「雨・・・か・・・」
「要芽よ、雨の日にいつまでも縁側にいては風邪を引くぞ。まだ冷えるからな」
「姉さんこそ外に出ていては・・・お体に障ります」
「案ずるな、最近は体の調子もいいのだ」
「しかし・・・」
「まるの散歩でもと思って外に出たが・・・この時期はすぐ降ってくるな」
「とりあえず体を拭かなくては」
「ふふ・・・要芽よ、あの時を思い出すな」
「あの時・・?」
「あの時だ、空也が沖縄へ行ってしまってすぐのあの雨の日・・・」
「・・・姉さん、まだ覚えていたんですか・・・」
「お前はあの時泣いていた空也を叱咤して送り出した・・・我がふがいないばかりに辛い役回りをさせてしまったからな・・・気にはなっておった。そこに来て、あの日帰りが遅かったお前が心配になってな」
「浜辺でずぶ濡れになっていた私を迎えにきてくれたんですよね・・・姉さんもずぶ濡れになって」
「ははは、傘は差しておったのだがな。走っていたら濡れてしまった・・・」
「あの時、姉さんが私のことを理解してくれいることが分かって嬉しかった・・・」
「我だけでなく皆が分かっておったよ、お前がどれだけ空也を想っておったかぐらい」
「あの時の姉さんは走ることなんてとても出来なかったのに・・・それもあんな雨の中」
「お前が我の代わりに空也の姉として送り出したのなら、せめて我は傷ついたお前を姉として労わりたかったのよ・・・もっともあの後寝込んだのは我の方だったがな」
「本当ですよ・・・もうあんな無茶は自重してください」
「うむ・・・しかしあんなに堰を切ったように泣き出すとは思わんかったな・・・お前が」
「ね、姉さん、それは・・・」
「分かっておる、分かっておる!それは二人の秘密であったな・・・まるには聞かれてしまったが」
「お前は強いからなかなか本当の感情を出さぬが・・・本当に辛い時や困っている時はいつだって・・・今だって相談に来い!おねーさんがどーんと受け止めてやろう!」
「ね、姉さん・・・フフ、それじゃあひとつお願いが」
「おお、なんだ?何でも申してみよ!」
「雨の降りそうな日は傘を持って出て行っていただけますか?・・・たとえ調子が良くても次女が心配いたしますので」
「ぐ・・・で、あるか・・・ハハハ、承知したぞ!」
「フフフ・・・ぜひお願いします!」

(作者・名無しさん[2004/06/04])

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