「そんなコト言って〜要芽ちゃん、ホントは悔しいクセに〜」
「黙れよ豚足」
「ああもう、喧嘩しないでよ二人とも!」
……七月七日。七夕兼ねえやの誕生日。にもかかわらず、柊家の庭では紛争が今日も勃発していた。
ともねえが七夕だということで、笹を取って来て、みんなでお願いをしようということになり一同集まったのだが。
「パパ、書けたよ〜」
「お〜どれどれ」
まあ色々あって数年前にオレとねえやはめでたく結婚。もう子供もいる訳なのだが……
「お父様。コッチも」
「はいはい、ちょっと待ってくれ」
……実はもう一人子供がいる。そしてその子供達の前で母親達は喧嘩していた。
結婚前はっちゃけてた頃に姉様とねえやと三人でしたのがまずかったらしい。そして二人同時に妊娠させてしまった。
当時ねえやの方に俺は行ってしまっていたし、ねえやもその場にいたから許してくれたのだが、病院までも同じ部屋になってしまった。
当然オレ達は病院中のウワサとなってしまった訳で。
「ママたち、またケンカしてる〜」
「あきないのかな?」
子供達は仲良しだが母親がコレだ。父親のオレの苦悩は絶えない。一時期はテレビの中でも喧嘩してたしな。
ただでさえすごく複雑な人間関係なのに……
どうしていつまで経ってもこうなのだろう?

オレなーんにも悪い事してないのに。


「みんな〜願い事は書いたかにゃ〜」
「おー」
みんな思い思いのことを書いたようだ。いつまでも睨みあう二人を放っておいて、それぞれが笹にくくり付けていく。
他のお姉ちゃん達はどんな願い事をしたのだろう?どれどれ、見てみるか。

『皆が我をちゃんと敬いますように』
姉さん……気持ちはよくわかります……
『ワタシもクーヤとの子供が欲しいよ〜』
ねえねえ。これ以上複雑な家庭にしないでくれ。いやでもこれはこれでなかなかそそられ(ry
『あう……みんな仲良く』
……きっと世界が百人のともねえなら戦争は無くなるだろうに。人間の鑑です。ハイ。
『イカがもっと従順になりますように』
オレはもう妻子持ちだYO。人を何だと思ってやがるんだ
『くーやくーやくーやくーやくーやくーやくーや』
お姉ちゃん、名詞を並べるだけじゃ神様も理解しかねるよ。
『里見さんが早く復職できますように』
……里見さんごめんなさい。

しかしみんなそれぞれの願い事があった。
願い事。か。
「こらイカ!アンタまだ書いてないの?」
そう、オレはまだ願い事を書いていない。だって有名女優と結婚して子供が二人もいて、しかもキレイなお姉ちゃん達に囲まれて暮らしているのだ。これでまだ何かお願い事をするなんて某国の将軍様よりも贅沢ではないだろうか?これ以上何を望めというのだ。
ううーん、何か願い事ねぇ……


「このあいだなんて一晩中愛し合ったもん!ねぇ〜ア・ナ・タ?」
「くっ!」
マズイ。軍靴の音が聞こえてくるぜ。こっちまで戦線が拡大してきた。ねえやが飛んで来てオレの腕に絡みついて来る。最近は正妻の座の力なのかねえやの方が喧嘩は強い。てか普段は『アナタ』なんて呼んでないだろ。
ああっ!お姉様が恐ろしい目でこちらを見ている。頼むから子供の前でそんな目をしないで下さい。
……そうだ。いつも思ってることを短冊に書けばいいんだ。オレは短冊とペンを手に取った。
「もうっ、アナタったら☆お願いならなんでもワタシが叶えてあげるわよっ」
「貴方に頼むことなんか無いに決まってるわ。さあ空也、なんでも私が叶えてあげるわよ」
ああ、まだ喧嘩してるし。ねえや、あーた今日でいくつになるんだい?
「くぬっ!くぬっ!」
「なんの!このっ!このっ!」
いつまでも終わりそうに無い喧嘩を横目にオレは短冊にこう書いた。

『ねえやと姉様が仲良くなりますように』


(作者・名無しさん[2006/07/10])

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