「ううん…ふぁ〜ぁ……アラ、ヤダ。 もうこんな時間なの?」
昨日の晩はオンラインゲームで随分夜更かししちゃったからなぁ。
ま、今日はオフだからいいんだけどねっ。
だって今日はワタシの誕生日!
みんなが盛大に祝ってくれるだろうから、前もってスケジュールあけといたんだもん。
そして夜は空也ちゃんとしっぽりと、織姫と彦星ごっこをして…うふっ☆
それじゃ、まずは腹ごしらえといきますか。
「ぽえむちゃーん。 お姉ちゃんお腹すいたー」
返事がない。
ぽえむちゃんにしっかりと聞こえるぐらい、大きな声で呼んでみたんだけど…
「あれ? おーい、ぽえむちゃーん」
やぱり返事がない。
それどころか、物音ひとつ聞こえやしないわ。
「ぽえむちゃんったら、出かけたのかしら?
 仕方ないわねぇ、こうなったら空也ちゃんのところで何かご馳走になろうっと」
ということで、ワタシは家を出てそのままお隣へ。
空也ちゃん待っててねっ☆
愛する帆波お姉さんが、今からアナタのもとにやってくるわよっ。
「空也ちゃーん」
「おお、ほなみではないか」
出てきたのは雛乃ちゃん。 おかしいわねぇ、いつもなら空也ちゃんが出てくるはずなのに…
「ねぇ、雛乃ちゃん。 空也ちゃん、いる?」
「くうやならせろりと共に外出中であるぞ。 今日は七夕であるからな、立派な笹を取ってくるのだ」
「あ、そうなんだ…ねぇねぇ雛乃ちゃん、ちょっと遊ばない?」
「すまんが、今は我はお主と構ってはおれん。 大事な用事があって出かけねばならぬ」
「えー? 帆波つまんなーい」
「悪いな。 それと、今日は我が家には誰もおらぬぞ」


ぽえむちゃんは寝ているうちにドロンだし、お隣は誰もいない。
仕方がないから、コンビニまで買い物に行って食料調達しようかしら。
「でも、あっついわね〜…」
こんなカンカン照りの時は、なるべく家にいるのが吉よねっ☆
お菓子のストックがあるし、これでガマンしよっと。
「それにしても…」
いくら平日とはいえ、ここまで人がいなくなるなんて…
ガッコがある海ちゃん達はともかく、瀬芦理ちゃん達までいないんだもん。
ま、いいや。 オンラインゲームでもして遊んでよーっと。

「…飽きた」
なんかつまんない。
やっぱひとりぼっちにされちゃってるからかなー。
「あ〜〜〜ヒマだヒマだヒマだヒマだヒマだヒマだヒマだヒマだ!」
つまんない! 誰か帰ってきてよ、もう!
すると、外でバイクの音がした。 空也ちゃんかしら!?
たまらず外に出ると、そこには巴ちゃんとぽえむちゃんが一緒にいた。
帰ってきたのはこっちだったのね。
「こ、怖くなかった? ぽえむちゃん」
「ちょっと…でも、巴さんが一緒だったから…」
「あぅ…ま、また乗ってみる?」
「うん…巴さんと一緒なら、いつでもいいよ」
「おーい、そこでキラキラと瞳を輝かさないの、二人ともっ」
「あ、帆波さん…」
「ただいま、姉さん」
「おかえりなさい、ぽえむちゃん。 どこに行ってたの?」
「どこって、買い物だよ。 ちょっと松笠まで」
「いいなー。 ぽえむちゃんが巴ちゃんとデートの真っ最中にワタシは一人寂しくお留守番…」
「デ、デートだなんて、そんな…」
巴ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまった。


今日はみんなからプレゼントがあるらしく、お隣で夕食を食べることになったわ。
空也ちゃんと巴ちゃんの料理、すっごく楽しみだわっ☆
巴ちゃんが帰ってきたのをきっかけに、ゾロゾロとお隣さんが帰ってきた。
まずは高嶺ちゃんと海ちゃんが一緒に。
「ただいま〜」
「コラ、海! アタシのリボン帰しなさいよ!」
「あれ〜? 高嶺お姉ちゃんいたのか〜。 ツインじゃなかったから、わからなかったよ〜(・ε・)」
帰る途中で一緒になったみたいね。 次に瀬芦理ちゃんと空也ちゃん。
「たっだいま〜! 立派なやつ、手に入れてきたよ〜!」
「た……ただいま……」
空也ちゃんは憔悴しきったような顔でぐったりしていた。
前に瀬芦理ちゃんのバイクに乗せてもらったけど、あの時は心臓に悪かったわ…
二人が持って帰ってきた笹に、ぽえむちゃんと巴ちゃんが一緒に飾り付けを始めた。
今度は要芽ちゃん。 仕事先の二人も一緒にやってきたわ。
「おじゃましますー」
「どうぞどうぞ、何もないところですが☆」
「なぜお前が案内をしようとする…」
「まぁまぁ、細かい事は言いっこなしよっ」
「それでは、お邪魔します」
「お邪魔します〜」
そして、最後に帰ってきたのが雛乃ちゃん。
「おかえりなさい、雛乃ちゃんっ☆」
「うむ、ただいま帰ったぞ」
「今日はどこに行ってたの?」
「ふふふ、いずれわかる。 とりあえずは、暗くなるのを待っておれ」
え? ま、まさか雛乃ちゃんとワタシとの甘い時間の準備を!?
いけない、いけないわ! だってワタシ達は女同士、空也ちゃんというものがありながら……
「お主、何か変なことを考えてないか?」
「え!? や、やぁねぇもう!」


夕食もこれといって特別な事はなかったし、まさかみんなワタシの誕生日を忘れてるんじゃ…
そ、そんなことないわよね! だって、みんなにあんなに宣伝したんだもん。
「それでは皆の者、海岸へと向かうとするぞ」
雛乃ちゃんの声と共に、みんながゾロゾロと外に移動した。
要芽ちゃん達3人と雛乃ちゃん、高嶺ちゃんは車。
巴ちゃんとぽえむちゃん、瀬芦理ちゃんとワタシはペアでバイク。
海ちゃんと空也ちゃんは自転車で。
相変わらず瀬芦理ちゃんはワタシを風にさせてくれたわ…
全員が真っ暗で静かな海岸へ到着した。 海風がとても気持ちいい。
沖縄の海風とはまた違う感触ね。
「うみよ、時計を見せてくれ」
「は〜い」
「…ふむ、もうそろそろだな」
「雛乃姉さん、あちらのほうで何かがチカチカ光ってますよ」
「おお、合図だな。 くうやよ、向こうへ懐中電灯を向けて点滅させるのだ」
「はい」
空也ちゃんが言われたとおりにすると、また向こうで光が点滅した。
「よし、皆の者、準備はよいな?」
「「はい!」」
「それでは、ほなみよ…」
何? 何が始まるの? ちょっとワクワクしちゃうわっ☆
「せーの」
「「誕生日おめでとう!!」」


みんなの声と共に、光が点滅していたところから花火が打ちあがった。
その花火に『たんじょうびおめでとう』の文字が浮かび上がった。
続いて、ドンドンと大きな音を立てて、綺麗な色をした花火が舞い上がる。
「ヤッホー、成功だ成功だ!」
「よかったね〜」
「このいるか、今までこんなにステキな誕生日は見たことがないですよ〜!
 とりあえず、このことを健太に報告…アレ? 着信拒否されてる?」
「大した用もないのに、しつこく電話するからよ」
「そんな〜!」
す、すごい…まさかここまでしてくれるなんて……
ボーゼンとしているワタシに、ぽえむちゃんがトテトテと近づいてきた。
「ね、姉さん…うれしくなかった?」
「そ、そんなことあるわけがないじゃない! ワタシ、すっごく嬉しいわよ!
 ただ、ちょっと驚いちゃって」
「今回の事は、ぽえむが考えてくれたのだぞ」
「え?」
「ねぇやのことだから、普通に祝っても反応が薄いかなって。
 それで、打ち上げ花火でも使ってみたらどうかってねーたんが言ったんだ」
「ちょうど我の知り合いに、花火職人がいたのでな。
 少々無理を言ってしまったが、最後はおーけーをしてくれたぞ」
「ぽえむちゃん…お姉ちゃんは嬉しいわよっ☆(ガシッ)」
「ね、姉さん…苦しいからそんなに抱きつかないで……」
うーん、今まで生きてきた中で最高の誕生日だわっ☆
本当にありがとう、みんな!
「それでは、もう一度改めて…」
「「誕生日おめでとう!」」


ヒューン……

「む? 花火はもう終わりのはずだが…」
「アレは私が頼んだものですわ、姉さん」
「おお、そうであったか」
「えっ? それじゃ要芽ちゃんもワタシのために?」
「ええ、そうよ。 私のは特別製よ」
「お、出た!」

『おめでとう これで(自主規制)さいになったわね』

「フフフ…どうかしら?」
「ど、どうして要芽ちゃんがワタシの年齢を細かく知ってるのかな〜?」
「あら、でも思ったより歳はいってないはずだけど?」
「例えそうでも、女性に年齢の事アレコレするのはどうかと思うけどな〜。
 同じ女として」
「そういえば、アナタ女だったわね…アハハハハ!」
「うぅ〜…この根暗女!」
「フン、この単細胞が!」
「%&#@♪…!」
「*+$▲◎…!」

「クー君、ゴメンね」
「謝るのはこっちのほうだよ」
「これからもお互い…」
「苦労しそうだよね」
「「はぁ…」」


(作者・シンイチ氏[2006/07/12])

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