「ただいま」
「あ、お帰り要芽姉・・・どしたの?なんか疲れてるね?」
「・・・そうかしら?・・・・・・そう、かもね」
「・・・元気出してよ、もう・・・ね、久しぶりに、一杯どう?」
「お酒?・・・そうね・・・酔って一時でも忘れる、か・・・頂物だけど、いいウィスキーがあったわね」
「じゃ、要芽姉の部屋いこっか?私、グラスとか持ってくよ」
「ええ、お願い」

「それじゃ、乾杯でもしましょうか」
「そだね・・・それじゃ、クーヤの幸せに、カンパーイ♪」
「・・・空也の幸せ、ね・・・もう・・・私には関係ないわ・・・」
「へ?・・・まだ・・・こだわってるの?」
「瀬芦里は・・・平気なの?あんな・・・帆波なんかに空也を取られて・・・」
「・・・平気ってわけじゃないけど・・・今更しょうがないじゃない・・・」
「たとえ私の物にならなくても・・・あなたや雛乃姉さんが空也に選ばれたのなら、まだよかったのだけれど」
「わたしは・・・要芽姉がきっと・・・って、思ってたんだけどね」
「私たちになくて、あの女が持っているものなんてあるのかしら」
「なんかあるんだろーね」
「ふっ・・・馬鹿ね、私って・・・自分から手放して・・・失っておいてから、こんな・・・」
「要芽姉・・・まだだよ・・・まだ、要芽姉も私も、空也を全部失ってない」
「・・・何がまだ、なの・・・もう空也は帆波に・・・」
「それでも・・・まだ、空也は私たちの弟だよ・・・可愛い、大事な・・・弟。それに、まだ・・・可能性なくなったわけじゃないよ」
「そう・・・かしら・・・」
「そうだよ・・・最後の最後まで・・・私、あきらめない」
「・・・あなたは、いつも前向きでいられるのね・・・そうね・・・少なくとも・・・もう、うつむいているのは、やめるわ」
「そうそう・・・っと、つまみがもうなくなっちゃったか」
「ああ・・・そこにナッツの入った缶があるから、それ開けていいわよ」
「サンキュー・・・ぐ・・・ンギギギギギ・・・」
「どうしたの?」
「うー・・・なにこれ、ずっと放ったらかしだった?蓋が固くて開かないよ?」
「・・・・・・・・・誰、あなた」


「へ?・・・誰、って・・・」
「瀬芦里がその程度の缶の蓋を開けられないはずがないでしょう。巧く化けたものね・・・帆波!」
「あん、バレちゃった。要芽ちゃん鋭い〜」
「そう・・・こうして、負けて落ち込んでいる私を見て嘲笑いにきたというわけね・・・いいわ、好きなだけ笑いなさいよ!」
「あ、ち、違うのよ!そんなつもりで・・・」
「うるさい!・・・この・・・泥棒猫!」
「そ・・そんな言い方ないでしょう!?私は、ライバルが意気消沈してるって聞いて、それじゃ張り合いがないからって・・・」
「励ましに来た、とでも言うの!?それこそ大きなお世話だわ!」
「な、何よ!さっきまでメソメソしてたくせに!」
「う、うるさい!だいたい、あなたに励まされたって嬉しくないわよ!そんなことするぐらいなら、空也を返しなさい!」
「ふーん・・・返せ、ってことは、空也ちゃんはもう私のものって認めてるわけねー」
「くっ、ああ言えばこう言う・・・いいわ、今はあなたがほんのちょっとリードしてるのは認めてあげる。でも、これからはそうはいかないわよ!」
「・・・ふふ〜ん♪」
「なによ、嫌な笑い方して」
「別に〜。ま、とりあえず元気にはなったみたいだから」
「う・・・まあ、やる気になったのは事実だけど・・・でも、いいのかしら?」
「なにが?」
「こんな、敵に塩を送るような真似をして、後で泣く羽目になっても知らないわよ」
「うーん・・・そのときは、きっと要芽ちゃんが励ましてくれるわよねっ?」
「甘えるな」
「あん、他人には厳しい〜。ま、私が空也ちゃんを奪われるなんて、ありえないけどねっ」
「ふっ・・・せいぜい、今だけ笑っていなさい」
「イーだ。ずーっと私は空也ちゃんと笑ってますよーだ。それじゃ、今日のところは帰るわねっ」
「・・・あ、ちょっと・・・待ちなさい」
「うん?まだ何かあるの?」
「ボトルが・・・まだ、少し残ってる・・・その・・・つきあいなさいよ、最後まで」
「・・・ま、たまにはいいか」


「空也ーっ!」「空也ちゃーん!」
「うわあぁっ!?な、なに!?姉様!?ねぇや!?何故揃って俺の部屋に!?」
「うふふふふ・・・可愛い・・・」「うふ・・・愛してる、空也ちゃ〜ん」
「な・・・・・・酔ってる?・・・いやちょ、なんで脱ぐの!」
「・・・したいんだもん」「空也も・・・脱ぎなさい・・・」
「え、や、ちょ、俺にも準備というものが!」
「離さない・・・」「逃がさない・・・」
「うあ・・・」
「駄目よ・・・もう・・・」「空也ちゃん・・・あったかい・・・」
「・・く・・・仕方がないなぁ・・・って・・・あれ?」
「・・・すー」「・・・・・・すぴー」
「・・・もしもし?・・・寝てますか?」
「う・・ん・・・」「・・・むにゃ・・・」
「裸で抱きついてきたあげく、既に戦闘態勢に入った俺を置き去りにして、二人で先に寝ましたか?」
「・・・ん・・・」「むにゃ・・・すー・・・」
「・・・やれやれだぜ」
「空也・・・いかない・・・で・・・」
「・・・へ?・・・あ、寝言か」
「いや・・・行っちゃ・・・いや・・・」
「姉様・・・どこにも行かないよ・・・」
「空也ちゃん・・・ずっと・・・一緒・・・」
「ねぇや・・・そばにいるよ、ずっと」
「うふふ・・・ふふ・・・ん・・・」「すー・・・うふ・・・むにゃ・・・」
「・・・二人が仲良くなってくれたら・・・ずっと、一緒にいられるのかな・・・」
「・・・う、ん・・・帆波・・・・・・殺す・・・」
「・・・要芽ちゃん・・・なんか・・・死んじゃえー・・・」
「・・・・・・・・・無理かな」

(作者・◆Rion/soCys氏[2004/08/19])

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