朝。
いつものように巴に起こされて
いつものように朝食をとり
いつものように摩周くんといるかが迎えにやってきて
いつものように仕事へと向かう車の中で
いつもと少しだけ違う窓の外の街の様子に気づく。
ああ、そうか。
もうすぐ、クリスマスなのね。
色鮮やかな飾り付け、チカチカと瞬く電飾に彩られて
街はすっかりクリスマスムード。
いるかが私の視線の先に気づき、嬉しそうにつぶやく。
「もうすぐですねー、クリスマス」
「そうね」
生返事をする私に、摩周くんが思い出したように尋ねてくる。
「要芽様、今年も事務所でどこかを予約しておきますか?」
事務所のメンバーで過ごす、いつものクリスマス。
「・・・そうね。お願いしておくわ。場所とかは任せます」
「ははっ」
車から眺める街並みを、人々が楽しげに通り過ぎていく。
家族連れ。若いカップル。若者の集団。
去年の自分のクリスマスを思い出す。
こんなにも自分は楽しげだっただろうか。
いつからか・・・私のクリスマスは楽しくなくなってしまった。


別に摩周くんやいるかに不満があるわけではない。
彼らも大事な人であることに変わりはない。
ただ
特別な日に、そばにいて欲しい人は・・・
今年は、家に、いる。
「・・・摩周くん」
「はっ」
「やっぱり、予約はいいわ。今年は家で過ごすから」
いるかが驚いて情けない声をあげる。
「ええ〜!?今年は何もなしですか〜?」
「そうじゃないわ。家のパーティの方に出ようと思っただけ」
「でも・・・それじゃ、私たちは・・・」
「あなたも来ればいいでしょう。一緒に楽しみましょう。摩周くんも、ね」
「ははっ!お心遣い、感謝の極みです!」
嬉しそうな二人を微笑ましく思いながら
心はすでにクリスマスに飛んでいく。
そうだ、プレゼントを買おう。
何がいいかしら、何か欲しがってはいなかったかしら?
それとなく探ってみるのもいいかもしれない。
そして当日になってビックリする顔を見てあげよう。
車がトンネルに入り、窓の外が暗くなって
窓ガラスに顔が映る。
さっきすれ違った、楽しげな人たちと同じような顔がそこに映っていた。


(作者・◆Rion/soCys氏[2004/11/21])

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