台所でおでんなべのおでんがグツグツと煮えている。
なんとなく後ろから視線を感じるが、何とか守り抜かなければ俺たちがお仕置きされてしまう。
弱肉強食の柊家においてここは戦場。敵は常に後方にいるのだ。
ともねぇと俺はその視線にいつも戦々恐々としている。弱者ってはかないね。
「ねぇねぇのおとりトラップは生ハムでいいよね」
「うん、 だいじょうぶだと思う」
ともねぇはミンチにキャベツを巻きながら答えた。
「それ、ロールキャベツ?」
「うん、そうだよ」
うわ、すごいにこやかな笑顔返ってきた。
「それって、 ロールキャベツを買ってくればよくない?」
「あぅ、 でも作り立てが一番おいしいから、出来合いを
おいておくとなくなる確立が高いんだ」
さすが戦場、完璧な作戦がないと生きていけない世界だ。
でもほんと主婦の鑑みたいな人だよなぁ、この人は。
美人がこういう肉をキャベツで巻くみたいな単純な作業
をしてるとなぜか引き立つというか。
ともねぇを意識してしまうというか。
っていうか、キャベツが肉を巻いている。
キャベツが肉を巻いている。
キャベツが肉を巻いている。
ともねぇのキャベツが俺の肉を巻いている。
ちょっと待て!そんなこと考えてる場合じゃない。ここは戦場なんだ。
ああ、 でも昨日のあれのともねぇの声が大きすぎて頭の中に
響いてる。てか普段ともねぇって大きな声出さないし。
「空也、 どうしたの?」
「いや、なんでもない。続けよう。ともねぇ」
「?」
ともねぇの頭の上に?がうかんでいる。しかし俺の状況は深刻。


空太郎、頼む静まってれ。今はそんな時じゃない。早くともねぇの
中に入りたいとか言わないでくれ。ともねぇが心配そうにこっちを見る。
「私が面倒見てあげようか?」後ろからドラ猫が話しかける。
結構です。そんなことしたら、ともねぇに怒られます。
ともねぇがさらに困ってるし。
「空也、 苦しかったら休んでてもいいぞ、
お姉ちゃんが全部やるから」
ここでやめたら男が廃る。
「大丈夫、 何ならこの後全部俺に任してもいい」
かっと目を見開く。
「あぅ、 すごいやる気。そうか、すごいな、空也は私の自慢の弟だ」
ともねぇは力強く俺を抱きしめた。
シャンプーのいいにおい。
やめてくれ、ともねぇ、マジで爆発してしまう。
やばい、マジデヤバイ。
「ごめん、ともねぇ、ちょっと待てて」
「あっ、 空也」
俺は台所を離脱した。出る瞬間ねぇねぇと目が合った。
頼むねぇねぇ。俺を素奈緒じゃにないな、君は。見たいな目で見ないでくれ。
久々の出番だ、カナちゃん。嗚呼、俺ってすんごくなさけなー。

この後、おかずの大半をねぇねぇにやられ、ともねぇと二人で姉様から
お仕置きを受けたのは言うまでもない。
終わり。


(作者・名無しさん[2006/01/29])

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