「今日のぺんぎんショーも、よかったわね。流石八景島だわ・・・」
「そうですねお姉様、次は何を見に行きましょうか?」
「何を言っているの?空也。もう帰るわよ。私は眠いの・・・」
「えぇーっ!もっ、もう帰るんですか?」
「当たり前じゃない。ぺんぎんショー以外に興味はないわ。」
「COOL!・・・ってせっかく来たんですから、せめてお土産品ぐらい見に行きません?
ぺんぎんグッツがあるかもしれませんよ。」
「ぺんぎん・・・そうね、どちらにせよお店は出口の近くみたいだから、よって見ましょう。」
・・・

「あれ、おっかしいなぁ。こっちでいいはずなんだけど・・・。」
「空也・・・まさかあなた、迷ったの?」
「いやっ、まっさかー、ソンナワケナイジャナイデスカァ。」
「そう、迷ったのね。何でもいいから、早く帰りたいわ。」
「うわぁーん・・・」
「泣いてもダメよ・・・って、空也ではないの?」
「いや、いくら俺でも迷子になったぐらいでは泣きませんって。
でも、誰が泣いてるんだろう・・・。」
「あの子じゃないかしら。」
「わーん、おかあさぁん・・・。」
どうやらあの女の子が発信源らしい。
泣き顔になってしまっているが、なかなか可愛い女の子だ。
将来は綺麗になるだろうから、今のうちに・・・ってそうじゃなかった。
「それにしてもあんな小さな子が泣いてるのに、周りの人は無視してるし・・・
世間って冷たいですね・・・ってお姉様!何無視しようとしてるんですか!?」
「子供は・・・嫌いだわ。」
「そんな事言ったって、放って置けないですよ。」


「・・・仕方ないわね。でも、私は何もしないわよ。」
「お姉さまの手を煩わせはしませんよ。・・・お嬢ちゃん、どうしたの?」
「うわぁーん!おかぁさぁん!」
「どうしたの?迷子かい?お名前は?」
「えぐっ、へぐっ・・・わーん!」
「・・・だっ、ダメだ!俺にはどうすることも出来ない!」
「・・・仕方ないわね。どきなさい、空也。」
お姉さまがスッとしゃがんで・・・
「ほら、女の子はもうちょっと上品にしなくてはいけないわよ。」
言いながら、女の子の頬をなでた。
「えぐっ、うぅぅぅ・・・」
「良い子ね。お名前は?」
「へぐっ・・・ぃん」
「えっ?な、なんて・・・言ったのかしら?」
「へぐっ・・・凛」
・・・
「・・・そう、いい・・・名前ね。」
「うぐぅ・・・ありがとぅ・・・」
お姉さまの表情が、一瞬驚いた後に少しだけ柔らかくなったような気がする。
しかし流石お姉様、泣いてばかりだった子から名前を聞き出すとは・・・。
でも、俺も負けちゃいられない!
「実はね、お兄さん達も迷子なんだよ!」
「そうなの?」
そう!こうやって同じ境遇であると言うことを主張して、安心感をあt
「いいえ、私は違うわ。迷子なのはあのおじさんだけ。
だから、私に着いていらっしゃいな。迷子センターまで連れて行ってあげるわ。」
「うん!」
orz
しかもおじさんって・・・。
お姉様は凛ちゃんの手を取って歩き出した。
あわてて着いていく。


それにしても・・・
「よく聞きだせましたね。名前。」
「子供と話をする時は、しゃがんで目線の高さを合わせたほうが安心感を与えることが出来るのよ。
と言うか、それくらい常識でしょう。」
「えっ、そうなの?そんな事知ってるって事は、嫌いとか言っておきながら好きなんじゃないですか?子供。」
「・・・本で読んだだけよ。」
「どうしたの?」
「頭が悪いおじさんに物を教えてあげてるのよ。凛・・・ちゃんは勉強しなくてはダメよ。」
「うん!」
またおじさん扱い・・・orz
「お姉様、さっきから案内図見ないでスタスタ歩いてますけど、分かるんですか?迷子センターの場所。」
「分かるわ。出入場口のすぐ近くよ。」
「えっ、分かっていたなら何でさっきから俺と一緒に迷ってたんですか?」
「フフフ・・・。ねぇ凛ちゃん、今日は誰と来たの?」
「お母さんと。お父さんは『かいがいてんきん』でこれないんだ。」
「そうなの・・・」
と、姉様が俺に何か目配せをしている。
・・・なんだろう?
「まったく、姉さんが愚鈍と言ったのがよく分かるわ。手よ。空いてるほうの手をつないで上げなさいな。」
「あっ、そうか。」
凛ちゃんを見ると、恥ずかしそうに俺を見ている。
手を差し出すと小さな手がうれしそうに俺の手を取った。
ああ、なんか幸せ・・・。
こうしていると、あの憧れのお姉様とふうh
「くだらない事考えてるんじゃないでしょうね?空也。
・・・凛ちゃん、ああいうだらしない顔してる男に騙されてはダメよ。」
「うん!気を付ける!」
散々だな・・・orz
・・・

「ほら、あれが迷子センターよ。」
結局、一回も迷わずに迷子センターまでたどり着いた。


「あのー、迷子を見つけたんですが・・・」
俺が迷子センターで事情を説明している間、お姉様と凛ちゃんは仲よさそうに話している。
「それじゃあ凛ちゃん、ここで待ってれば、大丈夫だから。」
「・・・うん。」
「どうしたの?もう少しでお母さんに会えるのよ?」
「お姉ちゃん達と・・・離れるの・・・いや。」
「・・・そうね。私も寂しいわ。でもね、少しの間距離を置くって言うのは、
再び出合ったときの感動を大きくしてくれるの。分かるかしら?」
お姉様はそう言いながら俺のほうをチラリと見た。
「・・・うん。ありがとう。お姉ちゃん、おじちゃん。」
「良い子ね。お父さんとお母さんを大切にするのよ。」
「うん!」
「それと・・・・・・やいもぅ・・・、・・・・すね。」
お姉様は何か言ったようだが、何を言っているかは聞こえなかった。
「なぁに?」
「フフフ・・・なんでもないわ。それじゃあね。」
お姉様はスッ頬をなでると、立ち上がって迷子センターを出て行った。
「じゃっ、じゃあね。凛ちゃん。」
「うん、バイバイ!」
・・・
「何だかんだ言って、お姉様大活躍じゃないですか。」
「私に分からないことなどないわ。子供の扱い方も知っていただけよ。」
「ホントかなぁ。本当に嫌いなら、扱い方知ってるだけでは、あんなことは出来ませんよ。
本当に嫌いなんですか?」
話しながら迷子センターのほうを振り返ると、若い女の人が迷子センターに駆け込むのが見えた。
それを迎える形で、凛ちゃんが出てきて抱きついている。
凛ちゃんはこちらに気がついたのか、母親の肩越しからこちらに手を振っている。
「言ったでしょう・・・あまり・・・好きではないわ。」
お姉様はやわらかい笑顔でそれに答えながら言った。
素直じゃないけど、なんか姉様っぽいや。
「何をニヤニヤしているのかしら。(ギロリ」
「ナンデモアリマセン。」


(作者・SSD氏[2005/07/24])

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