今日は3月3日の雛祭り。 そして、我の誕生日でもある。
雛乃の誕生日…雛祭り…我の祭り……フフフ…
「何笑ってるの〜? 雛乃お姉ちゃ〜ん」
ご、ごほん!
まぁ、何だ。 皆の者が我のためにぱーてぃーを開いてくれるのは、大変ありがたいことだ。
とは言っても、ほとんど誰かの誕生日になれば、我家はすぐにどんちゃん騒ぎをするがな。
ともえとくうやが沢山のうまい料理をこしらえ、お隣からもお祝いに駆けつけてくれる。
あいにく、かなめは仕事が長引くとかで遅くなるとのことだ。
「雛乃お姉ひゃ〜ん、もう飲まないの〜?」
「我はもうよいぞ。 後はお主らで楽しむがよい」
「ちょっと雛姉さ〜ん。 主役がぁ〜、一番最後に切り上げるなんてずる〜い」
「ひ〜な〜の〜ん。待ってよ〜」
「仕方ないね〜。 ともえお姉ちゃんで遊ぼ〜」
「あぅぅ、もう飲まないほうが…」
やれやれ、あれだけ飲んで大丈夫であろうか…まぁ、ともえがおるから心配なかろうて。
十分に楽しんだことであるし、自分の部屋でゆっくりとするか。
「ふう…騒がしいな」
部屋に戻ってもくうやや妹達の楽しい笑い声が聞こえてくる。
幸せであるなぁ…本当に。
我はなんとなく暗くなった庭を眺めてみた。
昔は床につき、いつもいつもこの庭ばかりを眺めていたなぁ。
しばらくして、皆の声が聞こえなくなった。 どうやら騒ぎ疲れ、眠ってしまったのだろう。
…しかし、我にはまだ祝ってもらいたい人がいるのだ。
もう会うことはできぬが、せめて一声だけでも…
すると、急に部屋の戸が開いた。


(雛乃、お誕生日おめでとう)

「……っ!? 母様!?」
まさか、まさかそんなはずは…!
「どうかしましたか、雛乃姉さん。 今日はすみませんでした、仕事が長引いてしまって」
「あ、ああ…別に構わぬよ」
かなめであったか。 今確かに母様の声が聞こえたような…
「…気のせいであるな」
「は?」
「いや、何でもない。 それよりもどうだ、かなめ。
 実は今日のために特別に上等な酒を手に入れてあったのだ」
そう言って我は、布団を入れている押入れの奥から、一本の酒瓶を取り出した。
「どうだ、お前も飲むか?」
「いいんですか? 雛乃姉さんが楽しみにしていたのでは…」
「ふふふ、よいよい。 今日は実に気分がよいのでな」
「そうですか、それではいただきます」

(母様…我を生んでいただき、本当にありがとうございます。
 あなたのおかげで、我は今とても幸せですぞ)


(作者・シンイチ氏[2006/03/03])

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