「助けてくださいお姉さま〜」
「う……ん、騒々しいわね……」
「寝てないで助けてください〜」
「どうしたんですか秋山さん」
「いるか? いったいどうしたと……」
「ごめんやっしゃあ!! ゼニの取立てに来やした〜!」
「ひぃい! ここまで追ってきた〜」
「あなたは?」
「ワシは金貸しどす。その娘から金を取立てにきましたんや」
「取立て?」
「その通り。さあ、1000万、耳揃えて払っておくんなはれ」
「1000万!? 秋山さんそんなに借金してたんですか?」
「わ、私じゃないです!」
「ですが……」
「ホントに私じゃないんですよ〜」
「落ち着きなさい。詳しい話を聞きましょうか」
「詳しくも何もAの借金を連帯保証人であるその娘に払ってもらおうとしとるだけどす」
「連帯保証人!?」
「いるか……あなた」
「ち、違います! あれは無効です!」
「ほなかてあんた連帯保証人なるゆうたやないか」
「い、言っただけですよ! 私何も書いてもいないしハンコも押してません!」
「……ここ法律事務所でっしゃろ? あんさんら、その娘に説明したってください」
「摩周君」
「秋山さん、契約というのは口頭、つまり口約束でも成立するんですよ」
「……そうなんですか?」


「はい。契約書というのはあくまで契約を確認しトラブルを避けるものであり、契約そのものではありません。
 双方の意思が合意するだけで立派に契約は成立します」
「例えば買い物なんかがいい例ね。お店では契約書を作らないけど買い手と売り手、
 双方の合意があって売買契約が成立しているわ。
 ……で、契約書が無いからこうしてトラブルになってるわけだけど。
 このいるかが連帯保証人であると証明するものはあるのかしら?」
「証拠の音声を録音したテープがありまっせ」
「これは逃げられないわね。あきらめて払いなさい」
「で、でもAさんは担保に家を入れてるはずですよ! あの家を売ればそれぐらいは……」
「でも競売に掛けると時間かかりまっしゃろ。だからあんたに請求に来たんや」
「そ、そんな……納得できません!」
「摩周君」
「連帯保証人は通常の保証人と違い、催告の抗弁権・検索の抗弁権がありません」
「? ……どういうことですか?」
「つまり『先に○○に請求してくれ』とか『○○の財産を差し押さえてくれ』とか主張できないのよ」
「ワシら債権者は債権の回収が目的でっからなあ。
 少しでも主債務者の返済が遅れると判断したら容赦なく連帯保証人に催促に行きまっせ」
「そ、そんな……」
「もちろん後で債務者に立替金全額請求することができるけど」
「ま、その辺はそちらの問題ですな。さ、納得したら1000万払っておくんなはれ」
「お、お姉さま、助けて……」
「うるさい、払えよ」
「ひええ〜」

 この後摩周が立て替えたが、いるかが罰を受けたのは言うまでもない……。


(作者・名無しさん[2006/03/16])

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