるさい、黙れよ」
どうやらまだ怒りを残していたらしい……。
「どうやらホストが気に入ったようだから家でじっくりやらしてあげるわ、柊のホストをね」
俺の本当の試練はこれからのようだった………。


(作者・名無しさん[2006/09/10])

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