空也が冷茶を持って居間に入って来た。巴は畳に寝そべり、海は足の爪を切っていた。
まあ、年頃の女の人と一緒に暮らしていると時に幻滅する事もあるわけで。
「あっ!く〜やだぁ〜」
海がお盆に乗ったグラスを手にとり、ストローを2本差した。
「お姉ちゃん。これ俺のだし……」
空也は2本のうちの1本をとり、自分のグラスに差した。
「しぼむぅ〜〜…」
ほんとにしぼんでるように見える。
巴が余ったグラスに手を出した。
「海、私にもストローちょうだい」
「いいよぅ〜」
海がクマの絵の入ったストローを手渡した。
「あ、これかわいい」
「でしょ〜〜!」
空也は海が姉妹をかなり把握していることに感心した。

空也は海の隣に寝そべった。海が窮屈そうに空也に身を寄せてきた。
「く〜や、く〜や、く〜や〜!」
海がおでこを空也の背中にくっつけて、首を左右に振った。
「お姉ちゃん、くすぐったいよ〜!」
「えへへ〜!姉弟ならこれくらい当然だよ〜!」
海は心底嬉しそうに笑った。


「お姉ちゃん、この前姉様にお姉ちゃんとあまりいちゃつかないようにって怒られたんだよ」
「う〜ん、要芽お姉ちゃんも困ったなぁ〜。でも私達二人はいつまでも仲良しでいようねぇ〜〜」
「お姉ちゃ〜ん!」
「く〜や〜!」
ガシッ!…
「あぅ……」
海はここぞとばかりに頬ずりを忘れなかった。……空也は幸せな気分だった。
「しばらくこうしていようねぇ〜、く〜や〜」
「でも姉貴の部屋の掃除が」
「そんなのどうでもいいよぅ〜」
ほんとに二人は仲がいいのかな疑問だった。
「いつもお姉ちゃんとこんなこんなしてる気がする」
「そんなことないよぅ〜、朝起きたらく〜やがいなかったんだよぅ〜、あれはへこんだなぁ〜!」
海は切なそうに嘆いた。
空也は海が朝弱いことを知っていたから、そっとしておいたのだ。
「お姉ちゃんの寝顔みたら起こせなくなっちゃったよ」
「く〜やはやさしいね〜。お姉ちゃんの自慢の弟だよ〜」
海はハンカチで目頭を押さえた。
「そうかな」
「そうだよぅ〜。く〜やはやさし〜い子〜、
ば〜くだんミサイ〜ルあめあ〜らし、シュガーのな〜かみはど〜すぐろ〜い、
く〜や〜のねがおはて〜んし、く〜やのにおいはた〜いよう、
台詞(そして、くうやは)お姉ちゃ〜んのゆ〜め〜」
「夢?」


「そうだよぅ〜。くうやはお姉ちゃんの夢の世界の中心にいつもいるんだよぅ〜」
「夢の世界の中心?」
空也は難しい顔をした。しかしすぐに知恵熱が頭のなかに充満した。
「俺にはちょっと難しいかも……」
「いいんだよぅ、く〜や。お姉ちゃんはく〜やのことが大好きなだけだから〜」
そういって頬を赤らめて海は空也の胸に顔をうずめた。
「お姉ちゃん、俺……」
「いいよ〜、く〜やは気にしなくてぇ〜」
「女の子としてお姉ちゃんのことが好きだよ……」
海の頭の中は完全にショートした。
「…………夢ふくらむ〜〜!……く〜や!」
「お姉ちゃ〜ん!」
ガシッ!……
「あう……本日2度目」
海はより一層強い力で空也を抱きしめた。そして空也は頬につたう水気を感じた。
二人は嬉しさのあまりお互いの背中を叩き合った。そこには初々しいカップルが一組いるだけだった。
空也は体中が熱くなった。そして気づいた。
「ともねえ、起きてる?」
「スー……スー……」
空也は静かに巴の鼻を摘んだ。
「あう〜……く、くるしい」
両手を上げて、のびをする。あくまでも寝起きを主張していた。バレバレやん。


(作者・名無しさん[2006/07/14])

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル