ある寒い日、あたしはホットのミルクティーを二つ持って、イカのところに向かった。
「お疲れ様、イカと雪だと白すぎて見分けつかないわね!」
「ああ、雪かきって慣れないから。ツインともども雪にうもれてみる?」
「あんですと!!?」
いつもいつもぶっきらぼうな返事。まるで私は風に話しかけているみたい。
たまには気を利かして、愛の言葉ひとつかふたつ言いなさいよ!
私はいつもあなたを目で追っているのに………
「今日も寒いわね。まあ!あなたには感じないでしょうけど!」
私はミルクティーと一緒にあなたの手を包んだ。
「はいはい、どうせ俺は馬鹿だから!姉貴はさむくないの?」
イカはずるい。暖かくなったその手は私の心を包んで離さない。
ずるいわよ。心臓がもうバクバクなのに……


「弟って職業はずいぶんもてるのね」
「なにが?って弟は職業?」
「最近ずいぶん廊下で姉様に話しかけられているわね」
「まあ、ある意味、御用聞きだから。でも、きのせいだよ」
そんな軽いこと言わないでよ。私のとなりはあなたなんだから。
姉様だってあなたのことを気に入ってるんだから!
四六時中くっついてないと、いつか離れ離れになるかもしれないのよ!昔みたいに。

気のせいとか言われたら、もう何も聞けないじゃない。こっちも気が気じゃないのに……

この鈍感イカが帰ってきてはじめての冬………
「姉貴の膝枕、気持ちいい」
「そうよ、こうやって世界の男は私にひれ伏すのよ!」
「世界の男膝枕するのに何年かかるのさ」
「べっつに、ちがうわよ! あなただけが特別なのよ!」
「ふぅん。ああ、そう」
なにこいつ!あたしにこんなこと言わせといて知らん顔なわけ!?
しかもなんか少し照れてやがるし、なんかすっごくムカついてきた!
この中身空っぽの頭蹴り上げてやる。


「イテッ!」
「イカ、コンビニ行って、ヨーグルト買ってきなさい」
「なんで?」
「いいから、早く」
「じゃあ、一緒に行こうよ」
「はっ!」
そういってイカは私の体をずるずる引きずっていく。
「ふふ」
「なんなのよ、イカ!」
「愛してるよ」
「!……………」
今頃言っても遅いわよ!
「ばかっ」
そういうことは何度言っても怒らないわよ!


だいたいなんであたしの言い返せないところでいうのよ!ほんとむかつくわ!
ほんと損な性格だわ!腹立ててばっかじゃない!バカみたいったらありゃしない!
怒られると思ったから言わなかったとか言ったら、承知しないんだから!
「帰ってきてはじめての冬だね」
なにほざいてんの!こいつ!こんなの無視に限るわ。
でも……
私だって愛してるわよ、この馬鹿イカ!その手、離すんじゃないわよ!


fin…………………………


(作者・名無しさん[2006/05/24])

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