今日はアタシの誕生日、バレンタインデー。
 イカが帰ってくるまではパパに姉妹みんなで市販のチョコを買って
プレゼントしただけで、どちらかと言うと私の誕生日のイベントのほうがメインだった。
 でもイカが沖縄から帰ってきてからというもの、
姉さん達や海(巴姉さん除く)がイカにチョコをあげる事に関して
微妙に牽制しあっているような気がする。
 皆そんなにあのエロイカの事が好きなのかしら?
 アタシとしては一応、悪魔で 義 理 としてイカにチョコあげるけど、
渡すところを他の姉さん達や海には何となく見られたくない。
 どうやって渡そうかしら…?
 ……お使いでも頼むついでにお駄賃としてあげる形で渡そっと。
 イカの携帯に電話をかける。
 トゥルルルルルルルルル……ガチャ
 「あ、イカ? ちょっとアタシの部屋まで来なさい!」
 返事を聞かずに電話を切ると、間も無くイカがやって来た。
 「な〜に〜、姉貴? 俺、今ともねえの料理手伝ってて忙しいんだけど?」
 「今晩のアタシの誕生パーティーの準備? 関心ね。
 でもちょっとこの紙に書いてるもの、今すぐに買って来てくれないかしら?」
 買い物のリストを差し出すと、受け取ったイカがそれを見て大げさに驚いた顔で、
 「えぇぇぇぇえ!? これ本当に今必要なのかよ?
 駄菓子ばっかりじゃん」
 「良いからアンタはアタシのいうこと聞いていれば良いの!
 ホッ、ホラ、お駄賃にそこに置いてある紙袋のなかっ、中身、くれてやるわよ!」
 「姉貴がお駄賃くれるなんて珍しいな……」
 言いながら紙袋を手にとって中身を見たイカがこっちを見て、
 「はっは〜ン」
と、にやりと笑った。
 「なっ、何よ!?」
 「いやいや、なんでもないよ」
 そう言いつつ、ニヤニヤしているイカ。
 「くぅぅぅぅ。良いからとっととそれもって買い物行け!」
 ・・・


 イカはそれから一時間ほどで買い物から帰ってきた。
 「ほら、頼まれたもの全部買って来たよ。俺、もうともねえの手伝いに戻るよ?」
 「うん、いいわよ」
 「じゃあ準備ができたら呼ぶから」
 イカがアタシの部屋を出て行った後、イカが持ってきた買い物袋の中を物色する。
 すると中に明らかに駄菓子とは違う、きれいに包装された小さな箱と封筒が。
 「何かしらね、コレ?」
 手にとって包装を解いて箱を開けてみると、中身は結構有名なブランドのマニキュアだった。
 封筒の中には手紙が入っていて、内容は、
『姉貴の愛、確かに受け取ったぜ。
 ちょっと皆より渡すタイミングは早いけど、誕生日プレゼント。
 ちなみに今のお使いのついでに買ったんではなくて、
ねぇやに選ぶの付き合ってもらって、ちゃんと前々から用意しておいたんだぜ』
 「……イカの癖して、なかなか味な真似してくれるじゃない」
 って何でアタシ、ニヤけてるのかしら。
 ……とりあえず、パーティー始まるまで時間あるし、塗ってみようかな。
 ぺたぺた………
 「あら、結構いい色じゃないの」
 淡い、でもどこか大人っぽい感じの赤ピンク。
 フフン、アタシが早速このマニキュア塗ってパーティーに出ると知ったら
空也、どんな顔するかしら。
 って、何でアタシはイカのことなんか考えちゃってるのよ!
 たっ、多分誕生日だからうかれちゃってるのね!アタシ。

 しばらくしてマニキュアが乾いた頃に、瀬芦里姉さんが珍しくドアをノックして、
 「タカー? パーティーの準備できたよ。おいで〜」
 「うん、今行くわ」
 答えながら、やっぱり笑顔で綺麗に彩られた爪を見ている自分に気がつく。
 ……はぁ、今日ぐらいは自分に正直になろうかしら。
 「……イカが、空也がアタシの爪を見てどんな顔するか、楽しみね(ボソ」
 言って顔が真っ赤になるのを感じ、言うんじゃなかったと後悔しながら、
逃げるように自分の部屋を出て居間に向かった。


(作者・SSD氏[2006/02/14])

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