「あの店の焼きソバも何だか味が落ちてきたわね・・・。」
焼きそば名店巡りしておいてなんだけど、暑い。
やっぱりあのイカを日傘持ちにでも連れてくるんだった。
犬神家に遊びに行くからーとか言って逃げられちゃったけど・・・帰ったらとっちめてやろう。
そんなことを思っていると、バイクが一台猛スピードで側を
バアアアアアアァァァァン・・・・
 「うわっぷ!なぁによ!今のバイク!この暑いのに埃撒き散らして行って!
アタシの完璧な顔や髪が汚れたらどうs・・・あー!もう髪がバッサバサ!
・・・それにしても見覚えのあるバイクね。ドラ猫のかしら。」
と、爆走バイクのあとを黒塗りのバイクが安全運転で付いていく。
あれは巴姉さんの・・・って事はやっぱりさっきのはドラ猫のバイクだわ。
あの二人が二人っきりで出かけるって言うのも、珍しいわね。
ともあれ、
 「あのドラ猫のせいで、髪も服も埃まみれだわ。気持ち悪いったらありゃしない。」
どこかにシャワーでも浴びれるところがあればいいんだけど・・・
やっぱり家に帰るしかないk
 「あれれー?高嶺さんじゃないですかー?」
 「あ、(外交モードON)秋山さんじゃないですか!いつも姉がお世話になっています。」
 「はわわわ!そんな事ないですよー。いやですね、確かにお姉様は私がいないとダメかなー
っていう部分もあるんですよ。でもですねー、そこが私にとって(略
ところで、高嶺さんはこんなところで、あっ・・・な、何をなさってたんですか?」
 「ええっと・・・(本当のことを言うと、私の貞淑なイメージが崩れるわね)
お花を積みにいこうかと思ってましたの。」
 「お花ですかー。ひっ!・・・はぁ、乙女チックでいいですねー。私なんかお姉様のお使いで
肉まんをぅっ!・・・えへへ、買いに。何で夏なのに肉まんなの?って感じですよねー。う!うぅ・・・。」
 「それにしても秋山さん、お具合でも悪いんですか?さっきから唸ったり声を上げたり・・・」
 「いいいいい、いえいえ!これはぁ・・・なんでもないんでふすぅ・・・はぁ!」
今日はいつもに増して秋山さんの様子が変だわ。
なんかモジモジしてるし、しかもさっきからヴィーンってモーター音が秋山さんの腰の辺りから聞こえるし。
なんなのかしら?


 「高嶺さん、この後お暇でしたら、事務所っ!・・・ふぅ・・・までいらっしゃいませんか?
お姉様も喜ぶと思いますよ〜。」
たしか前にイカがお姉様の事務所はもともと家だったものだから、
シャワーとかがあるって言ってたわね。お姉様の仕事場にも興味あるし・・・
 「もしお邪魔にならなければ、お願いできますか?ワタシも姉の仕事に興味がありますので。」
 「決まりですね!いきましょう!」
・・・

 「ただいま戻りましたー。」
 「お帰りなさい、秋山さん・・・あれ、高嶺さんではないですか。」
 「姉がお世話になっています。摩周さん。」
 「い、いえ!私が要芽様のお世話などと・・・大それたことは。」
 「姉は今、大丈夫ですか?」
 「要芽様はたった先ほどからお休みに・・・って秋山さん、まずいですよ!」
摩周さんがあたしに目を取られている隙に、秋山さんはお姉様を起こそうとしている。
 「お姉様ぁー、起きてくださいよぉ。いい加減これ、はずしていいですか?
だんだん強くなってきて・・・あっ・・・ちゃんと言い付けの肉まんも買ってきましたからー!」
 「ううん・・・うるさいわね。肉まんなんか、本当はどうでもいいのよ・・・。」
 「高嶺さんもお見えになっていらっしゃるんですよ。要芽様。」
 「高嶺が・・・?あら、どうしたの?」
 「秋山さんにばったり会って、誘われたから・・・。」
 「あら、そう・・・なかなかチャレンジャーなのね。いるか。高嶺にはばれたのかしら?」
 「そっ、そんなばれるなんて、何のことを言っているのか私、さっぱりですー。」
 「フフフ、なかなかがんばるのね・・・ならば明日の朝までつけていなさいな。」
 「えぇー!それはないですよー。」
 「さっきから姉と秋山さんは何を言っているんですか?」
 「さぁ?私にはさっぱり・・・」
・・・


「はぁーあ、さっぱりした。シャワーがある事務所って、素敵ですねお姉s・・・」
 「ZZzzz・・・」
って寝てるし。
アタシ、今日ここに来てお姉様の寝てる姿しか見てないような。
もっと事務所ではビシッと決めてるのかと思ったのに・・・。
 「今日は日も傾いてきましたし、簡単な事務処理しかないので、要芽様のお仕事は
あってないようなものなのです。私と秋山さんだけでも出来ないことはないのですが、
やはり事務所の主がいたほうが気合の入り方が違うのですよ。」
 「そういうものなのですか?」
 「そういうものなのです。」
・・・
 「おねえさまぁー、摩周さん!終わりましたよ〜。」
秋山さんが奥から出てきて、お姉様の頬をぷにぷにと突っついておこしている。
 「・・・いるか、もういいわ。目は覚めたわよ。」
 「えへへへへー(ぷにぷに」
 「・・・もういいって言っているだろう!秋山!」
 「ひいぃぃぃ!ごめんなさい!」
 「許してほしいのだったら、もう一個の穴のほうにもアレを着けることね。」
 「刺激二倍ですかぁ〜!ご勘弁願いますだぁ〜。」
そう言いながら、どこと無く嬉しそうに秋山さんはポケットから何か取り出してごそごそしている。
お姉様はそれを軽く無視して、パンッと手を叩くと、キリッと顔を作って
 「今日もご苦労だったわね。摩周君、いるか。摩周君は明日の例の公判、がんばるように。」
 「はい!この命に代えても、柊法律事務所の名を汚さぬよう、死力を尽くします。」
 「いるかは例の書類、水曜までで良いって言ったけど、やはり明日の午後にでも
準備できるようにして置いてくれないかしら。」
 「はい〜。今日も家で徹夜しますよ〜。(W刺激に耐えながら)がんばっちゃいます!」
 「それでは、解散!・・・さてと、帰りましょうか、高嶺。もちろん、私の車に乗るわよね?」
私のほうに向き直った要芽お姉様の顔が、キリリとした表情から急にやわらかく、
やさしい顔になって、何だかドキッとしてしまった。
やっぱり、アタシのあこがれるお姉様はこうでなくっちゃ。
・・・


お姉様は車の中ではBGMには何もかけない。
運転しているお姉様の横顔を見ると、イカがお姉様にメロメロなのも判る気がする。
 「高嶺、私の顔に何か付いているのかしら?」
 「い、いえ・・・そうじゃなくて、お姉様が羨ましいなぁって。」
 「私のことが?それは意外ね。私のどこが羨ましいのかしら?」
 「今日半日お姉様の仕事を見てて、良い環境で良い仕事してて、ってさ。」
 「そういうものかしら・・・。ほら、もう家に着くわよ。」
・・・
 「「ただいま〜」」
 「高嶺お姉ちゃんお帰り〜!要芽お姉ちゃんも一緒だったの?」
 「海・・・玄関で何をしているのかしら?」
 「高嶺お姉ちゃんを待ってたんだよ〜。雛乃お姉ちゃんが居間で待ってるよ〜。早く!」
 「えっ?雛姉さんが?って髪引っ張らないでよ!イタイイタイ!」
・・・

ピコーン、ピコーン・・・ズガァァン・・・
 「あら高嶺、まだ起きていたの?もう皆寝ているというのに。」
 「ああっ、またダメ・・・。うん、さっきの雛姉さんとのアレでさ、悔しくて。姉様は何で?」
 「喉が渇いたから、水をね。私ももう寝るから、高嶺も早く寝なさいな。」
 「はーい。でもここをクリアーしてからじゃないと、悔しくて。」
 「・・・やはり私はあなたが羨ましいわね。高嶺。」
 「えっ?」
 「あなたのほうが私より、姉さんや他の妹達に・・・近い気がするわ。」
 「そ、そんな事ないですよ・・・」
 「フフフ、気のせいだといいのだけど・・・。ほら、もう寝なさい。眠い状態で練習しても、
上達はあまり望めないわよ。」
 「はい。・・・でもね、姉様。アタシは・・・姉様のこと尊敬してるから。」
 「・・・あり・・・・・ぅ。・・・かね。」
 「えっ?なんて・・・言ったんですか?」
 「結局は似たもの姉妹って事かしらね、って言ったのよ。・・・お休み。」


(作者・SSD氏[2005/08/10])

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