「どうしたの空也?早くいらっしゃいな。」
要芽姉様がベッドに一人分のスペースを空けて、そこをポンポンと叩いている。
すぐにでもそこに飛び込みたいのは山々だけど・・・
やっぱりアレが気になって欲望に忠実になれない。
どうも見られてる気がしてたまらないんだよな。
あれ、そういえば・・・
「姉様。その前に一つ聞いていいかな?」
「もう眠いから、一つだけならいいわよ。」
「あのペンギンのぬいぐるみ、姉様が自分で買ったの?」
「っ!・・・そんなわけないじゃない。あの子は巴が・・・くれたのよ」
「ん?・・・へぇ、そうなんだ。」
「ZZZ・・・・」
もう寝てるし。
なんだか最後の返事のした時の姉様、ちょっと様子がおかしかったな。
何か裏がありそうだ。
ふわぁ〜あ、もう眠いし、明日の朝ともねえにでも聞いて裏を取ってみよう。
・・・

翌朝はちょっと早めに起きて、姉様に気づかれないようにベットを抜け出した。
そうして玄関に行くと・・・
「あれ、今日は早いじゃないか。どうしたんだ?空也。」
思ったとおり、ともねえがランニングに出かけるところだ。
「いや、今日は久しぶりにともねえとランニングに出ようかと思ってさ。」
「そ、そうか。空也は偉いな。よしよし。」
「あふぅ。」
まぁ、本当は他の目的があるんだけど・・・。
「いま、ちょっと準備してくるから、それまで待っててくれるかな?」
「うん!」
・・・


相変わらず、ともねえは海岸線と言えども走るのがめちゃくちゃ速い。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「空也、どうしたんだ?この間はついて来れたのに?」
「いや、・・・別に・・・はぁ・・・疲れてるわけじゃ・・・ないよ。」
「え?」
「聞きたい・・・事が・・・ある、から、スピードを・・・はぁ・・・落としたんだよ。」
「なんだ。そうならそうと言えばいいのに。」
ともねえが俺の横に並んで歩き始めた。
「で、きっ、聞きたいことって、なに?」
「姉様と一緒にねっ・・・いや、姉様の部屋で遊んでるときにさ、ペンギンのぬいぐるみを見つけたんだ。
で、姉様に聞いたら買ったんではなくて、ともねえからもらったって・・・」
と言うと、ともねえは一瞬表情を暗くして
「ああ、ペンネのことか。」
「ぺんね?」
「あの子の名前のことだよ。ペンネはね、イタリアから留学してきた勉強家のペンギンで・・・」
「あ、いや、設定はどうでもいいからさ・・・」
「あぅ・・・」
「姉様とペンネとともねえに、何かあったの?」
ともねえは表情を戻して、ゆっくりと語りだした。
「あれは空也が帰ってくるずいぶん前のことだけど、とっ、当時から私は雛乃姉さんや要芽姉さんに
ぬいぐるみ集めすぎだ、い、いつかは部屋がぬいぐるみに占拠されるぞって注意を受けていたんだ・・・
でも、そんな時になって私はペンネと出合ったんだ。
私がペンネと仲良くなって家に連れて帰ったところを、姉さんたちに見つかってしまって
『巴よ、おぬし、またぬいぐるみを増やすつもりか?我の言った事を忘れたわけではあるまい?』
『あぅ・・・で、でもせっかく仲良くなったんだし・・・』
『どうしたんですか?姉さん。』
『おお、要芽か。いやな、巴がまたぬいぐるみを持ち帰ってきたのだ。』
『またなの巴?私や姉さんの言うk・・・』
って要芽姉さんが急に台詞を途中で止めて、ペンネを凝視しだしたんだ。
どうしたんだろうって思ったんだけど、次の瞬間には、要芽姉さんはい、今までとは逆の事を言い出したんだ。
『いいじゃありませんか。姉さん。これは巴の唯一の趣味です。』


『む?どうしたのだ?要芽?』
『いえ、どうもしませんよ。ただ、日々忙しく私たちのために働いてくれている妹の唯一の趣味ですから、
今回は私に免じて許してあげてくれませんか?』
『ふむぅ・・・。それもそうかと思うが、ところでおぬし、今までとは全く意見がぎゃk』
『ねー、ひなのん。モエは何度言ってもこればっかりは直らないよ。要芽姉もこう言ってることだし、
許してあげたら?』
って、瀬芦里姉さんがタイミングよく割って入ってくれたおかげで、雛乃姉さんは
『仕方ない。妹二人にそう言われては、我も引き下がるしかない。巴よ、二人に感謝するのだぞ。』
『ふふふ、よかったわね巴。』
『よかったにゃー。モエ。』
『うん!ありがとう!要芽姉さん!瀬芦里姉さん!』
やっぱり頼れるお姉さんっていいなってお、思ったよ。」
「でもさともねえ。姉様は大体想像がつくけど、何でねぇねぇまでともねえを助けたんだろ?」
「ん?さぁ、何のことだかわからないな。空也。」
「その後ねぇねぇから何か頼まれなかった?」
「いや、特には・・・。夕飯をとっ、特大盛りにしてくれって言われただけだけど?」
やっぱりな。
あの人が自分の損得考えずに動くとは考えにくい。
で、大体の想像はつくけど、一応核心をつく質問をしておかなくては。
「で、何でその助かったペンネが今は姉様の部屋にいるの?」
「あぅ・・・。そっ、そのことなんだけど・・・。」
なぜかともねえの顔が一瞬で真っ赤に染まった。
「どうしたの?ともねえ?」
「あぅ・・・そのっ・・・あの・・・夜になってから、かっ、要芽姉さんが」
「姉様が?」
「・・・がたで私の部屋にきっ、来たんだ。」
「え?よく聞こえないよ。」
「しっ、下着姿で、私の部屋にきっ、来たんだ。


夜中になって皆が寝静まった後、誰かがスッと戸を開けて入ってきたのが分かったから、
目をあけたら、要芽姉さんが・・・その、そういう格好で部屋に立ってたんだ。
『要芽姉・・・さん?』
『あら、起こしちゃったかしら。』
そう言うと要芽姉さんは私のふ、布団に入ってきて・・・あぅ、恥ずかしい。
ここ、しょっ、省略していいかな・・・?」
ともねえが真っ赤になりながら哀願してくる。
その表情だけでもお腹いっぱいだが、
「俺が一番好きなのは自分で可愛くないと思ってる姉にNOと言ってやることだよ。そこ詳細にね。」
「あぅ・・・。じゃ、じゃぁ・・・。
要芽姉さんがいきなり布団に入ってくるから、私、びっ、びっくりしちゃって
『どっ、どうしたの?要芽姉さん?』
『あら、私はただ、かわいい妹と久しぶりに二人っきりで寝たいと思っただけよ。それが何か変?』
『変じゃないけど・・・』
そう言いながら要芽姉さんはくすくす笑ってたんだ。
しばらくすると、い、いきなり私を・・・あぅ、だっ、抱き寄せるようにして・・・
『かっ、要芽姉さん!?』
『ふふふ。やっぱりかわいいわね。その困り顔。食べちゃいたい。』
『あうぅぅ・・・』
『あら、巴は私とでは嫌だって言うの?』
『うぅぅ・・・』
そういいながら要芽姉さんは、私のくっ・・・あぅ、首筋に、キ、キスしてきたんだ。
『さっき、雛乃姉さんからぬいぐるみを・・・んっ・・・守ってあげたのは、ちゅっ、誰かしらね?』
『あっ・・・あぅ・・・要芽姉さぁん・・・』
要芽姉さんが私のパジャマのぼっ、ボタンを一つ一つ外しながら、顔を胸元まで下げてきて・・・
『ふふふ・・・ちゅっ、本当にかわいい。壊してしまいたいわ。んっ・・・』
『かっ、要芽姉さん・・・あっ・・・ゆっ、許して・・・。』
『助けてあげたんだから、ペロッ、いいじゃないの。助けたられた鶴は恩返しをするものよ。』
『ぐすっ・・・うぅぅ。わ、私、鶴じゃない・・・。』
『仕方ないわね・・・。なら、このまま続けるか、あのぺんぎんを私に預けるか。どっちかにしなさい。』


その時、要芽姉さんの言った事がよく分からなかったんだ・・・って、何で前かがみなんだ?空也?」
「いや、な、なんでもないよ。気にしないで。」
ともねえ、描写が思ったより細かい。
ついつい空太郎が元気になってしまった。
「で、その後どうしたの?」
「もちろん、何でか聞いたよ。要芽姉さんに。すると・・・
『あなたはまたこれからもぬいぐるみを買ったり取ってきたりするのでしょう?それを全部自分の
為だけにするからいけないのよ。形だけでも私や妹たちへのプレゼント、と言う形で買ってくれば、
雛乃姉さんも許してくれるわ。でも、信じさせるには前例がなくては、ね。』
『でっ、でも、ペンネは今日、皆とお友達になったばかりなんだ。
離れ離れにするなんて、かっ、可哀想・・・。』
『離れ離れになんかしないわ。私が部屋で預かるだけよ。時々あなたがあの子をこの部屋に
連れて行けばいいでしょう?それともそれが嫌ならこのまま・・・ちゅっ・・・続ける?』
『あぅぅ・・・わっ、わかったよ。ペンネとは、またあ、会えるんだよね?』
『ふふふ・・・。物分りのいい妹で助かったわ。』
そう言うと要芽姉さんは手串で私の髪をスッとなでた後、みっ、耳に・・・
あぅ、息をふっと吹きかけてから、ペンネを連れて出て行ったんだ。」
「すげぇ・・・流石姉様。もっともらしいことを並べて、
最終的には自分の欲望をほとんど全部満たしたわけだ。」
「やっぱり、か、要芽姉さんは、ちゃんと私のことも考えてくれてるんだな。
は、恥ずかしかったけど、感謝しているよ。」
うまく騙された事に全く気が付いてないし。
本当に心から平和な人なんだなぁ。
それに対してあの姉、か。
・・・

「どうしたの空也?おびえたような顔して。今日は昼間から変よ?」
「いや、今朝、姉様には一生かかってもかなわないだろうなぁって思ったんだ。」
「何を言っているの?おかしな弟ね。私は眠いから先に寝るわよ?」
ペンネがまたじっと俺のことを見ている。
寝顔はこんなに無邪気だけど、この人はやっぱり恐ろしい・・・だけど、そこがたまらないんだよなぁ。


(作者・SSD氏[2005/07/08])

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!