……クイ……ル……ヌ……ガ…イ………ゴ……アァァ……
声がする。あ、やっぱり俺死んだのか?
ゴメンよ、ともねえ。俺が無茶したばっかりに。また、泣かせちゃうかなぁ……
…ニ………ユル……ヌ…ジ……イド…エ………ギシャァァア………!!
でも死後の世界ってこんなんなのか。うわー、予想してたよりホラーだ。
俺としてはもっとこう……スケスケの羽衣纏ったお姉様達が出迎えてくれるもんだと……
…ニクイ……ユルサヌ…ジガ…イド…エゴ…ガァァァァッ……!!
違う。これは………まさか……!?
…ユルサヌ……ワレラヲ…ウラギリシ……オンミョウジ……
クロウ達の意識?
……ユルサヌゾ……ワレラカラ……ユビワヲウバイ……ジガ……イド…エゴォォォォ!!
そうか。指輪は元々アイツらのモンだったのか。
キロリッ。!?
悪寒が走る。射抜くような視線を感じる。
…キサマ……メザメタノカ……?
考えを読まれたっ!?
…キサマ…マダ…コロサナイ…ジガ…オビキヨセル……エサ…
うわ。とりあえずは一安心だけど…よりヘヴィな状況になってるな…やっぱり知能は高かったのか。こいつら。
……タカダカトリフゼイ……カ……?
あー、そー思ってたよ。
…ツイデダ…コノジダイノ…チシキ……イタダク……
がっ!?
頭の中がシェイクされるみたいな感覚。吸われていく。知識が。言葉が。記憶が。
「ふむ……まぁこんなものか。貴様らの言語は」
そんなっ…声まで変わって!?
おいおい、カギカッコもついてるよ。
「誰にでも出来る訳ではない。こうなる前は陰陽道の心得があったからな」
なるほど。それで赤いのね。
「赤さは関係なかろう、赤さは」
で、お前らともねえを誘い出してどうしようってんだ。
「知れた事。ジガが貴様の姉とは好都合だ。徹底的に嬲り、犯し、殺し尽くしてくれるわ」


ふざけるな!アンタらが憎んでるのはアンタらを追いやった人たちだろう!?ともねえは関係ないはずだ!
「確かに貴様の姉は関係ない。だが貴様の姉がジガであることに変わりはない。
それにだ。貴様は目の前で姉を殺されたことがあるか?」
え。
「貴様は目の前で姉、両親、親友を殺された事があるかと聞いているのだ」
………………。
「無かろうな。私ですら今でも悪夢である事を願っている。だが、いくら願っても覚めてはくれん」
………………ふざけんなよ……だからって……奪われたから奪っていいなんてこと……あるはずないだろっ!!
ふっ。そいつは自嘲的に笑ったような気がした。
「分かっているさ、理不尽な事を言っているのは。だがな。我らにはもう、これしか生きる目的がないのだよ」
だからってっ……!!
「しょせん我らと貴様らは相容れぬ者同士。我は我の道を行くのみ」
ぐっ………!
「ああ、それと」

「記憶を見たので行っておくが………10歳まで寝小便はどうかと思うぞ」
ほっとけや、アンタ!
「そろそろお喋りも終わりだ。共振音を最大にしておいたからな。そろそろジガが来る。」
ともねえが!?まずい。あんな体調じゃあ勝てるものも勝てない。その上俺が人質に取られているんだから。
くそぉ………なんて馬鹿なんだ、俺は。逆にともねえをピンチに追い込んじまった。
「空也ーっっっっっ!」
ともねえの声が聞こえる。それと同時に視界が開け、段々とハッキリしてくる。だが体はガッチリと押さえられて動けない。
そこには纏身したともねえがいた。だが、やはり見るからに辛そうだ。息も荒い。
「ん?……来たな、ジガ。精神感応も楽ではないのでな。貴様の口を借りるぞ、青年」
なんだと……?
その言葉の意味はすぐに分かった。なんと、俺の口が勝手に動き始めたのだ。
「よく来たな、ジガ」
「く、空也!?何を言って……」
「この青年の口を借りている。喋っているのはこの私だ」
赤い奴が前に出る。


「こちらの言う事を最後まで聞けばこの青年は助けてやろう」
「ほ、本当に……!?」
「約束は守る。こちらはお前の命さえもらえればそれでいい」
「わかった……でも、話せるのなら…一つだけ聞いてもいいかな…」
「何だ?」
「文献を見て、昔の人達があなた達と戦争をしたのは知っています……でも、もうその人達は死んでしまってるのに……!!どうして……今の人達に酷い事をするんですかっ……!?」
「一つ誤解があるようだな。訂正しよう。先に裏切ったのは陰陽の戦士のほうだ」
「な……!?」
「奴らは古くからこの地に住んでいた我ら一族と陰陽道の技術を取引し、利用したあげく滅ぼしたのだよ。あまつさえ我らの秘宝である指輪を奪い、いくさの中で使いおった。アレは戦争などではない。一方的な殺戮だ」
「それが……あの絵巻…」
「そういうコトだ。我らが恨んでいるのはそやつらだけではない。憎むべきは我らを追いやったこの国全て」
「そんな……」
「もういいだろう。まずは纏身を解いてもらおうか」
「うっ…」
ぱぁぁぁぁっ!周囲が一瞬光に包まれ、ともねえが纏身を解く。
「あまり私は気が進まんのだがな……同胞達の願いだ、仕方あるまい。動くなよ、ジガ」
ぶんっ!!
赤い奴の爪がともねえに向かって振るわれる!
「ともねえーーーっ!!」
「きゃぁっ……!?」
ともねえのコートと服がひらひらと舞い落ちる。
「ギギッ……」「ギァァァ……」
ともねえに2匹のクロウが近づいていく。
「抵抗はするなよ、ジガ。分かっているな?」
がしいっ!クロウの手がともねえの豊満なバストを握りしめる。
「うぁっ……」
優しさなんかカケラもない荒々しい愛撫。ぐにぐにとおっぱいを握り、潰し、こねまわす。
そんな愛撫でも人間の体ってものは悲しいもので。次第にともねえの体が汗ばんでくる。
「やぁっ……!!」
「ギッ…ギッ…ギッ…!」


首筋、胸、乳首と。蛇みたいな長い舌でともねえの全身を舐め回して行く。
「ふっ……んっ……!!」
声を出すまいと必死に耐えるともねえ。
だが、無情にもクロウの舌が下の方へ伸びてゆく。
「そこはっ……ダメぇっ……!」
チロ……チロチロ……
「ふぁっ!ああぁっ!」
ともねえの秘裂を舐め上げていく。胸を触っていた方も攻めのスピードを上げる。
「んっ……はあぁぁぁっ……うあぁぁっ……」
ぽたり、と。ともねえの秘所から蜜がしたたり落ちるのにそう時間はかからなかった。
「う……うぅ……うぇぇぇぇん…」
ついにともねえも泣き出してしまった。
[やはり……解っていても気分のいいものではないな……]
頭の中に赤い奴の声が響く。こいつ……!!今更何をっ……
[単なる感傷だ。あの少女は私の姉の面影がある]
じゃあ、やめさせてくれよ。今すぐに。
[その程度の事と一族の悲願を天秤に掛ける訳にはいかん]
畜生。なら最初からそんな事言うなってーの。
「そろそろ頃合いか……」
また、俺の口が勝手に動く。
「少女よ。これからお前を陵辱する訳だが、一つくらいは猶予をやろう。我らに犯されるか、それともこの青年に犯されるか選ぶがいい」
「なっ……!?」「ギィィッ!?」
他のクロウまで当惑している。そりゃそうだ。何を言い出すんだろう。コイツは。
[気にするな。単なる私の感傷だ。もちろん、体の自由は奪わせてもらうがな]
ともねえは少し考え………
「だったら……空也と。空也と…させてください…」
泣きながらそう言った。
「いいだろう。そこの壁に手を付き、尻をこちらに向けろ」
俺の体が勝手に動き出し、ともねえのほうへ歩き出す。そして両手が器用にもズボンを降ろし、俺のペニスを取り出した。
「お前達は手を出すな」
赤い奴が他の奴らを制止する。


畜生………もうどうにもならないのかっ!?このままともねえが殺されて俺が助かるなんて死んでもイヤだ。
力を振り絞って奴の支配に抵抗する。しかしよっぽど強力な力で縛られているのか、体はびくともしない。
頼む!誰でもいい!誰か助けてくれ!誰かぁぁぁぁぁぁっ!!
「お待ちなさいっ!」
!?
思わず声をした方を見上げる。
「行く手に危険が待ち受けようと守りたいと願う物があるならば……例え自らを犠牲にしてでも守り通す者…人、それを姉という……!!」
「誰だっ!!」
うわ。付き合いいいなぁ。コイツ。
「貴方達に名乗る名前はないわっ!!」
雲が晴れて月明かりが差し込む。電柱の上に立っていたのは………
「透子さん!!」
「真打ちは遅れて現れるのがメキシコ式よ?OK?」
「纏・身!!」
透子さんが光に包まれる。そして次の瞬間には指輪の戦士、イドがそこにいた。
[イドだと!?まさかっ!!]
アイツの気が逸れる。チャンスだ!
うおぉぉぉっ!体の中に残っている精神力を総動員して体を動かす。
……よしっ!動いた!
「あぅっ!?」
急いでともねえをひっかかえて走り出す。心臓が壊れたっていい。とにかく今はここから離れるんだっ!
はぁ………はぁ……はぁ……はぁ……
これだけ離れれば……ジャケットを脱いでともねえに掛ける。
「ともねえ……大丈夫!?俺のせいでこんな……こんな事にっ……」
ともねえは下を向いていて表情がよくわからない。
「…………った」
やっぱり……怒ってるよな……
「……よかった……ひっく……空也が……無事で……うっ……よかった……ごめんね……空也……迷惑かけて……」
な。


「なんで……なんでともねえが謝るんだよ!……悪いのは…勝手に飛び出して行った俺なのに……」
あーもう。この人は……
「よかった……本当によかった……」
ぎゅっ…………。
ともねえが俺を抱きしめてくれる。ゆっくりと心が落ち着いていく。
…………しばらくそのまま二人で抱き合っていた。
「ともねえ、大丈夫?ズボンきつくない?」
「うん、大丈夫」
ほぼ素っ裸だったともねえには俺のシャツとズボンを着てもらった。
俺のほうはジャケットだけでもなんとかなるけど、ともねえはそうは行かないし。
「透子さん……大丈夫かな?あの赤いクロウ……かなり強そうだったし……わ、私、助けに行ってくる!」
「ばっ…何言ってるんだよ!ともねえ!まだ具合悪いんでしょ!?顔も青いし」
「空也に…心配かけちゃって……危ない目にも遭わせちゃったから…はは…お姉ちゃん失格だね…私だから…ここで逃げちゃったら……もう空也に顔向けできないよ……」
「ともねえ……」
「大丈夫……うん。だから見ていて。私の纏身」
すっ。ともねえが背筋を伸ばして立ちあがる。ものすごい気迫だ。
「超纏身っ!!」
ブワァァァァッ!!目を開けていられないぐらいの光がともねえから立ち上がる。
「くっ!!」
そして光が止んだそこには………
「黒い……ジガ?」「く…黒くなった…」
変化はそれだけじゃなかった。
「うわっ!?」
「ど、どうしたの!?空也!?」
「力が……力が溢れてくる!まるで体に生命のガソリンを入れられたみたいだ……」
すごい。ともねえがジガになった時は俺のパワーも強化されるんだけれど、これはいつもとは桁違いだ。
「わ、私も……確かに…凄いパワーを感じる……うん……これならいけるよ!空也!」
「ああ!行こう!ともねえ!」
俺達は走り出した。そして、現場に戻った俺達が見たのは意外な光景だった。
「ギシャァァァァァッ!!」


「くっ……なかなかやるじゃない…合格よ……アナタたち!」
透子さんが守勢に回っている。僕の蜂も相手の攻撃を捌いてはいるけどなにせ数が違う。押されているのは明白だった。
「たぁぁぁっ!」
そこにともねえが飛び込んで行き、慌てる一匹の横っ面を殴りつける!
ドガァッ!!
「ギュガァッ!!!」
殴られたクロウはすごい勢いで吹っ飛んで行く!うわ、凄い。5mぐらい飛んでんじゃないか?アレ。
「はっ!いやぁぁぁぁっ!!」
圧倒的じゃないか!我が軍は!
「すごい……何なの…?アレ?」
突然の事に呆然としながら透子さんが言う。
とにかくともねえは強かった。今ならライオトルーパーが1万人来ようが倒せるだろう。スタンディングバーイ。
あっという間に3匹を倒し、残るは赤い奴一人。
「透子さん!」
「アレをやるのね。ええ、よくってよ」
なんだ、アレって。
バッ!ともねえが赤い奴の後ろに回り込む。こっちから見ると透子さん、赤いクロウ、ともねえの順だ。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「射ャァァァァァァァッ!」
二人の気合いが爆発的に高まっていく!!そして同時に地を蹴り、クロウ目がけて走り出す!

「ダブル」「ダブル」
「パープル」「ホワイト」
「ストライク!!」「スティング!!」
二人の声が重なり、閃光が爆裂する!
ドグォォォォォン!!!!


クッ……!?舞い散った埃でしばらく目が開けられない。
しばらくして目を開けると。そこにはともねえと透子さんが立ちつくすのみ。なんてぇ破壊力だ……
「透子さん、今日は本当にありがとうございました……空也を助けてくれて……」
「礼には及ばないわよー。OKOK。トモちゃん、今日のは貸し5でいいわ」
「あう……」
(ぼそ)「……実は貸しを作るためにピンチになるまで出待ちしてたんだけどね」
「透子さんっ!!なんか今すごい聞き捨てならない事言いませんでしたかっ!?」
「何も言ってないわよ?」
「うっ!……そうスか…まぁ助けてくれてありがとうございます」
「それじゃあ、帰りましょうか。あ。もしかして……替えの服とか必要?」
「……スイマセン、お願いします」
「じゃあ、取りあえず人目に付かない場所で待機してて」
「はぁ……じゃあ、行こうか?ともねえ」
「うん……」
とりあえず海の家の陰に向かって歩き出す。と、その時。
[ふふ…今回は我らの完敗だな。だが、我らは近く動き出す。自らの姉だ。しっかり守るがいい。我の様な思いをしたくなければな]
アイツの声が聞こえた。言われなくてもわかってるさ。もうこんなヘマはするもんか。ともねえは俺が守る。
「……どうしたの?空也」
ともねえが不安そうな顔でこっちを見る。
それに俺は笑顔で答える。
「なんでもないよ。俺はともねえの側にずっと居るから」
二度とこの人の心を曇らせないと、俺は心に誓った。

(作者・愚弟氏[2004/08/19])

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