「あ〜、やっとレポート打ち込み終わった〜。」
 椅子の背もたれに寄りかかり、両手を大きく広げて伸びをする。
 アタシ位になるとレポートは考える手間は全く無いけど、
パソコンに打ち込むのに時間がかかるからね。
 午前中に始めたのに、もう午後になっちゃったみたい。
 そういえばお昼ご飯まだ食べてないわね。
 下に行って巴姉さんに何か作ってもらおうっと。

 居間に行くと海が一人で戦隊物のビデオを見ていた。
 「あっ、高嶺お姉ちゃんだ。お帰り〜。」
 「別に外に出てたわけじゃないわよ。」
 「そうなの?お昼ご飯の時くーやが高嶺お姉ちゃんの部屋まで
呼びに行ったけど、出てこなかったから家にいないんじゃないかって言ってたよ。」
 「フフン、アタシは集中力が凄いからね。
 部屋でレポートを打ってたから気が付かなかったのよ。」
 「ふーん・・・(レポート打ってるときは注意力減メモメモ〆(._.)と。」
 「何よそのメモ。」
 「なんでもないよ〜(・ε・)」
 「ま、何でも良いわ。
 それより、アタシ、朝から何も食べてないからお腹すいちゃったのよ。
 巴姉さん台所にいるの?」
 「巴お姉ちゃんならさっきどこかに出かけて行ったよ〜。」
 「ぬぅぅ・・・しょうがないわね・・・。イカに頼むしかないか。」
 「くーやは要芽お姉ちゃんと出かけていったから今はいないよ〜。」
 「なっ、なんてこと・・・。何も食べるものがないなんて・・・。」
 「私が何か作ってあげようか?」
 「アンタ、アタシを殺す気?」


 海の提案を退けた後、とりあえず台所にやってきて大型冷蔵庫を開けてみた。
 冷蔵庫の中には出来合いのものはヨーグルトやプリン、ミントアイス等が入っている。
 「うーん、ヨーグルトやプリンじゃお腹にはたまらないし・・・あっ、この箱は・・・!」
 冷蔵庫をあさっていると見覚えのある箱が出てきた。
 この箱は確か昨日アタシがおやつに食べようと思って買った駅前の美味しいケーキ屋の箱!
 箱を取り出し蓋を開けると
 「よかったぁ。まだ2切れとも残ってるわね。」
 2切れ買ったのはおあずけ食らわしたイカの目の前で2切れとも食べようかと思ったから。
 でもなんだかんだでイカと時間が会わなくて、昨日は食べれなかったのよね。
 瀬芦里姉さんに食べられなかったのが奇跡だわ。
 日ごろの行いがいいから無事だったのね。
 ケーキ2切れなら、巴姉さんが帰ってくるぐらいまでの腹の足しにはなるか・・・。
 早速ケーキ2切れを皿にとって、居間に戻った。

 居間に戻ったちょうどその時、海がテレビを消して立ち上がろうとしていたところだった。
 海は私が持ってる皿の上のケーキを見るなり、
 「あ〜!そのケーキ、駅前のあのケーキ屋のチーズケーキでしょ〜?」
 「フフン、そうよ。」
 「コレ美味しいんだよね。い〜な〜。」
 と海がケーキをジーっと見つめている。
 「なっ何よ!そんなに見つめてもあげないわよ!
 私はお腹と背中がくっつきそうなぐらいお腹が減ってるんだから!」
 「しぼむ〜。この先学校で『私の姉』って言う題名で
作文書かなきゃいけない時が来るかもしれないことを思うと、さらにしぼむ〜。」
 い、嫌な言い方するわね。
 まぁでも、お腹はすいてしょうがないけど、最近海には姉らしい事もしてないし―――
 「いいわ。1切れだけあげるわよ。」
 「ええぇ〜!本当!?」
 久しぶりに空也にではなく、アタシに向けられる海の、妹の驚きが混じった笑顔。
 ・・・何だか悪い気はしないわね。
 「1切れだけだからね!」
 「わかってるよ〜。」


 改めてケーキを二枚の皿に分けて、テーブルに並べた。
 「「いただきます」」
 食べる前に、まずは海がケーキを食べるのを見届ける事に。
 海がケーキをフォークで切って口に含むと、
アタシが見ているのに気が付いたのか、ケーキを飲み込んでからこっちを笑顔を向けた。
 「おいしよ〜。高嶺お姉ちゃん、ありがとう〜。」
 「フ、フン。よかったわね。」
 「あ〜、高嶺お姉ちゃん、私に喜んでもらえてうれしいんでしょ〜。」
 「馬鹿言わないでよ!誰がアンタなんかが喜んだからって・・・。」
 アタシも食べようとフォークでケーキを切ろうとした瞬間、
 「たっだいまー!・・・お?ケーキの匂いがするぞ!」
と玄関から瀬芦里姉さんの声が聞こえてきた。
 早く食べなきゃ、ヤバイ!――――と、玄関のほうを向いていた
顔をケーキの方向に戻すと同時に、瀬芦里姉さんが
ものすごい速さで居間までやってきて、ケーキを一口で食べてしまった。
 「うまうま。チーズケーキうまうま。」
 「ちょっ、ちょっと!何やってんのよ!」
 「いやー、人の食べ物を横取りするのは美味しいねー。」
 「高嶺お姉ちゃん、ご馳走様〜。」
 「って海は無事に食べ終わってるし!」
 「だってうみゃの食べちゃったらさ、何されるかわからないしね。」
 何事も無かったかのように空になったケーキ皿を持って居間を出て行く海。
 その後すぐに台所の流しにケーキ皿を置いてきたらしい海が、
部屋に戻る前に居間に顔を出して、
 「高嶺お姉ちゃん、またケーキ買ったら、私にも分けてね〜。」
それだけ言って部屋に戻ってしまった。
 アタシが海との間に感じた姉妹の絆みたいなものはなんだったのかしら・・・?
 「おっ、タカのおごりだったの?太っ腹だね〜。今度も私の分、お願いね!」
 「誰がお前等の分なんか買ってくるもんかぁ〜〜〜〜〜!」


(作者・SSD氏[2005/12/15])

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